アラサー女がミニスカートを履きたい理由

わたしは今、

なぜか猛烈にミニスカートが履きたい!


ずっと長めのスカートを履いている人が多かったのになぜ最近再び流行りだしてしまったのだろう。
電車に乗っていると毎日のようにミニスカートにロングブーツの若い女の子を見かけて、

「わたしもそういう格好してえええええ!!!!!」


といつも弟のお下がりのダボダボパーカーに汚れてもいい黒ズボンを履いてバイトに行くアラサーは思う。
(天気が悪くて乾かないので今日で3日目になる)
平日は汚い運送会社や寒いスーパーで働いて、
週末は趣味で藪漕ぎ…いやまち歩きをしていると、
マジでスカートを履いて行ける場所が無いのだ。
そんないつ履けるかわからない服にお金をかけるくらいなら、
そろそろ色褪せてくたびれてきたアウトドア用のズボンや、
最近破けてきたパソコンを入れるリュックを新調しないといけないのに。
服を買うためにはまず働かないといけなくて、
でも働いたらまたスカートを履いていける日が無くなる。(大抵どこも黒ズボン)
何してるんだろうわたし。


来年34歳になるアラサーの全盛期は、
AKB48の全盛期とぴったり重なる。



AKB48みたいな赤いチェックのミニスカートを、
なぜか母親が買ってきたからバイトに履いて行くと、
女の子達に「AKBだ!」と言われて笑った。
小学校の卒業式で履いたチェックのミニスカートも、私服で着れそうだったから、
20歳を過ぎても普通に履いていた。(可愛かった)
バイトも制服だったから、
普通に大学帰りにミニスカートで出勤できて、
階段を上っていたら下で社員のおじさんがじーっと見ていたことがあった。
安かったけどあまりにも短すぎて履けなかったミニスカートもあったし、
お気に入りのニットワンピが縮んで、
「あんたそれ下に何か履いて行きなさいよ!」
と出かける前に母親に注意されたこともある。
街中にある女ばかりのバイト先にいたので、
正社員になっても地味な通勤服を持っていなかったわたしは、
仕事後にバンドのサイン会に行くから、
張り切ってピンクのミニスカートで出勤したら、
社員のおじさんに「お姫様みたいだな!」と言われたこともあったっけ?(もちろんお局には睨まれた)
彼氏と別れそうなときに男の人と飲みに行ったときもそのピンクのミニスカートを履いて行ったら、
「服が可愛くてキュンキュンした」
(※決してわたしがブスなのではなく、
直接褒めにくかったのだと思っている)
と言われたこともあった。 
初めてハワイに行ったときも、
ウキウキで膝上ミニスカートで電車に乗っていたら、
隣の席のおじさんがじーっと太ももを見ていて、
慌てて荷物で隠してみたり。 

ざっと思い出しただけでも、
いろんな思い出のあるミニスカート。

  

わたしは再びあれを履いても良いのだろうか。
大丈夫なんだろうか。自分ではよくわからない。
わたしは決して童顔ではないし、
体型のわりに足が太すぎるので、
ロングブーツで隠さないとミニスカートは履けない。


でも数年前に買ったロングブーツが家にあって、
今日恐る恐る履いてみたらすんなり入ってしまった。
このブーツを買ったときは、
300キロ以上離れた街に大好きな人がいて、
もしわたしが彼に会いに行くことがあったら、
白いスカートとこのブーツで清楚な感じで行きたいな〜なんて考えていたっけ。
あの頃受けたメイクレッスンが、
たまたま結婚相談所主催のやつで、
わたしは「そのままで大丈夫!」と言われたけれど、


あれから6年経っても、

わたしは彼氏ができるどころか、
デートすら1度も誘われてないぞ。

(今さらクレーム)


こんな残念なおばちゃんのわたしでも、
ミニスカートには若い頃の楽しい楽しい思い出が詰まっているのだから、
普通に恋愛経験のあるアラサー達はもっと良い思い出がもっとたくさん詰まっているに違いない。


今さら無理してミニスカートを買って履いたって、
あの頃に戻れるわけはない。
それはもちろんわかっているのだけど、
それでもやっぱりもう1回くらい履いてみたい。

来月の飲み会、

ミニスカートで行っちゃおうか?


…おじさんしかいないけど!たぶんあそこ寒いけど!
でもアラサーになったわたしには、
若い頃のように飲みに連れて行ってくれる男の人はいないし、
バイト先の人達と帰りに飲みに行くこともない。
だからもうそれくらいしかミニスカートを履いていけそうなところがないのだ。
あとは来月以降ちょこちょこライブ遠征に行くから、
その辺で履けば元を取れる?
ロングブーツで遠征はキツいけど。


でも、

「いつか好きな人とデートできたら、

こういう格好をして行こう」


なんて考えていても、
わたしは今まで12年、
それが1度も実現しなかったのだ。
今からさらに12年実現しなかったら、
わたしは45歳になってしまう。(逆算)


こわすぎ!!!マジでホラー!!!!!



…いや健康で親も元気で今のように働けていれば、
それで良いような気もするけどさ。


そんなことを考えながら今日も運送会社へ行った。
結局気になっていたコンサートには行かずに働いてきたのだけど、
今日は時間短縮でお給料が減ってしまった。
ここはなぜか30分以上の短縮だと会社都合で全額貰えるのだけど、
30分未満の短縮だとお給料が減る。
だからいつもの女の子がいたら、
要領の良い彼女についていけば、
40分前に上がって全額貰えるのだけど、
わたしはそういうのが本当に上手くできないのと、
やっぱりどうしてもツイてない女なので、
彼女がいないときはいつも、
勤続25年おじさんに28分前くらいに上がってと言われて泣く泣く減らされるのだ。
今日も完全にそのパターンだった。

1.5時間働いて交通費を引いたら800円。


15キロのラードや重たい段ボールを1人で運んで、
明日は筋肉痛確定なのにこれだ。
ほんと何してるんだろ。
これならコンサート行けばよかったかもな。


だから違うとこで働いたほうがいいんだって!



いつも陰気でも感じが悪くても、
パン工場やスーパーのほうが倍は貰える。
あっちのほうがずっと通いやすいし。
たいして力持ちでもないわたしは、
男ばかりの運送会社で足を引っ張るよりも、
キツいババア達とそういう仕事をしていたほうがきっといいのだ。


それでもわたしがこの運送会社に来てしまうのは、
わたしは男の人に飢えているからだ。


わたしは子供の頃から父親に殴られたり怒鳴られたりしながら全く愛されずに育った。
神経質な弟とも合わないからほとんど話さない。
好きな人にはもう3週間会っていないし、
会えてもきっと何も話せない。
スマホに異性の連絡先なんて1人も入っていない。
わたしと男の人は磁石の同じ極みたいだ。
わたしが近づくと男の人は必ず離れていく。
何をしても絶対にくっつくことはないのだ。


あの運送会社のドライバーさん達は、
そんなわたしに声をかけてくれたり優しくしてくれてちやほやしてくれた。

だからわたしは交通費も出ない仕事に700円の交通費をかけて、
コンタクトも化粧もして週に3日も通っている。
わたしはこうやってお金も時間もかけて、
身体を張って力仕事をしないと、
男の人とは話せない女なのだ。
15キロのラードを50個1人で運ばないと、
男の人はわたしに声なんてかけてくれない。


本当は、こんな仕事したくないと思う。



来月は珍しくまだ募集が出ていないから、
このまま止めてしまえばいいのだ。
たぶん募集が出たら申し込んでしまうけど。
ここでいつもラップ巻きをしていても、
わたしが考えるのは好きな人のことばかりだし、
最近寒くてドライバーさん達が風邪を引いていたら、
わたしの好きな人も大丈夫だろうかと考えてしまう。

いろんな男の人と話したり優しくされても、
わたしが好きなのはやっぱり彼だ。


ここに半年以上通ってもそこは変わらなかった。
むしろここでいろんな男の人を見る度に、
好きな人の残像がさらに濃くなるような気すらする。
わたしは今日も好きな人の工場の最寄り駅を通ったら、
彼が乗ってこないかと身を乗り出して見てしまうんだろう。


ミニスカートを履いていた頃のわたしに戻れたら、
こんな惨めな思いをしないで、
普通に好きな人と笑っていられるのだろうか。
わたしが無理をしなくても、
男の人が声をかけてくれるのだろうか。

だからわたしは今さらミニスカートを履きたいのかもしれない。