わたしは認められたいから副業をする

昨日の健康診断による20時間断食の副作用か、
昨夜は寝ている間に4回も足がつった。痛かった。
今朝は朝食を普通に食べられて幸せを感じた。
血液検査くらいで朝食我慢させられるの本当に勘弁してほしいよ!

本業も仕事が増えたのに慣れてきたので、
合間に以前のように床拭きしたりサラダを作ったりできるようになってきた。
これくらいはやらせてもらわないと!
家事をしながら稼げるのが在宅勤務の最大のメリットなのだ。

昼休みに昼寝したら爆睡してしまった。
運送会社に行く電車の中でも、
間の駅の記憶がないくらい爆睡していた。


今日はいつもの女の子が来ないのでつまらない。
わたしは苦手なタイミーのおじさんとラップ巻きをしながら、

「ぶっちゃけ他の現場に行ったほうが稼げるんだよな、
今月も苦しいからここキャンセルして他のとこ行っちゃおうかな」


と真剣に考えていた。


同じ流通団地の倉庫街の向こうにある会社に、
去年の今頃は通っていた。
あそこのほうがきちんとした会社だし、
ここより1時間長いし早上がりもないから稼げる。
最近また出始めたリネン工場の夜の仕事も稼げる。
なんなら昨日行ったパン工場や近所のスーパーの品出しのほうがお給料は良いのだ。メンタルは死ぬけど。


どうしてわたしよりによって一番お給料良くないところに居着いちゃったかな。



いつもの女の子がいないならほとんど喋らないからたいして面白くもないし、
わざわざここまで来ることもないような。
やっぱりキャンセルして今月気になっているコンサートに行こうかな。どうしようかな。

ラップ巻きが終わって外に出るとチャラい男の子に、
「ちょうどいいときに来ましたね!」
と声をかけられて一緒に作業をすることになった。
ラッキー!仕事探さなくて済んだ!
ここは自分からドライバーさん達に声をかけないと、
なかなか仕事を振ってもらえないのだ。


チャラい男の子と話しながら倉庫に向かう。
彼は意外と几帳面なのか、
いつもめちゃくちゃキレイに荷物を積んでいく。
わたしはかなり大雑把なので、
角をきっちり揃えたりするのがめっちゃ苦手だ。

だからたぶんわたしとは作業しにくいと思うけれど、
彼の苦手なおじさんや知らないタイミーが来ると、
この子はいつもわたしを使う。


今日のおじさんは彼も苦手なようで、
「俺あのおじさん苦手だから」
と言いながら作業するので、
「この前行ってきたところの人も、
2週間に1回は変な人が来るみたいだから、
また来てくださいってすごい言ってきたんですよ〜」
と言うと、
チャラい男の子は笑ってわたしのほうを見ながら、
「うちも(わたしが)来ないと変な人しか来ない」
と言った。
わたしはそういう意味ではお役に立てているようだ。
たぶん女の子が来たら、
初めてでも放置しないで面倒見ると思うけど。



チャラい男の子はわたしに伝票を渡してきて、
パレット1枚分1人で荷造りするよう頼んできた。
カップルみたいに身体を寄せてきて、
「これとこれを下にすれば良いから」
と教えてくれる。
わたしが「できるかなぁ〜?」と言うと、


「ウチ長いから大丈夫!」


とまた適当なことを言うので、
わたしは「そんなに長くないですよ!」と笑う。


それぞれの荷物のサイズや重さを配慮して、
何の荷物か見えるように積まなければならない。
ここではいつもドライバーさんに言われた通りに荷物を積んでいるだけなので、
素人がパレット1枚を作るのはなかなか不安なのだ。
わたしは絶対あの子みたいにキレイには積めない。
それでもいつも
「この箱はこっちにしか種類書いてないから」
とか細かいことも教えてもらっているので、
思ったよりもキレイに積むことができた!


チャラい男の子は荷物を見ると「完璧!」と言って、
個数も確認しようとしないので、
「数大丈夫ですか?」とわたしが聞くと、
「信用してるから!」と言う。
隣で同じ作業をしていたドライバーのおじさんに、 
「一箱余ってたりしないですか?」と聞いても、
「あなたのは完璧でした!」と言ってくれる。


わたしは認められたいからここに来ているんだなと思った。


本業であんなふうに言ってもらえることなんかない。
社員の女の子はわたしより7歳も年下だから、
きっと自分のことで精一杯だろう。
わたしもそうだったからわかる。


だから他のドライバーさん同士で笑い合いながら作業しているのを見る度に、

「わたしもああいうふうに働きたいだけなのにな」

「本業であんなふうに働いていたら、

きっと副業なんてしないんだろうな」


といつも思う。
タイミーでどの現場に行ってもいつもそうだし、
わたしは添乗員時代もずっとそうだった。
いつもバスに1人の添乗員は、
いくらドライバーさんやガイドさんと仲良くなっても絶対に同業者ではないのだ。
だからホテルのフロントとかレストランの店員同士で名前を呼んで仲良く働いているのを見ると、 
いつもいつも羨ましくてたまらなかった。
わたしがニコニコして誰かと話しているときも、
端から見れば同じなんだろうなとは思うけれど。


今日もお給料が削られる時間になってから、
勤続25年おじさんに上がるよう言われて本当に困ったけれど、
それでもなんとか他のドライバーさんにくっついて、予定通り貰える時間まで仕事させてもらった。
勤続25年おじさんは最近調子が悪いようで、
仕事をサボっていたりミスが増えている感じだ。
だからみんな悪口を言っているし、
司令塔おじさんも本当に怒っていたから、
もしあのおじさんが事務の人に文句を言っても、
なんとかなる気がするから気にしないでおこ!

(謎の強気)


帰り道、

「普通に話せる柳楽優弥は一体どこにいるんだろう」


と考えながら1人で駅まで歩いて帰った。
たぶんここの運送会社の男性達なら、
連絡先くらい聞いても変な感じにならないだろうし、
趣味の現場で会う男性達もおそらく独身だし、
車で送ってもらったりしたら簡単に仲良くなれるだろう。
母親と車で行くのを止めて、
1人で公共交通機関を使って田舎に行けば、
必ず1人や2人は「送りますか?」と声をかけてくれる男性が毎回いるはずだ。

でもなんかそういう気にならないんだよな。



わたしが気になって気になって仕方ないのは、
やっぱり好きな人だけで、
でもあの人には連絡先どころか、
独身かどうかすら聞ける隙が1年以上無くて、
わたしはまた何の経験値も上げられずに年を重ねるのだろう。



今年も彼氏できなかったな。
来年は彼氏いない歴12年になるのだ。



子供は嫌いだから産みたくないし、
結婚願望もないけれど、
楽しい恋愛はもっとしてみたかったなと思う。
なんかもっといろんなことをしてみたいのに、
わたしの人生はいつも、
手に入りそうなものと手に入れたいものが違うので、
結局わたしは何もしないで終わってしまう。

自分が食べたいものじゃないなら要らない!


とゴネるめちゃくちゃわがままな子供みたいだ。
でも要らないんだもん。
わたしは要らないもののためには頑張れない。


「なんか楽しいことないかな」
と満たされない気持ちでスマホを見ていたら、
趣味の集まりの飲み会の誘いが来ていたので、
わたしはまたとりあえず申し込んでみた。
今度こそ柳楽優弥がいますようにと願いながら。