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ディズニープリンセスとドライブデートがしたいんだ
「失態」
振り返れば僕の野球人生は細かな黒歴史の連続だったと思う。
・練習試合、塁に出てリードを取る時にトミーフェブラリーのジュテームジュテームを熱唱。バカ丸出しだと呆れられる。
・監督との交換日記に「おはよう」という詩を書き提出する。
・帽子のツバの裏に「必勝」とマジックで書くが、レギュラーに程遠い。
坊主は似合わないし、ユニフォームを着ることが死ぬほど恥ずかしかった。
野球部という個性で括られることが嗚咽するほど嫌だったのだ。
中学生2年生に身長が156cmから170cmまで大躍進を遂げる過程でヘルニアになり、休部。その時に今はなきパルコの島村楽器で初めてのギターを買った。
青いレジェンドのストラト。今考えると死ぬほどダサい。
部活がないことをいい事に薄暗い青春を謳歌。童貞を卒業した。
排泄以外の使い道が本来のあるべき姿なのだと気付かされたあの衝撃は、先日の免許失効と近しいものがあったように感じる。
仮想通貨購入の口座開設。身分証確認で自慢の運転免許証(青)が期限切れで弾かれた。
確かに1ヶ月期限が切れていた。
翌日すぐさま免許センターへ来訪。
初めての免許取得の若者たちと同じ部屋で講習を聞いた。
僕の目線は左斜め前のパキギャル(黒ギャルAV系)が寝落ちを必死で我慢してカクカクする姿に釘付けで、カーテンのない窓から見える真っ青な空にアクセントで浮かんだ雲の申し訳なさにそっくりだった。
パキギャルの
首がカクカク
青い空
視線の先に
まだ見ぬ未来
短歌が爆誕した。
初めての免許を取得するパキギャルはまだまだ学生気分、人の命を預かる"運転"の重さを知らず、昼下がりの怠い授業に出席しているかのようだ。
でも免許失効おじさんの僕は、パキギャルのその葛藤の先に、大人への階段をまた一段のぼることを知っているのだ。
帰り際パキギャルの鞄にアナ雪 オラフのストラップが付いているのが見えた。
オラフ…?
そのギャップに思考が渦巻く。
「ディズニープリンセスは皆等しく、叶えたい夢と自分の置かれている状況のギャップに悩んでいる。」
日サロに行かねばこんがり焼かれぬであろうその肌とオラフの純白ゲレンデボディのギャップ。
まさに、
長い髪の手入れで美容ビジネスで企業したラプンツェル
顔はいいが頭は悪い白雪姫
わがままが行きすぎて共感し得ないジャスミン
半魚人生活が長すぎるせいで生臭さが髪から拭えないアリエル
ディズニープリンセスが持つギャップにそっくりだった。
僕は君を乗せてドライブにいきたい。
僕のワーゲンの助手席に乗せて、コンビニのコーヒーを片手に、会話の隙間の沈黙をBGMに、行き先を決めずドライブに行きたい。
たどり着いた終着点は、那須町 九尾の狐の言い伝えがある殺生石。
硫黄の匂いに包まれて
くちびるの震え
ジュテームジュテーム
自由律俳句。
パキギャルの運転ライフがどうか無事故無違反で大きなトラブルなく過ごせますよう、お祈りさせていただき、締めの挨拶とさせていただきます。
あざした。
サムデイ、INKと今月はレコーディングが続きます。リリースのお知らせをお待ちください。