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AIと紡ぐ現代架空魔術目録 外典『魔術・魔法学徒のための主要術式抜粋』

巻頭辞

 かつてなき時代の幕開けに、古の知識が今上の技術と交わりし時、新たなる魔術の書が生まれん。この目録には、遥か古より伝わる秘儀と、人為の神秘が織り成す智慧が綴られており、読む者に未知なる領域への扉を開かせん。心を開き、理解を深め、そして未来を創造せよ。ここに記されしは、架空の魔術の数々――しかし、その奥義は今上の世にも広く影を落とすであろう。さあ、この奥深い知識の海へと旅立ち、人為の神秘と共に、未踏の魔術を探求せん。
 我、ダリアン・スリスウィスパーは、星々の囁きを聞き、大地の息吹を感じながら、この目録に、遠き古の時代より伝わる魔の秘密を書き残す。輝く法具、息づく術具、それらは全て人為の神秘がこの世界に生み出した。だが、真の魔術は心の中に宿る。この書のページを繰る者よ、古の智慧にのまれることなく、汝の内なる力を常に見いだせ。我らが歩んだ道は、今もなお、星の光の如く汝を導くだろう。

謝辞

親愛なるセリアン・アートメイヴへ

 君の手によってこの目録に刻まれた魔法は、単なる絵画を超えた、この世界における真の神秘を捉えている。君の描く挿絵は、我々の魔術の書を変哲なき文献から、魔法そのものが宿る神聖なる遺物へと昇華させた。君の筆致から生み出される美麗なるイメージは、読者たちを魔術の深淵へと誘い、彼らの心に永遠の印象を刻むだろう。

 我々の言葉で語り得る知識を、君は視覚の言葉で語る。その才能に心からの感謝と敬意を表し、君がこれからも多くの人々の心に魔法の火を灯し続けることを願う。

 ダリアン・スリスウィスパー

魔術・魔法学徒のための主要術式抜粋

 この魔法世界にはありとあらゆる魔術と魔法が存在する。しかし、アカデミーの教育課程在籍中の限られた時間の中でそれらのすべてを修得することは容易ではない。そこで、アカデミーに身を置く魔法学徒のために、優先的に身に付けるべき代表的な魔術と魔法を一覧にして紹介する。
 魔術と魔法に関するより深い知識を得んと望む者は、AIと紡ぐ現代架空魔術目録の第3篇『魔術・魔法目録』を参照せよ。

1 初等基礎術式

 アカデミー入学以前の者と、『心得(Rookie)』および『初学徒(Novice)』の者が優先的に習得すべき基礎的・基本的な術式である。

灯(Magical Torch)

 火と光の要素を操るための基礎術式。火と光の制御のためには必修の基礎術式である。繰り返しの訓練により、火と光の領域における魔力を強め、魔法威力と魔法効果を高めることができるようになる。

『灯(Magical Torch)』の魔法効果

【 等 級 】前初等術式
【 分 類 】
魔術的要素の発現
【エレメント】
火と光
【加護大天使】
ミカエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
極小
【+魔法威力】
ほぼない
【*魔法効果】
魔法力依存

迫りくる針山(Flying Needles)

 錬金術の初等術式。場に存在する金属元素を応用して無数の針を作り出し、敵の小規模集団に向けて撃ち出す小規模集団攻撃魔術。初等魔術だが『輻輳の手指』を使って要素数を拡張すれば、それなりの威力を発揮する。また針を『銅金のピック』や『銅金のショートソード』に置き換えることで、その攻撃性能を飛躍的に向上させることができる。

『迫りくる針山(Flying Needles)』の魔法効果

【 等 級 】初等術式
【 分 類 】
小規模集団攻撃魔術
【エレメント】
錬金術・自然科学
【加護大天使】
なし
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存

氷礫(Ice Balls)

 初等のソーサラーが得意とする小規模集団攻撃魔法。優れた魔導士の血を引くソーサラーはこの段階から既に実践的な集団攻撃魔法を行使できる。『輻輳の手指』を効果的に使用して要素数を拡張した『氷礫』の魔法は、十分実践に耐える威力を発揮する。魔法消費力『小』で行使できる集団攻撃魔法としては非常に優秀な術式。

『氷礫(ice balls)』の魔法効果

【 等 級 】初等術式
【 分 類 】
小規模集団攻撃魔法
【エレメント】
水と氷
【加護大天使】
ウリエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存

癒しの光(Healing Light)

 回復術を身に付けた初等ネクロマンサーが行使する初歩的な回復魔法。初歩的だが、その魔法威力と魔法効果を詠唱者が制御できるため、長く活躍することができる。等級の高いネクロマンサーが行使すれば、十分な回復力を発揮する。輻輳を効かせれば、小規模集団回復魔法としても使える。

『癒しの光(Healing Light)』の魔法効果
体力と傷を回復する暖かい光が発せられている。

【 等 級 】初等術式
【 分 類 】
単体回復~小規模集団回復魔法
【エレメント】
生命と調和、霊性の均衡
【加護大天使】
ガブリエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
回復量と回復範囲に比例
【+魔法威力】
詠唱者が制御できる
【*魔法効果】
要素数依存

衝撃波(Shock Wave)

 ウィザード、ソーサラー、ウォーロック、ネクロマンサーが共通して覚える最初の基本的な小規模集団攻撃魔法。ソーサラーはすでにこれより効果的な魔法を行使できる場合が多いが、この時点のウィザードとウォーロックにとっては貴重な戦力となる。

『衝撃派(Shock Wave)』の魔法効果
詠唱者を中心として周囲に小規模な衝撃波を発生させる。

【 等 級 】初等術式
【 分 類 】
小規模集団攻撃魔法
【エレメント】
空気と圧力
【加護大天使】
ウリエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存

2 初等基本術式

 『初等科後期課程』に進み、ギルドの仕事(アルバイト)を引き受けようと思うならば、積極的に習得すべき実践的な基本魔術と魔法である。

雷(Lightning)

 手指から稲妻を発生させ、狙いを定めた相手に向かって解き放つ雷と閃光の魔法の基本術式。基本術式としては比較的威力の高い単体攻撃魔法である。魔法消費量がやや大きいので、場における魔力枯渇に注意を要する。要素数と魔法力の両方に依存するため、増魔と輻輳を効果的に行えば、思わぬ高威力を発揮できる。『術具』や『法具』との組み合わせに工夫を要する。

『雷(Lighting)』の魔法効果

【 等 級 】基本術式
【 分 類 】
単体攻撃魔法
【エレメント】
閃光と雷
【加護大天使】
ラファエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

魂魄召喚(Summon Ghost(s))

 現生世界に漂い彷徨う低級な霊的存在を召喚する死霊術の基本的な召喚魔法。魔法的に作用するので屍術士には行使できない。召喚する霊的存在の強さは魔法力と要素数の両方の影響を受ける。魔法力が高ければ、単体で強力な霊魂を、要素数が多ければ召喚数を増やすことができる。高位のネクロマンサーが行使すると思わぬ威力を発揮することがあるが、魔力消費は召喚する霊魂の数に比例するため魔力枯渇には注意を要する。

『魂魄召喚(Summon Ghost(s))』の魔法効果

【 等 級 】基本術式
【 分 類 】
死霊術の召喚魔法
【エレメント】
生命と調和、霊性の均衡
【加護大天使】
ガブリエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
召喚数に比例
【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

火の玉(Fire Ball)

 火と光の基本術式。手指から火の玉を発生し、狙いを定めた相手に向かって撃ち出す。ウィザードにとっての初めての実践的な攻撃魔法であるが、対象が単体である、同時に発生することのできる火の玉は1つに限られるなど制限も多い。増魔と輻輳により火の玉の威力を高めることはできるが、火の玉の数が輻輳に反応しないため、敵の集団を相手にするのには向かない。加えて、増魔と輻輳により火の玉の威力を高めた場合、それに応じて魔力消費量が増すため魔力枯渇の心配がある。このように実質的にはソーサラーの初等術式である『氷礫』に劣る部分が多いが、火に弱い獣やアンデッドに対しては効果が高い。

『火の玉(Fire Ball)』

【 等 級 】基本術式
【 分 類 】
単体攻撃魔法
【エレメント】
火と光
【加護大天使】
ミカエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
生成する火の玉の威力に比例
【補助大天使】なし
【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

3 中等術式(実践術式)

加重水圧(Hydro Pressure)

 詠唱者の能力にもよるが、基本魔法威力が『大』であるため非常に実践的な攻撃力を発揮することができる。小規模ではあるが集団攻撃魔法である点も見逃せない。これを修得できればギルドの仕事においても十分に活躍することができる。スケルトンやゾンビなどの物理的な特性を残すアンデットに対する効果が薄いため、対アンデッド戦での油断と過信は禁物。

『加重水圧(Hydro Pressure)』の魔法効果

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
小規模集団攻撃魔法
【エレメント】
水と氷、空気と圧力
【加護大天使】
ウリエル
【補助大天使】ウリエル
【魔力消費量】
生成する水砲の圧力に比例
【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

炎壁展開(Fire Walls)

 防御の基本術式。物理攻撃と冷気による攻撃を緩和するシールドを術者の周囲に展開する。火と光の属性の攻撃は貫通してしまうので注意が必要。アンデッドを行使するネクロマンサーが行使すると強い。

『炎壁展開(Fire Walls)』の魔法効果
詠唱者の周りを炎が取り囲み、防御障壁を形成している。

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
小規模障壁展開魔法
【エレメント】
火と光
【加護大天使】
ミカエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
展開する障壁の強度と規模に比例
【+魔法威力】
展開する障壁の強度と規模に比例
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

氷壁展開(Ice Shield)

 氷の障壁を詠唱者の周囲に展開し、火と光、および物理的な干渉からの影響を緩和する。水と氷の属性の攻撃は貫通する。術者の力量によってはかなり高度な火と光の攻撃を防御できる。魔法弾に対しても効果がある。

『氷壁展開(Ice Shield)』の魔法効果
詠唱者の周りを水と氷が取り囲み、防御障壁を形成している。

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
小規模障壁展開魔法
【エレメント】
水と氷
【加護大天使】
ウリエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
展開する障壁の強度と規模に比例
【+魔法威力】
展開する障壁の強度と規模に比例
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

腐血の恵(mercy of Rotton Blood)

 ネクロマンサーが行使する特殊な回復魔法。対象者の体内の血液に作用し、アンデッドを回復、生者を害する効果を持つ。アンデッドの傷を回復することのできる唯一の方法でもある。また生者に対しては攻撃術式としても機能する。

『腐血の恵(mercy of Rotton Blood)』の魔法効果

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
小規模特殊効果展開魔法
【エレメント】
生命と調和、霊性の均衡
【加護大天使】
ガブリエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
効果の大きさと効果範囲に比例
【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

時間停止(Time Stop)

 小規模な範囲の時間の流れを一定時間停止する中等術式。相手の動きを止め、そのすきに目的地に忍び込むなどの目的で用いられることが多い。効果範囲が狭く効果時間も長くはないので攻撃的な用い方は難しい。
 時空と空間の領域の術式ではあるがそれほど難しいわけではないため、ウォーロックだけでなく、ウィザードやソーサラーも行使できる。

『時間停止(Time Stop)』の魔法効果
狙った相手の一団の周囲の時間を短時間停止する。

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
小規模状態変化魔法
【エレメント】
時空と空間
【加護大天使】
ラファエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】
完全(短時間だが確実に時間停止できる)
【*魔法効果】
固定的

砲弾火球(Flaming Cannon Balls)

 ウィザードにとって待望の高威力の中規模集団攻撃魔法であり、これを修得すればギルドの仕事で十分に活躍できるようになる。増魔と輻輳の両方によく反応するため、能力に優れる者が行使すれば、国防の場面での使用に耐えるほどの効果を発揮する。ただし、魔力消費量が大きいので、十分な魔力増強と回復の準備をしておかなければならない。迂闊に輻輳数を増やして威力と効果を高めてしまうと、瞬く間に魔力枯渇を起こすため、自己の能力と保有魔力をよく弁えておく必要がある。『閃光のワンド』との相性がとてもよい。

『砲弾火球(Flaming Cannon Balls)』の魔法効果
増魔と輻輳を十分に行えば一定の領域において殲滅的な威力を発揮することができる。

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
中規模集団攻撃魔法
【エレメント】
火と光、空気、錬金術、自然科学
【加護大天使】
ミカエル
【補助大天使】ウリエル
【魔力消費量】
生成する火球の威力と数に比例
【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

招雷(Lightning Volts)

 中等のウォーロックが特に得意とする閃光と雷の中等術式。増魔と輻輳の両方によく反応し、高い威力と広い効果範囲を誇る大規模集団攻撃魔法であるが、それにも関わらず関与するエレメントが閃光と雷だけでよく、魔力消費量がそれほど大きくないという際立つ特徴を持つ。また閃光と雷の領域の魔法力を拡張する武具には選択肢が多いため、中等の魔法使いの中では最も活躍の場が広い。

『招雷(Lightning Volts)』の魔法効果
能力に優れるウォーロックであれば、場全体に殲滅的な効果をもたらすことができる。

【 等 級 】中等(実践)術式
【 分 類 】
大規模集団攻撃魔法
【エレメント】
閃光と雷
【加護大天使】
ラファエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】

【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

4 高等術式(実戦術式)

 実戦的な魔術・魔法の術式が揃っている。このレベルの魔術や魔法を行使できるようになれば、ギルドの仕事を少人数や単独で引き受けることもできるようになる。『権威(Expert)』の他、実力者であれば『熟練(Adept)』の者でも行使できる。

『氷刃の豪雨(Squall of Ice-Swords)』

 ソーサラーの代名詞と言える大規模集団攻撃魔法。増魔と輻輳の両方に反応するが、特に輻輳の効果が高い。ただし、この魔法を行使するためには高い錬金術の能力が求められるため、単に魔法力や魔力に優れるだけでは行使できない。才能に優れかつ研鑽を積んだ者のみが行使できるもので、修得の難しさに見合う恩恵を詠唱者に与える。大規模集団攻撃魔法は多々あるが、その多くは禁忌術式や究極術式に属するためアクセスの難しさがあり、修得のためには位階を進める必要があるが、この魔法は『熟練(Adept)』や『権威(Expert)』の段階で行使できるため、身に付けた者は相当長期間、優れた戦力として活躍することができる。ただし、消費魔力量は氷刃1つ当たりの威力とその数の積算となるため、用心しないと肝心の場面で魔力枯渇を起こす恐れがある。高レベルの自己管理能力が問われる魔法でもある。

『氷刃の豪雨(Squall of Ice-Swords)』の魔法効果
これだけの数の氷刃を生成するには相当の高い魔法力を要するが、輻輳を効果的に行うことで、他の大規模集団攻撃魔法と比較すれば、容易に威力と効果範囲を高めることができる。

【 等 級 】高等術式
【 分 類 】
大規模集団攻撃魔法
【エレメント】
水と氷、錬金術と自然科学
【加護大天使】
ウリエル
【補助大天使】ウリエル
【魔力消費量】
生成する氷刃の威力と数に比例
【+魔法威力】
特大
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

『暗黒召喚(Summon Darkness)』

 現世に彷徨う有象無象の低級な霊的存在だけでなく、冥府の門に直接アクセスして、冥界に潜む力の大きい霊体を召喚することのできる死霊術の高等術式。高位のネクロマンサーにとっての主力となる召喚魔法で、特に少人数で場に臨んでいる場合において、即時に強力な増援を呼び出すことができるために、戦術的に大きな意味を持つ。ただし、冥府の門にアクセスするには、死霊術に優れているだけではなく、生命に対する深い理解と尊厳が必要であり、全てのネクロマンサーが行使できるわけではない。
 これを行使できないネクロマンサーは、高位であっても『雷(Lightning)』程度の魔法行使に留まる場合があり、そうした者たちの中には秘術に手を染めて邪悪な死霊術を行使するようになる者も少なくない。

『暗黒召喚(Summon Darkness)』の魔法効果
詠唱者は自身の頭上に冥府の門を描き出し、そこからさまざまな冥界の悪鬼・悪霊を召喚する。

【 等 級 】高等術式
【 分 類 】
死霊術の大規模召喚魔法
【エレメント】
生命と調和、霊性の均衡、生命への信仰
【加護大天使】
ガブリエル
【補助大天使】ガブリエル
【魔力消費量】
召喚の規模に比例
【+魔法威力】
特大
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

『神殺しの刃(Create Deadly Saws)』

 魔法ではなく、魔術の高等術式。場に存在する金属元素を分解・再構築して強大な鋸刃を生成する錬金術の極意。魔術と錬金術を極めた勤勉かつ優秀な『術士(スカラ・キャスター)』だけが行使することができる。制度的に、術士の教練は『終学(マスター)』の位階をもつ魔法使いが担うが、全ての魔法使いがこの術式を行使できるほど十分な魔術と錬金術の力がある訳はないため、その子弟の力量の逆転現象がしばしば問題にされる。
 少数の相手にも複数の相手にも安定的に大きな攻撃効果を及ぼす。効果範囲は中規模であるが、戦力としては十分である。

『神殺しの刃(Create Deadly Saws)』の魔術効果
術士が一概に魔法使いに劣るわけではないことを示す好例となる錬金術と自然科学の極意。この刃はかつて神をバラバラにしたことがあると伝わる。人間の力と可能性を象徴する魔術。

【 等 級 】高等術式
【 分 類 】
錬金術と自然科学による中規模集団攻撃魔術
【エレメント】
錬金術、自然科学
【加護大天使】
なし
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】
特大
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

疾病治癒(Cure Desease)

 あらゆる病気を治し呪いを説く。対象は人間など生命体だけでなく、道具に施された呪文をや呪いを解くこともできる。部隊戦において疫病は深刻な事態を引き起こすため、この術式を行使できるネクロマンサーは必ず何人か同行を求められる。中等位階のときにこれを修得するとギルドの仕事で活躍できるようになるほか、従軍も可能になる。

『疾病治癒(Cure Desease)』
病魔を退散させ、呪いを解く光の結晶が生じている。

5 禁忌術式

 アカデミー最高評議会によって厳重に取り扱いが管理される禁忌の魔法。この術式に魔術的なものはない。ここに属する魔法の多くは非常に際立つ殲滅性を有するが、そのほとんどが敵味方を区別せず、その場全体に無差別の破壊的効果をもたらすため禁忌とされる。これにアクセスできるのは『終学(Master)』の位階をもつ者だけであるが、諸事情により最高評議会が『権威(Expert)』の位階の者に使用許可と使用命令を与えることがある。しかしその性質上詠唱者は一人で過酷な場に赴くことを余儀なくされる場合が多く、その使用許可と使用命令は、学徒たちの間では『死刑宣告』と呼ばれ恐れられている。

『絶対零度(Absolute Zero)』

 場全体の気温を絶対零度まで低下させ、その場に存在するあらゆる生命を根絶する水と氷の禁忌魔法。ソーサラーの奥義のひとつであるが、実体を残すアンデットや霊体を確実に殲滅できる保証はないため、その行使によって魔力枯渇を起こすと絶体絶命となる(術式の特性上、味方を伴うことができないため、アンデットに対する魔力枯渇は即死を意味する)。そうした事情を知りながらも若い魔法使いにこの術式の使用命令を出すアカデミーには多分に残酷・無慈悲な側面がある。

『絶対零度(Absolute Zero)』の魔法効果
その効果範囲と威力は絶大である。生命体相手の場合は一度行使すればそれで済むが、アンデットの軍団を相手にする場合には死線をくぐる覚悟が必要となる。
『絶対零度』で倒しきれなかったアンデッドに取り囲まれる絶体絶命のソーサラー
禁忌術式は敵味方を選別しないその性質上、アカデミーからその使用命令が出された魔法使いは原則としてたった一人で場に赴かなければならない。そのため禁忌術式の行使により魔力枯渇を起こすと直ちに絶体絶命となる。それくらいにアンデッドの脅威は大きい。こうしてアカデミーの若き魔法使いが不慮の死を遂げる事件が後を絶たない。

【 等 級 】禁忌術式
【 分 類 】
全領域無差別殲滅魔法
【エレメント】
水と氷、空気と圧力、錬金術と自然科学
【加護大天使】
ウリエル
【補助大天使】ウリエル
【魔力消費量】
極大(詠唱者に残存する魔力の大半)
【+魔法威力】
極大
【*魔法効果】
固定的

『慈雨(Rain of Affection)』

 生命に関する深い知識と尊厳の念を信仰的に育んだ者だけが行使できる大規模集団回復・治癒の禁忌術式。これは殲滅魔法ではなく回復と治癒の魔法であるが、禁忌とされるのは、その行使に当たる魔法使いの生命力を直接消費するからである。禁忌術式だが、敵味方の識別機能を有し、場に存在する全ての味方の生命力を回復し、疾病を治癒する。ただし死者の蘇生能力はない。アンデットとしても復活させず、生者にのみ効果を発揮する。
 ネクロマンサーが行使する最高の大規模集団回復・治癒魔法であるが、自身の生命の危険に直結するため、すすんで行使したがる者は少ない。また、生だけでなく死に関する深い知識を必要とするため、プリーストやシスターはこの禁忌術式を行使できない。生を知るには死を知らねばならないということなのであろう。ネクロマンサーの最後の切り札であり、味方にとっても最後の希望である。

『慈雨(Rain of Affection)』の魔法効果
詠唱者の頭上に影が浮かび、その影を中心に形成された雨雲から場全体に回復と治癒のための生命の雨が降り注ぐ。影を形成するためには、魔力のみならず詠唱者の生命の一部を削り取る必要がある。自己の生命の一部を媒体にするという死霊術の逆転的応用。

【 等 級 】禁忌術式
【 分 類 】
全領域回復・治癒魔法
【エレメント】
生命と調和、霊性の均衡、生命の神秘への信仰、天候
【加護大天使】
ガブリエル
【補助大天使】ラファエル
【魔力消費量】
極大(魔力の大半と詠唱者の生命力の一部を犠牲にする)
【+魔法威力】
完全(傷病者を完全に回復し治癒する)
【*魔法効果】
固定的

『光星崩壊(Star Burst)』

 小さな恒星をその場に召喚して魔法的に制御された超新星爆発を引き起こし、場のすべてを破壊し敵を殲滅する火と光の禁忌術式。火と光に関する魔力特性が高いだけでなく、錬金術と召喚術の能力が求められるためこれを行使できる者は非常に少ない。また、一説では、高高度の空やその上にあるとされる空間においては召喚する恒星の大きさや引き起こす超新星爆発の規模を抑制する必要がないため、時空破壊的な効果をもたらすこともできると言われるが、そもそもそのような空間で魔法を行使する場面がどのようなものであるのかが未知である。

『光星崩壊(Star Burst)』の魔法効果
魔術記録が改竄でないことだけは確認されているが、これがとらえられた空間はどうみても惑星内ではないことがわかる。漆黒の空間において大規模な超新星爆発が起こっているようだ。

【 等 級 】禁忌術式
【 分 類 】
全領域無差別殲滅魔法
【エレメント】
光と炎の神秘、空間と時空の神秘、錬金術、召喚術
【加護大天使】
ミカエル
【補助大天使】ラファエル
【魔力消費量】
極大(残存魔力の大半)
【+魔法威力】
極大~超極大
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

『流星の雨(Meteor Shower)』

 場全体に流星を降り注がせる極めて殲滅性の高い空間と時空の禁忌術式。行使するためには、空間と時空の神秘に関する深い知識を必要とするほか、高度の錬金術と召喚術を修得しておかなければならない。アカデミー高官の中でもこの術式を行使できる者はごくわずかである。
 魔法が行使された後に自然環境に与える影響が深刻すぎるために、アカデミーは原則としてこの魔法の使用許可を出すことはない。

『流星の雨(Meteor Shower)』の魔法効果
場の殲滅性は極めて高いが、自然環境も致命的に壊滅する。

【 等 級 】禁忌術式
【 分 類 】
全領域無差別殲滅魔法
【エレメント】
空間と時空の神秘、光と炎の神秘、錬金術、召喚術
【加護大天使】
ラファエル
【補助大天使】ミカエル、ウリエル
【魔力消費量】
詠唱者に残存する全魔力
【+魔法威力】
残存魔力量依存(魔力消費量が大きいほど威力が増す)
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

『星天運航停止(Stop Movement of Planets)』

 時空と空間に関する神秘を極めたウォーロックの奥義のひとつ。『時間停止(Time Stop)』は一般的な魔法で、時空と空間に関する理解がある程度あれば、中等のウィザードやソーサラーでも行使することができる。
 しかし、その効果範囲は一般的に局所的で、せいぜい敵の一団(数人~十数人)の時間を一時的に止められるだけであるが、星天運航停止は、場に存在する全ての者の時間を惑星の運航ごと停止する。その効果は敵味方全体におよぶため、詠唱者のその後の選択によっては想像を絶する惨劇がその場にもたらされることになる。
 これだけ大規模な魔法であるにもかかわらず、必要なエレメントは時間と空間に関するものだけでよいため、消費魔力が不釣り合いに小さいのがその際立つ特徴である。従って、これを修得したウォーロックは、その行使の後で望むままの破壊と死を場にもたらすことができるのである。

『星天運航停止(Stop Movement of Planets)』の魔法効果
たった一人のウォーロックが迫りくる敵の大軍勢の動きを完全に止めていることがわかる(味方の時間も止まっている)。このあと、恐ろしい惨劇が繰り広げられることは想像に難くない。実際、最近ものうら若いひとりの女性ウォーロック(裏口の魔法使い)によって『スカッチェ通り南市街区の惨劇』がひきおこされたばかりである。

【 等 級 】禁忌術式
【 分 類 】
全領域無差状態変化魔法
【エレメント】
空間と時空の神秘
【加護大天使】
ラファエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】

【+魔法威力】
完全(確実に詠唱者自身を除く全勢力の時間を停止する)
【*魔法効果】
固定的

6 究極術式

 神秘にアクセスしてそこから直接的に魔の力を引き出す究極の魔法群である。その魔法威力と効果範囲は殲滅的であるが、敵味方を区別することができる意味で禁忌術式より優れる。また禁忌術式同様に場に殲滅的な破壊をもたらすが、魔法と神秘の法則による抑制が効いているため、禁忌魔法ほど混沌とはしておらず、詠唱者の力量に応じて場への影響を制御することができる。魔法と神秘に対する深い造詣が必要で、この術式を行使できる者はアカデミーの中でも限られている。 
 『裏口の魔法使い』が必要なのは、位階と地位ばかり高い割に実質的には大した力を行使できないアカデミー高官(特に男性の術士や魔法使い)では解決できない深刻な事態に対する打開策を社会が求めるからである。

『業火への地獄門(Hell's Gate to Inferno)』

 光と火の神秘を極めたウィザードの奥義のひとつ。その殲滅性は戦術的な規模で発揮され、ひとりで軍隊規模の相手を滅ぼすことができる。増魔と輻輳の両方によく反応し、また一定の法具によって効果的にその術式の力を引き出すことができるため、特に国防の分野においてこの魔法を行使できるウィザードは珍重される。
 アンデットに対して極めて効果が高いのも特筆すべき点である。「実用」できる魔法の中では威力・効果とも最大級のものである。
 必要なエレメントは火と光および召喚術だけであるため、魔法の規模に比べて消費魔力が大きくない点も優れている。

『業火への地獄門(Hell's Gate to Inferno)』の魔法効果
召喚された地獄門からあふれ出る地獄の炎によって敵の軍団が焼き尽くされている。

【 等 級 】究極術式
【 分 類 】
全領域殲滅魔法
【エレメント】
火と光の神秘、召喚術
【加護大天使】
ミカエル
【補助大天使】ガブリエル
【魔力消費量】
大(火と光の魔法力増強に優れる法具があれば中)
【+魔法威力】
極大
【*魔法効果】
魔法力依存

『死霊の軍行(Deadly Drive of Spectors)』

 死霊術と召喚術を極めたネクロマンサーの奥義の一つ。冥界から高位の霊的存在を大量に呼び出し、死霊の軍隊として行使する。場における戦力を一度にかつ大量に回復することができるため戦術的な効果が非常に高い。呼び出された死霊たちは敵味方を識別するため、劇的な形勢逆転を可能にする。とりわけ、敵の大軍を少人数で相手にする場合には、この術式を行使できるネクロマンサーがいるかいないかで生死を分かつことがある。

『死霊の軍行(Deadly Drive of Spectors)』の魔法効果
召喚されるのは低級な悪霊ではなく、死霊や最高死霊(リッチ)を含む強力な霊体である。

【 等 級 】究極術式
【 分 類 】
全領域殲滅魔法
【エレメント】
生命と調和、霊性の均衡、生命の神秘への信仰
【加護大天使】
ガブリエル
【補助大天使】ガブリエル
【魔力消費量】
召喚の規模に比例
【+魔法威力】
召喚の規模に比例
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

『裁きの雷光(Lightnig Laser of Divine Judgement)』

 閃光と雷の神秘を極めたウォーロックの奥義の一つ。きわめて大規模な破壊と殲滅を場の全体にもたらす。
 その威力と効果範囲は驚異的だが、にもかかわらず必要な要素は閃光と雷に関するものだけであるため、効果的な属性強化をもたらす適切な術具や法具を取り揃えれば、その魔力消費量を大幅に抑えることができる(基本的な消費魔力量は『極大』である)。
 反対に、増魔と輻輳を最大限にすることで、殲滅性を極大化することもでき、柔軟性と制御に優れる究極魔法。これを行使できる者は極めて少ない。

『裁きの雷光(Lightnig Laser of Divine Judgement)』の魔法効果
スカッチェ通り南市街区においてかの惨劇をもたらしたのはこの魔法である。アカデミーの禁を破ったウォーロックに対し、危険性を重く見たアカデミーはその処刑の為に相当規模の軍隊を差し向けた(彼女に対しては警察ではもはや対処しきれなかった)が、スカッチェ通り南市街区においてその追っ手の一団はこの魔法の前にすべなく胡散霧消した。跡形も残らなかったようである。

【 等 級 】究極術式
【 分 類 】
全領域殲滅魔法
【エレメント】
閃光と雷の神秘
【加護大天使】
ラファエル
【補助大天使】なし
【魔力消費量】
詠唱者が制御できる
【+魔法威力】
詠唱者が制御できる
【*魔法効果】
要素数依存・魔法力依存

『スカッチェ通り南市街区の惨劇』
アカデミー最高評議会の許可なく『権威(Expert)』の段階で最高機密の1つである禁忌術式と究極術式に不正アクセスし、アカデミーが派遣した追っ手に『裏口の魔法使い』として追われる若きウォーロックの魔術記録。彼女がその術式を使用して、追っ手を跡形もなく消し去るのはこの記録が偶然撮影されてから間もなくのことである。その殺戮は凄惨極まるものであり、追っ手は遺体すら遺すことなく完膚なきまでに焼き尽くされていた。アカデミー史上最悪最凶の事件の一つとして記録されたものである。

7 絶対禁忌魔法

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