第9講 長文読解に役立つ英文法2
英文、とりわけ長文を正確かつ迅速に読み進めるためには、まず各品詞の修飾関係をおさえるとともに、どのような語句が一定の品詞として働く句や節を導くかということを体系的に整理しておく必要がある。英文は、1語1語がバラバラに機能しているわけではなく、準動詞や接続詞等により一連の意味のカタマリを構成し、単語とカタマリ、あるいはカタマリどうしが一定の修飾関係で結びつくことによって意味が一意に決まることになる。なお、英語には多くの品詞が存在するが、長文読解中に常に意識しておくべき品詞は、そのすべてではなく原則として文の要素となるもの、すなわち名詞・動詞・形容詞・副詞の相互作用関係に鋭く反応できれば十分に足りる。
各品詞の修飾関係概観
(1) 形容詞 ⇒ 名詞のみを修飾する
(2) 副 詞 ⇒ 主に動詞を修飾し、他に形容詞や副詞を修飾する。
また文全体を修飾する(準否定の副詞等)。
1 句と節
句( phrase )とは、文法上の主語と述語の関係を持たないカタマリ=語群をいう。文法上の主語と述語とは、時間の印を負う述語動詞とそれに対応する主語がないということで、文意的に主語と述語の関係がないという意味ではない。そしてこの文意的な主語と述語の関係のことを意味上の主語と述語という。文法上の主語と述語と意味上の主語と述語の関係は、必ずしも理解や区別が容易とは言えないが、形式と実質の問題であると捉えればよい。すなわち、文法上の主語と述語は「文法的に主語および述語となるための要件を満たしているもの=主語は名詞のみ、述語動詞は時間の印を負う」のみが該当し、意味上の主語と述語は「文脈上そこに○○が■■するという関係を見出すことができるが、文法上の主語と述語の要件を満たさないもの=意味上の主語は必ずしも名詞である必要はなく、意味上の述語は準動詞でもよい」のである。簡単に言えば、「○○が■■する」という叙述のうち、形式的な要件を満たすものが文法上の主語と述語、形式的要件を満たさないものが意味上の主語と述語であると理解すれば大過ない。以上を整理すると以下のようになる。
文法上および意味上の主語と述語
①いずれも「○○が■■する」という事柄を叙述する。
②文法上の主語と述語は形式的要件を満たす。
イ 形式的要件:名詞(句・節)しか主語になれない。
ロ 文法上の述語になれるのは述語動詞のみで、時間の印を負う。
③意味上の主語と述語は形式要件を満たさない。
ハ 名詞(句・節)以外も意味上の主語になれる。
(類例)for him to solve the problem「彼が問題を解く」to V
your helping me with my task「仕事における君の助力」Ving
a lot of birds flying in the sky「空を飛ぶ多くの鳥」現在分詞
ニ 準動詞も意味上の述語になれる。
不定詞( to V )、動名詞( Ving )、分詞(現在分詞・過去分詞)
ホ 第Ⅴ文型の O と C の間にも意味上の主語と述語の関係がある。
She heard some dogs barking loudly outside her house late at night.
彼女は夜更けに屋外で数匹の犬たちが激しく吠えているのを聞いた。
*1 O : some dogs、C:barking の間に、
Some dogs were barking ... という関係が成立している。
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