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第23回 宮沢賢治と陸羽132号 ①
陸羽132号 座談会から
こちらの引用は、#陸羽132号 の品種開発をした国立農事試験場陸羽支場の移転後継先の、東北農業研究センター 大仙研究拠点 の記念誌『大曲100年の研究とおもいで 』(東北農業試験場 作成 1996年) である。状況は座談会の記録です。
"#陸羽132号 の話
#座談会
「柿崎」 陸羽132号のもとになったのは、大正元年か2年に交配したものです。 明治43年の東北地方の例の大いもち被害があったので, 寺尾さんが考えたのです。その当時は,新しい理論もよくわからなかった。 その当時,全盛時代にあって一番被害が大きかったのは亀の尾で, いもちに強いのは愛国だと言われていましたが, 愛国は米質が悪い。 なんとか米質は良いがいもちに弱い亀の尾と, 当時品質が悪いがいもちに最も強いといわれていた愛国とを交配して, 両者のいいところをとろうという簡単な考えから出発しました。 愛国にはそのころからいくつかの系統があって、亀の尾にかけ合わせたのは陸羽20号でした。
「永井」 柿崎さんの話された愛国の純系の早いやつと亀の尾とを交配して, 陸羽132号と同じ系統のものを沢山配布したのですが, 陸羽132号だけが絶賛を博したのです。 その他にももっとよいものがありました。 しかし、米の形が愛国に近いということもあったのでしょう。 132号だけが有名になった。 人間でもそうでしょうが,たまたまある系統が非常に名声を博してしまうと,それ以外のものは捨てられてしまうのだな。 陸羽132号が普及したのは,最初秋田県の由利郡に柴田万之助という人がいて、 郡の指導者で由利に普及させたのです。 岩手には高橋茂君が胆江分場に持って行ったのです。"
どうでしょうか。#陸羽132号のイメージがわきましたでしょうか。陸羽132号の誕生の経緯の概略は以上になるかと思います。
陸羽132号ができるまでに
ここから分かることから更に、#東北農業研究センター #大仙研究拠点 でいただいた資料を付け足して説明していこうと思う。
・明治43年の大凶作は、大いもち被害で、耐冷、いもちに強い品種の育成が強く望まれていた。
・山形県庄内町で生まれた亀の尾は、主に東北地方で普及した。東北地方作付最大時期は大正八年(1919)で16万ha近くであった。
・稲熱病(いもち病、稲を枯らす病気)に強く、また倒伏耐性のある愛国系統の陸羽20号と、良品質だが稲熱病に弱い、早生で耐冷害性のある亀の尾4号を掛け合わせてできたのが、#陸羽132号 であった。(交配育種の水稲となる。)
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↑学術的内容はこちら 岩手県 江刺金札米シンポジウム 2021より
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・愛国の特徴は、熟期が中生の晩、苗丈、草丈が長く、穂数が少なく1穂が重い。倒伏し難く、稲熱病にもかかりにくい。
・亀の尾の特徴は、熟期は中生で愛国より、7-10日早い。穂重型。稈はしなやかで愛国より10cm程度伸びる。稲熱病に弱く、倒伏しやすいが多収。米質、食味に優れ、酒米にも適している。
・愛国系と亀の尾系で交配種は自然交雑の変異株、突然変異等色々試されたが、普及したのは、#陸羽132号 であった。
・陸羽132号 の特徴 としては、出穂期はあきたこまち並(中生種)、耐倒伏性、稲熱病には亀の尾より強い。耐冷性は、亀の尾か、亀の尾よりやや強い。昭和九、十年での凶作において陸羽132号の耐冷、稲熱病抵抗性は遺憾なく発揮され、当時の主流品種亀の尾と急速に交替した。
・岩手において最初に普及に努めたのは、高橋茂君で胆江分場に持って行った。(宮沢賢治が最初に広めたわけではない。)
・大正十年(1921) 系統名 #陸羽132号 付与される。岩手、秋田両県にて品種比較試験に供試
・大正十三年(1924) #陸羽132号 岩手、秋田県の奨励品種に採用される。その後他県でも奨励され16県まで拡大する。作付面積は、昭和七年(1932) 122,000ha 大冷害後の昭和十四年(1939)には230,906haまで拡大した。
以上になろうか。これらはネットでは見たことのない言説を含んでいた。情報を提供していただいた 東北農業研究センター 大仙研究拠点 様に多いに感謝します🙇
終わりに
宮沢賢治が出てこないではないか?と思われるが、私も情報過多といった感じだ。宮沢賢治との関わりは次回にしたい。これらは農家の子孫でもある自分は秋田で知りませんでもいけないと思う。陸羽132号からはコシヒカリ、あきたこまちなどメジャー品種の先祖になっていくからだ。ただ、また職員の方からは、近年陸羽132号の栽培は酒米を中心に増加してきているとのことでした。実際に早く飲みたいです!(手配中)
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(参考文献
「東北の稲研究」監修 鳥山國士・熊野誠一・滋賀宏一
東北農業試験場稲作研究 100年記念事業会)