4.めちゃめちゃ生きてる【「情熱とユーモア」発売記念メンバー対談(浪越編)】
1st full album『情熱とユーモア』いよいよフラゲ日を前日に控えた今日は、4曲目「めちゃめちゃ生きてる」について、この曲を持ってきたギター浪越と対談です。この曲は完成した時、このアルバムの軸になる曲だという確信があった。けど、その確信はどうやって生まれていったのか。パノラマパナマタウンがやりたいことの根幹になるような話になったと思います。永久保存版でどうぞ。
ギター浪越康平(24) フライドポテトに対して異常な執着をみせる
岩渕「結構最後にできた曲よな。」
浪越「そうやったな。『月の裏側』と同時期にできたところ。」
岩渕「中にある世界、コンセプトとか伝えたいことは固まってたけど、それを外に出す曲というか、入り口になる曲がないよねって話から、俺が『Top of the Head』を持ってきて、浪越が『めちゃめちゃ生きてる』を持ってきたってのが最初で。歌詞も確か最後の方に固まった気がしてて、『めちゃめちゃ生きてる』ってタイトルすらついてない状態が結構続いてて。この曲だけ歌詞が全然書けんかったんよな。」
浪越「あー確かそうやったな。」
岩渕「リードになり得る曲だし、いい曲だってのはメンバー全員共有できてたけど、だからこそすげえ悩んで。」
浪越「で、歌詞ができたら結構いいやんって感じになって。」
岩渕「そうやな。そっからメンバーの中で盛り上がってきたよな。」
・浪越がこの曲を作るまで
岩渕「作った人として、この曲はどういう曲?」
浪越「確か『月の裏側』も一緒に作ってんけど、軽快さが欲しくて。それは、エイトビートとかじゃなくて、ファンキーに跳ねた感じのやつが欲しくて。っていうのも『世界最後になる歌は』と『リバティーリバティー』をずっとライブでやってるけど、昔作った曲やし、完成度もそんな高くないかなーと思ってたから、それに代わる身体動かして楽しめる曲が欲しいなと思って作り始めたなあ。」
岩渕「なるほど。確かに、『世界最後になる歌は』に代わる曲を作ろうってのはずっとテーマとしてあったもんね。でも、『寝正月』って浪越が作った曲やんか。『寝正月』からの流れというか、あれの進化版みたいな浪越らしさはあるなーとも思ってるんよな。」
「寝正月」 : 誰もが知ってる隠しトラック。インディーズ1st mini album『SHINKAICHI』に収録されている。
浪越「確かに、結局こうなったな。何なんやろうなこの感じ。あんまり他でも聴いたことない気がする。曲作る時に、ギターを弾きまくって、ドラム叩きまくって、歌を詰め込みまくるみたいなイメージがあるんかな。」
岩渕「ほとんどできた状態のデモが浪越から送られてきて。」
浪越「そう、ほんでサビはコードつけて岩渕に送ったらいいメロつけてくれるやろってのがあったから。」
岩渕「サビは結構イエモンを意識したなー。あの時代の日本のロックバンドのニュアンスというか。」
・「めちゃめちゃ生きてる」ってダサくね?
岩渕「この曲、やっぱりレコーディングしてく中で段々メンバーの中の『いいやん!』って熱が高まっていった曲やと思うんやけど、俺的には『めちゃめちゃ生きてる』って言葉を思いついたのがすげえデカくて。今まで何となく考えてたこと、例えば『虚しく生きるんじゃねえぞ』ってことだったりが、この言葉一言で言えるじゃんみたいな。」
浪越「これって確か『めちゃ×2イケてるッ!』のオマージュ何やんな?」
岩渕「そうそう(笑) 浪越には話したけど。」
浪越「それって、『めちゃ×2イケてるッ!』側から入ったんか、何とか言えないかって模索の中から出たんかどっちなん?」
岩渕「それは『生きてる』感じを何とか言えないかなって模索の中からかな。歌詞が何日悩んでも一行も書けなくて、でもある朝起きたら『めちゃめちゃ生きてる』って言葉を思いついて。で、何でこんな言葉を思いつくんだろって後から考えたら『めちゃ×2イケてるッ!』があったからだなって気づいた。」
全然関係ない話だけど、『めちゃ×2イケてるッ!』最終回は一つの青春の終わり感が充満しててよかった。最後の岡村さんの「来週もやってるかもよ!」泣けた。
浪越「僕、結構自分の作った曲に対して歌詞をあててもらった時に思うことが多くて。それは良くも悪くもなんやけど(笑) で、この曲に関しては初めて聴いた時クソダサいなって思って。でも、全部を聴いたら面白いし、今となっては良いって思える。歌詞全体で見ると、岩渕の好きなものみたいなものが単語単語でいっぱい詰め込まれてて、そういうのって伝わるかは分からへんけど、固有名詞が沢山あると調べちゃうよなやっぱり。こういう趣味なんや、とかこういう人なんやってのがすごく分かって面白いと思う。」
岩渕「なるほどね。」
浪越「で、サビは『Top of the Head』もそうなんやけど、すげえポップに突き抜けてるよな。今までの曲やったら捻くれてるところとかあったけど、この2曲に関してはすげえ前向きやなーって。その前向きさが今までの曲と全然違うなーって思って、そこが自分の中でまだ整理できてないんよ実は。」
岩渕「それはすげえ表裏一体やなって思ってて。誰かが決めたレールに従って生きれるって社会があるからこそ、俺はその中でめちゃめちゃ生きたいって思えるというか。自分は誰かって葛藤とか、自分を枠に押し込めてくる社会への反発みたいなのがパノパナの今までのテーマだったと思うんやけど、それを裏返すと、生の肯定になると思うんよね。もっとみんなバラバラで良いし、やりたいようにめちゃめちゃ生きようぜってメッセージは最近歌えるようになったんやけど、根本は変わらないというか。」
浪越「岩渕の他人に対してのメッセージってのは、前から一番は自分に歌ってるやんか。そこが良いところやなと思ってて。自分がまず変わってくってところが。それが、次どうなってくんやろってのが楽しみだったりするかな。」
岩渕「なるほどね。『誰が歌ってるか』ってことはすげえ重要だけど、俺は早く自己葛藤みたいなところからは抜け出したいと思ってて、やっぱり誰かに届ける曲を書きたいと思ってる。『フカンショウ』がこれだけみんなに届いてるってことが俺的にはすごくデカくて。これだけ、プラスを歌えるようになったのも、あの曲が『届く』って経験ができたからだと思う。」
・具体的なギターを弾きたい
岩渕「曲に関してはどう?」
浪越「ギター1本で成立するファンキーな感じってのを出したくて。いつもの手癖のフレーズをギター1本でやるにはどうしたら良いって考えた時に、ただの単音じゃあかんから、最低2本の弦を使って弾くようにしたかな。」
岩渕「なるほど。1本で成立させる意識がずっとあったんやね。」
浪越「うん。岩渕がギターを持たずにマイクだけでって景色が見えてたんやと思う。」
岩渕「うんうん。」
浪越「芸術の話をすると、ものすごい具体的なものとものすごい抽象的でわかりにくいものがあると思うんやけど、自分たちはやっぱ、分かりやすくて身近なものの方が、合ってるんじゃないかなと思ってて。すげえ抽象的な芸術性があるとは思わんねんけど、その代わりに、ちゃんと色々考えながら生きてきたからこそ、目の前にあるものに対して指差しで物を言える具体性があると思ってて。」
岩渕「なるほどね。」
浪越「それは歌詞もそうやけど、オケを作るときも抽象感のある芸術って誤魔化しを自分の中でせずに、具体性のある音っでやりたいなって思ってるな。ギターで言うと、ディレイかけたりリバーヴかけたりすることとか、奥にあって何弾いてるか分からんみたいなことじゃなくて、ちゃんとパキッと出てて具体性のあることがしたいってことは思ってる。」
岩渕「それはすげえ解せるな。確かに浪越のギターは抽象じゃなくて具体だと思う。具体性で言うと、『めちゃめちゃ生きてる』って言えたことで、歌詞的には一つのゴールに来た気がしてて。これから先はまだ模索中だけど、一区切りつけれたって実感がある。すげえ大事な曲だと思う。」
浪越「まあでも狙い通りではあるな。『リバティーリバティー』に代わるものにはなったかなと思ってる。」
「情熱とユーモア」全体として肯定のエネルギーがとても強いアルバムだと思ってる。でも、これは今までと地続きのことで、表か裏かみたいな話。「具体性のあるギター」ってのは言い得て妙で、すげえ面白いなと思った。
次回はアルバムの5曲目、結成時からある大事な曲「世界最後になる歌は」について。明日はフラゲ日、何卒よろしく!
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