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第二の生⑧ 新法施工からの初懲罰。

2005年に監獄法の改正があり、一年近く続けてきた情願が廃止された。代わりに請願(せいがん)という制度に置き換わった。
新しい行刑法が施行された日、私は雑居室に移された。独居室での書類作成は廃止となった。
その夜、掃除の順番を決めるため部屋のに話し合っていたのだが、元いた人が主導権を奪われまいと突っかかってきた。私は彼の細かな指図に腹が立ち、
「お前、黙ってろ。むこう向いていろ。」
と言った。彼は、報知機を出して看守を呼んだ。
「年下にお前と言われ、侮辱されました。」
と言った。これは調査のために隔離となるコースだ。私と彼はその日のうちに隔離され、遵守事項違反「口論」の疑いで取り調べとなった。独居室でひと月ほどの取り調べ期間となる。工場の担当刑務官が調査のフロアまで来て私に声をかける。
「お前、わざとだろ。」

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