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登山~爺ヶ岳東尾根~



 2/25 22:45
こんな時間に登りだす酔狂は私だけだろう、夜の爺ヶ岳はおれに任せろ!と思っていたら、私より少し早くに二人組が発っていって驚いた。
 トレースを辿り、激坂を登る。ワカンは早々に外した。汗ばんできたのと、山頂での御来光待機時間が長くなりそうだったのでペースを落とす。
 森林限界近くまで来ると、ぼんやりと、だが迫力ある爺ヶ岳が見えた。近くに感じたため、順調すぎるなと思った。気づくとトレースはなくなっていた。見上げると星空が感動的な美しさだった。
 ナイフリッジと複雑な雪庇、無事に通過するも、後続の人が私のトレースを歩いて事故が起こってしまったらと気が気でならなかった。その後もノートレースの雪の上を歩くが、適切なルート取りであったかが今も気にかかる。
 爺ヶ岳が見えてからが長かった。山頂が近づくと雪が深くなり、わかんを履いた。その間に、一定の距離を保って後ろをついてきていた男性にラッセルを代わってもらい、幾分か楽になった。程なくして山頂に到着。
 日の出前、東から明るくなっていく様子に心を打たれた。目の前のしんどさに感情を支配されがちだったが、これを見たかったのだと目的を再認識した。
 日の出の瞬間はモルゲン爺ヶ岳&鹿島槍を仰ぎ見たくて少し下った。オレンジ色の光がズワッと差し込んできた。グーテンモルゲン!山々は鮮やかな、しかし実に深みのある色に染まり、地吹雪も曙色に輝き、雪原にいた私は炎に包まれているかのような感覚だった。
 寒さでスマホ電源が落ちてしまっていた。軌跡も写真も日の出前の記録を最後に途絶えてしまっている。
 毎朝このような素晴らしい現象が起こっていることを身をもって知れたことが嬉しい。私にとっては今回の特別なものだが、実は毎日のことで(同じ日はないのだろうが)、しかも地球全体で見ると常にどこかしらで起こっている現象である。

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