いわて酒蔵訪問ツアー🚗💨~(株)わしの尾~
こんにちは!i-Sakeメンバーの谷崎です🙋♂️
i-Sakeのいわて酒蔵訪問ツアーの第三回として、八幡平市大更に蔵を構える「株式会社わしの尾」さんにご訪問させて頂きました👏
ほぼ全量を岩手県に流通させ、日常に馴染むような地産地消の日本酒を造っているわしの尾さん、そこに込められている想いを醸造部長の石井さん、蔵元の工藤朋さんにお話しいただきました。その様子を余すことなく伝えていきたいと思います!
まずは、醸造部長の石井さんのお話から😌
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🍶吟醸酒について
旨味成分があればあるほど良い訳ではない、多すぎたらくどく複雑な味となり日本酒の世界では「雑味」と表現します。雑味をとるにはお米の表面を削ります。酒米は60%ほど削ることもあるので旨味成分は少なくなりますが、クリアな味わいになります。
吟醸酒などはお米を多く削っているため、原材料費が上がり価格が高くなっています。美味しいから高いと感じて頂けないことがあるかもしれません。造り手は味わいと価格が一致するように精進しなければならないと思います。大吟醸だから美味しい、ではなく飲んで美味しいものを美味しい日本酒と考えて欲しいのです。
🍶蔵人の昔と今
今の酒造りは、昔とは違って自分の表現したい味に近づけてくれる優秀な酵母、麹が開発されてきています。酒造りは誰でもできるようになってきました。昔は限られた酵母、麹菌を使用して、杜氏さんの指示を仰ぎ一生懸命に出したい味に近づけていました。
そういった中で地酒がなぜ残っているかというと、その蔵ごとに特徴があるからです。蔵を構える場所、醸している人、使用している水、目指す酒質などの違いにより特徴ある美味しい日本酒を造っています。
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実際に醸造部長として造りに携わる石井さんから、酒造りへの想い、醸造の技術について、楽しく教えて頂くことができました😌
次は、工藤さんのお話です。
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「まず、わしの尾は、岩手山の麓に酒蔵を構えています。岩手山が春先の雪解けの頃に、わしの形に見えます。その雪の形のわしの尾を辿るとここの酒蔵に辿り着きます。そこで酒造りをしている、ということでわしの尾という名前で酒造りをしています。
創業当時は『弥生正宗』という銘柄がありましたが、いつからか『鷲の尾』と併売するようになり、最終的に鷲の尾が残りました。
出荷先は県内に絞っていて、99%は県内出荷、残り1%は岩手銀河プラザなど、岩手にゆかりがあるところに出荷するようにしています。
わしの尾の中で一番飲まれている日本酒は、金印です、昔の二級酒なのですが、ずっと大事に造っています。それをファンの方に大事に飲んで頂けていて、とても嬉しいです。今日の午前中も観光の方がわざわざ蔵まで来て金印を買っていってくれました。わしの尾とそのファンの方、両者で今後も大事にしていきたい日本酒です。
現在わしの尾では、一部山廃酛で造っています。岩手県工業技術センターのバックアップで、それぞれの蔵から採ってきた菌を使うことができるようになっています。各蔵自分の蔵由来の乳酸菌、硝酸還元菌を使うことができます。わしの尾でも、自社の蔵から取れたもので、りんご酸、乳酸といった酸が強く出るような乳酸菌であることがわかっています。わしの尾の乳酸菌はりんご酸、乳酸が強く、刺激の強い山廃酛になることがわかっています。
他には、自分たちでお米を作ったり、結の香で造った日本酒で鑑評会にチャレンジしたりしています。
地元のお米で全国新酒品評会で金賞とるのは難しいと言われていました。しかし、結の香はすごくいいお米で安心して作れるし、安定して金賞を受賞する日本酒を造ることができます。なお、品評会に出す日本酒は純米で出品することにこだわっています。品評会は吟醸酒のアルコール添加が多いんですよね。アルコール添加で後から味の調整ができるからです。市場の方向が純米酒に舵を切っていて、価格設定も吟醸酒より純米吟醸の方が高くなっているのに、品評会に出品する日本酒だけ吟醸酒なのはどうなのか、と思っています。値段高く設定している純米吟醸酒で勝負すべきなのではないかというスタンスで取り組んでいます。上位25%に入賞するのであれば、純米酒でも勝負できるのではないかというのがわしの尾の考えです。最初は山田錦のアルコール添加の吟醸酒に結の香で勝負するのは難しいのではないかと思っていましたが、数回金賞を受賞しているので「できるな」という雰囲気になりはじめ、気負いも抵抗もなく勝負できています。」
「山廃はどこの酒蔵さんでも多く造ってないイメージがありました。」
「そうだと思います。わしの尾の日本酒では、速醸でも酒母の期間が長いです。一般的な酒蔵さんだと14日くらいが多いですが、わしの尾では21日間とっています。
今の酒造りでは、酵母、麹、酒米も良い品質のものが開発されて、ある程度の品質のものであれば特別な技術がなくても工業製品のように造れてしまいます。その様な造り方ではなく、生き物を飼い慣らしながら酒を作れたら面白いのではないかと思っています。この考え方が、遠野のどぶろくを造る佐々木要太郎さんと出会って新しい日本酒造りにも取り組み始めました。要太郎さんのどぶろくは300日以上もの間、発酵が続くそうです。協会酵母のような選別された酵母だと難しいと思いますが、生酛造りだと多少長くできると思って、酒母期間を100日で設定した日本酒も造っています。生き物ならではのコントロールしきれない部分とうまく付き合っていけたら面白い酒造りができるのかと考えています。
ある程度コントロールして思い通りの日本酒を造れるようになった今だからこそ、あえて自分がコントロールできないものを加えて、そういった面白みを出しながら造っていくことで、お酒造りが面白くなっていくのではないかと思って取り組んでいます。」
「コントロールできない部分を加えることで思い通りに酒造りができないリスクも出てくると思いますが、どのようにそのリスクと付き合っているのでしょうか」
「常にリスクはありますね。ここまでは大丈夫、というのはやりながらわかってきているので、少しずつはみ出してできることを徐々に増やしています。」
「酒蔵の方拝見したのですが、常温保存している日本酒が多いのですね。お酒の冷凍保存に気を使っている酒蔵さんが多いと感じていたので意外でした」
「酒蔵で冷蔵状態で保存しても、酒屋や飲食店などでの貯蔵環境が冷蔵出なかった場合には劣化してしまいます。どこでも誰でもいい状態で楽しめるように常温保存でも劣化しにくい日本酒にしています。夏場は常温でも保存できる日本酒を楽しみ、冬は冷凍保存が必要な生酒などを楽しんでもらえたらと思います。」
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酒蔵を経営するにあたり、蔵としてどのような酒造りをしていくのかをお聞きできました。
石井さん、工藤さん、貴重なお時間を頂きありがとうございました🙇
岩手の水や土地の良さを活かして地元の方に愛される日本酒造りを行う平井さんのお話、とても勉強になりました。
日本酒の生物らしい、コントロールしがたい点と上手く付き合った酒造りを目指すわしの尾さん。生酛造りを活かした今後の酒造りにも大注目です👀👀
八幡平の大地に育まれた日本酒、ぜひ飲んでみてください🍶
株式会社わしの尾さんのホームページはこちら⤵
http://www.washinoo.co.jp/
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https://www.tsukinowa-iwate.com/wakasaya