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【岩田温大學】はだしのゲンを斬る!

青少年の左傾化に貢献

 戦後日本人の左傾化に最も貢献した本、それは決してマルクスの『資本論』ではない。幾多の過激で日本人の精神を蝕む有害な書が出版されたが、青少年の非日本人化(=頽廃)に最も貢献したのが中沢啓治著『はだしのゲン』である。


 この極左プロパガンダの書は「反核」のみを主張する漫画ではない。「反天皇制」、「反戦」、「侵略戦争史観」、「在日擁護」、「日本人の残虐性」など、戦後左翼勢力が吹聴したプロパガンダが全て内包された恐るべき 漫画である。


 物語は終戦末期八月の広島に始まる。主人公ゲンの父は反戦思想の持ち主である。そのことから周囲から「非国民」呼ばわりされ、家族は村八分に遭い、父は特高(特別高等警察)に連行される。その孤立無援の状態の中で、唯一彼らに理解を示したのが近所に住む在日朝鮮人であった。八月六日広島に原爆が投下され、ゲンは父、弟、姉の三人を失う。ゲンは母と生れたばかりの妹とともに焼け跡の中を生きていくこととなった。やがて二人の兄が疎開先、軍隊から帰還するが、終戦直後の人々の心は冷たく、辛い生活を送ることとなる。それでもゲンは多くの仲間に出会い、自身そして周囲の仲間も原爆の後遺症に悩まされるが、戦後の混乱期を「たくましい」反日家として生き抜く。母、妹、恋人、仲間の死を乗り越え、新たな挑戦(革命?)のためにゲンが東京に旅立っていた。


 ここで第一部は終了し、幸いながら第二部は書かれていない。


 そもそもこの主人公の父親の反戦思想がすさまじい。戦時下、竹槍で訓練しているときの話である。

「だいたいこんな竹ヤリでアメリカ兵とたたかえると思っているのか。むかっていくまえに機関銃でみな殺しだ。アメリカと日本では資源がちがう。資源のない小さな国の日本は平和を守って世界中と仲良くして貿易で生きるしかないんだ。日本は戦争をしてはいけんのじゃ。軍部のやつらが金持ちにあやつられ武力で資源をとるためにかってに戦争をはじめてわしらをまきこんでしまったんだ。おまえらは戦争の熱病にかかりだまされているんだ。この戦争はまちがっている。」(汐文社版一巻十二~十三頁)

 これに対し周囲は冷たく「非国民」と罵るというのだ。


 だが、冷静に考えてみれば、国民が一丸となって大東亜戦争を戦っている際にこのような発言をする人が存在するだろうか。この父親のような発言をする人々は、戦後確かにいたであろう。だが、それはあくまで戦後から見た視点ではないか。当時の正直な言葉ではあるまい。戦国時代、織田信長が敵将の首を打ったことを指して「何と野蛮な…」と眉を顰めたところで詮無い滑稽な話であり、この発言も、それと同様の「時代錯誤」な話だろう。

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