おさるのジョージと、僕たちのものづくり
知恵と工夫に溢れたおさるのジョージ!
こんにちは。岩沢兄弟の兄・ひとしです。
最近、1才7ヶ月の息子が「おさるのジョージ」にハマっていて、いつも一緒にアニメを観ています。僕自身も子どもの頃、ジョージの絵本を擦り切れるまで読みこんでました。
ジョージは毎回こまった状況になると、身の回りにあるモノと知恵と工夫を組み合わせて解決していくんです。
そんな姿を観ていると「ちょっと僕たちのものづくりに似てるかも」と思うので、今回少し書いてみようと思います。
家具づくりの依頼に「既製品を使った特注品」で応える。
僕たちは、空間デザインを主な仕事にしていますが、オリジナルの家具デザインを依頼されることも多いです。
中でも多いのが、持ち運べる什器とか、一人でも簡単に動かせる家具といった、「動く/動かせる家具」の依頼。
最近の例でいうと、茨城県の公共施設「かみす防災アリーナ」に納品した家具や、FabCafe MTRLが展開するサービス「MTRL(マテリアル)」用の展示什器などです。
こういう類の家具をつくるとき、僕らが大事にしてるのは、『難しくしないこと』。
「身近なもの」「既製品」を使って、いかにトンチやアイデアで化けさせるか。そういうことが、面白いと思っているんです。これって、「既製品を使った特注品」ですよね。
既製品を組み合わせ、拡張性を高める。
例えば、MTRLの展示什器を例に説明してみます。
依頼されたのは、「素材を扱うMTRLらしいデザインで、気楽にいろんな展示会場へ持ち運べる展示用の什器」でした。
それに対して僕らがつくったのは、この写真にあるこんなもの↓
カット済みのアルミアングルに、MTRLのアイコンをレーザー刻印した、木材キューブを組み合わせました。両方ともすでに世の中にある既製品です。
これを同じく既製品である工業用コンテナと組み合わせて、展示什器として使うというアイデア。
材料が入手しやすければ、今後もっと増やしたくなったり、いくつかのパーツが壊れてしまっても簡単に代替・増加できます。
誰でも簡単に使いこなせ、新しい使いみちを考えられるように。
実際に使う人が、誰でも簡単に使いこなせる。新しい使いみちを発見しやすい工夫をすることも、大事にしています。
例えば、「かみす防災アリーナ」。工業用コンテナを家具の部品に選んだことで、だれでも簡単に積み上げて机や椅子にしたり、並べてベッドにしたり、非常時の寝床や水を運ぶ道具にだってできます。
※ かみす防災アリーナは、非常時にはまちの防災施設として使われます。
実際に、納品前にプロトタイプをつくって使いみちの検証をしたんですが、僕たちの説明なしに、遊びにきた近隣の方たちが、いろんな使い方をやってみせてくれました。
例えば……
コンテナを椅子にして本を読んだり、
移動屋台として、アンケート回答カウンターとして使ったり、
こどもは大きなオモチャとして、引っ張って走り回ったりしてくれました。
何か説明書がないと使いこなせないというのではなく、どうしたら「あ、こんなこともできるかも」が発見しやすくなるかを、家具をつくるときに合わせて設計しています。
家具とは「人が使うもの」。 家具が「人を使う」のではない。
僕たちに期待される家具デザインとは、多くの場合、人の行動をもっと簡単にするものなんじゃないかと受け取ってます。
家具とは「人が使うもの」です。家具が「人を使う」にならないようにすることが大事です。
その家具があることで、こんなことがしやすくなる。あんなことも簡単に出来る。という「やってみた」のハードルが下がることが大事かなと思っています。(あたりまえのようだけど、実際はとても難しい)
だって、やっぱり誰かに使い方を教わるよりも、自分で見つけた方が、自分のものになった感じもするし。なにより、新しいことを発見するのは、楽しい!
「おさるのジョージ」を見て、僕たちのものづくりに似てるなって感じたのは、きっとここらへんなんですよね。
というわけで、興味あるかたはおさるのジョージ、観てね!
(いわさわひとし/岩沢兄弟)
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