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3代目 岩崎礼司はじめての修羅場

こんにちは、3代目社長の岩崎です。

今日は社長なりたてに起きた経験についてお話しします!

ちょっと長くなりますが、僕の修羅場を聞いてください。



岩崎本舗では「アンデス高原豚」というチリ産の豚肉を使用しています。
その中でも岩崎本舗専用で育ててもらい供給していただいています。

アンデス高原豚の特徴は【脂のうま味】
色々な豚肉と食べ比べをしましたが、どの豚肉よりも
【脂身のうま味】【赤身内に含まれる筋間脂肪(サシ)のうま味】が抜群でした。
角煮は脂のうま味が重要な要素のひとつ。
だからこそ、角煮には最適の豚肉なのです。

こうした理由からアンデス高原豚は岩崎本舗には欠かせない原材料のひとつとなりました。

2017年6月に社長に就任し、忙しい毎日を送っていると
同年10月、アンデス高原豚を生産している“アグロスーパー社“から一本の連絡が・・・

「今、世界的に豚肉の相場が上がっていて、日本に売るよりも中国や韓国に売ったほうが
儲かるから、岩崎本舗専用に育てている豚肉を廃止し日本へ輸入するのもやめる」


という突然の通告。

正直心の中では


「自分が社長になったとたんこの修羅場。。。

 勘弁してくれよ~・・・」


しかし、材料を仕入れることができなければ、角煮まんじゅうを作ることはできない。
角煮まんじゅうを作ることができなければ、売ることもできない。
売ることができなければ、スタッフの働く場もなくなってしまい給料が払えない。

緊急で会議を開き、覚悟を決めチリに飛び立ちました。

現地までは長崎から約40時間。

「どう取引継続にもっていくか・・・」

飛行機の中ではこのことで頭がいっぱいでした。


チリに到着後、アグロスーパー社の事務所へ向かい
アジアエリアマネージャーのアントニオと、いきなりの交渉。

アグロスーパー社とは
チリ国内で豚肉の流通額の約50パーセントを占めるといわれている巨大企業。

そんな巨大企業のエリアマネージャーに挑む、新米社長の僕。

はっきり言って、ビビッて脂汗が止まらない。

そんなことを言っても僕の交渉結果には
岩崎本舗の全従業員とその家族の生活がかかっています。

尻尾を巻いて逃げることはできません。
覚悟を決め、通訳を介し本題の交渉へ・・・



岩崎「日本や、岩崎本舗に対してもうお肉を売らないというのはどういうことですか?」



アントニオ「今は中国や韓国が手間をかけずとも高値で取引してくれるから
日本の製造ラインをつぶし、中国・韓国の製造ラインを増やそうとおもっている」



岩崎「確かに手間をかけずに高値で売るというのは商売の基本だし気持ちもわかります。
しかし今アグロスーパー社が世界中と取引ができるようになったのは、アグロスーパー社初の海外取引で日本と取引し、そして岩崎本舗との取引で父(当時の岩崎本舗社長:現相談
役)が毎年ここへ来て、異物混入対策などのアドバイスをし少しずつ技術力を高めていったこその今ではないのでしょうか」



アントニオ「…言われているように恩はあります」



岩崎「商売には非情な部分も必要かもしれません。しかし、今日本以外のアジア地区に高値で売買できるのはあくまで相場が高まっているというだけで、その相場はいつか落ちる時がくる。
初期のビジネスパートナーを切り捨てるのは、もし相場が落ちた時誰も助けてくれなくなるはずです」



アントニオ「確かに今のアジア地区の豚肉の相場は過熱感がありリスクもあります」



岩崎「これまで一緒になって商品力を磨いて、岩崎本舗はアンデス高原豚というブランド作りに貢献してきました。どうぞこちらをご覧ください」

緊急会議の際、岩崎本舗スタッフに作成してもらった岩崎本舗の商品や全店舗が載ったアルバムを手渡しました。


岩崎「前任のマネージャーから交代し、アントニオには岩崎本舗や角煮まんじゅうについてどんなものか伝えられていなかったと思いアルバムを作ってきました」



アントニオ「これは素晴らしい!この写真に写るお店が日本で商売している店舗か。
そしてこれが角煮まんじゅうか。私は角煮まんじゅうを初めて見たよ!」


岩崎「今でも岩崎本舗はアンデス高原豚というブランド力を高めていくパートナーとして
精一杯商売しています。商売の走りはじめのころから一緒にやってきたビジネスパートナーを少しでも大事にしようという気持ちがあるのなら岩崎本舗専用の製造ラインを壊さずに、維持してほしい。そして岩崎本舗は一生懸命に角煮まんじゅうを販売して日本一を目指します!だからこそ豚肉の相場が落ちてきたときのリスクに備えて今までの付き合いをより強化してほしい!」


アントニオ「わかりました。日本向けの製造ラインを今まで通り維持し、岩崎本舗専用豚肉の供給も続けます。ぜひ日本で我々の豚肉をもっと広めていってください!」



交渉の決着がつきました。

この豚肉を使いたい!よさをもっと広めたい!
その想いが伝わった結果だと思います。

しびれる交渉だったと、振り返る度に思います。



この時は、こんなに脂汗が止まらないような緊張感はもうないだろう、と思っていましたが
まだまだ序の口の出来事だったと後になって知るのでした。




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