そういうタイプの死刑 あとがき
あとがきというか興醒めです。興醒めが嫌いな人は読まないでほしい。作品の着想です。記憶してるだけだと失われてしまうから残しておきたい。
実はこの話は僕が最近見た夢がベースです。列車、両親、巨大な機械、子供を殺す、殺人犯、市民プールみたいな施設、大学の先輩、くらいまでは夢の内容をそのまま書いただけです。大学の先輩は実際に僕の大学の先輩が出てきたのですが殺人犯役として出てきたのであとから思い出して笑っちゃいました。殺人犯なのにそのことから妙に切り離されて憂う部分は夢そのままです、殺人犯という結果だけが与えられたという知覚をしていたのでそれも夢らしさでしょうかね。逆にこれ以外の要素は基本付け足したものです。ネジとか。
もう一つ非常に重要な着想の源があって、「ウミガメのなみだはしおらしい」という曲です。
この曲は非常に文脈に富んでいるのですが単体で聴いても非常にいい曲なので聴いてほしいです。ともかくこの曲の後半部ではだんだん歌詞が欠けていきます。なんでそういう演出になっているかというとそれは文脈なのでここでは省くんですが(理由はちゃんとあります)、僕があの夢について考えていたときにちょうどこの曲が沁みてきたので、この演出をやってみたいと思ったんですね。
さらにいうと、この曲ではただ になるだけですが、?で置き換えるという着想自体は「イワシがつちからはえてくるんだ」を聴いて僕がもともと昔から考えていたことではあります。曲中に露骨にそれをやる場所はないのですが、この曲は現実が茫洋としていく様を描いた曲であって、実際に僕が考えていた通りの映像を曲後半部につけている音MADが存在していたりします。
最初見たときはやられたという気持ちとみんな同じことを考えるんだなという気持ちが両方ありました。
まあその二つが組み合わさって僕がウオーとなったことでああなったのでした。展開の荒唐無稽なスピード感は筆致とかではなく単に夢であったからに過ぎないんですね。多分素だとここまで速度は上げられないんじゃないかなと思います。この作品は速いことでかなりの部分をごまかしているのですが、描写を厚くするという書きものに本質的な部分が僕は得意ではないので、今から何かを書こうとすると速度が低いか描写が薄いかその両方のどれかになってしまう気がします。この作品が良いものかどうかわからないんですが、仮に良いものだったとしたら僕は夢を見ない限り良い作品が書けないことになってしまう……。再現性がなくて笑っちゃいますね。ちなみに今のところ夢のストックとかはないので、こういうのを書くのはしばらくはできなさそうです。おわり