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7/20 諸般の事情により足が砂まみれになった日
すっげえ良い。硬さと柔らかさが入り混じっている。全く素晴らしいな。
西暦2021年7月20日19時1分、僕は熱海の海岸沿いにいた。理由は特にない。けれどなんとなくただ逃避行をしたかったのだ。で、スマホも持たず宿の予約もせず、そこそこ近場の観光地へとやってきた。熱海、昔18きっぷで京都へ行った時に通過はしたが降り立つのは初めてだ。駅を出るとだだっ広いロータリーが。ひとまず右手に商店街が見えたのでそちらへ進む。観光地だけあって僕が熱海についた18時半頃は、もう既にほとんどの店がシャッターを降ろしていた。意外と短い商店街を抜けてひたすらに海の方へ歩く。歩くったら歩く。熱海という街は海と山が非常に近い。海に行くためにかなりの段数の階段を降りた。道中二人組の男性がスーツケースを抱えながら階段を上がっていた。日が暮れて涼しくなったとはいえその心中察せざるを得ない。しかし、宿に帰れば上手い食事と温かい温泉が待っていると思えば、そういう苦労も旅のスパイスと言えるのかも知れない。
そうこうしている内に海岸沿いにつく。砂浜に立つのはこれが今年初めてだ。柔らかく踏みづらい。サンダルを履いてきた数時間前の玄関先の自分に感謝しつつ、少しづつ進む。足に水が触れる。冷たい。思ったよりも。砂もまとわりつく。心地良さよりもズボンの裾が濡れないかの杞憂が勝った。でも1人で暮れかけた海岸線を見ながら初夏の海を感じるのは非常に心地よかった。
いざ上がってみたら足砂まみれ。そりゃそうなるだろうと数分前の自分を叱りたい。正直言って大変不愉快だし、この状態で適当な宿に入って「泊めてください」なんて言えたもんじゃない。途方に暮れながら、ひとまず色々考えようということで砂浜に降りる階段に腰掛けてパソコンを開いているというわけだ。宿を探すのが先か、足を綺麗にするのが先か、はたまたもう一度海水の冷たさに酔うのが先か。
僕が選んだのはどれでもない、「このまま座ってもう少しキーボードを叩く」という選択肢だ。理由はわからないけれどとにかくそうしたかったのだ。文章を書くという行為は良い。自分の内面の輪郭を、ハッキリとさせることが出来る。それにそこそこ長い文章を書けば充足感もある。大した内容じゃなくても、自分はここまでやったんだ、と満足出来るのだ。時折我ながらいい一説が書けたなと思う時もある。無論こんなの下手の横好きなので、側から見ればイキったポエトリーでしかないのだが。とにかく僕は文章を書くのが好きだ。
現在19時21分、日が暮れて辺りはかなり暗くなってきた。そろそろ現状から目を背けるのをやめて、足を綺麗にして宿を探さねば。
なんだかんだでチェックイン出来た。次は飯だ。素泊まりなので飯を探さねば。いや、風呂が先かな。どちらにせよ和室の畳の匂いに揺れながら決めようか。汗も引いてきたし、先に飯だな。
現在21:55。飯、食ってホテルに帰ってきた。行ったのはこちら。
昔ながらだけど清潔感のある店内、老夫婦と思しき2人で営んでいる。頼んだのはオリジナルパスタ。少し塩気が強かったが僕は好きな味だった。粉チーズをかけるとより僕好みの味になった。伊太利anというネーミングも愛おしくなるようないい店だった。明日の昼も行きたくて、「ランチもやっていますか?」と尋ねたら今はディナーしか営業していないとのこと。少し残念だが、また来る理由になったと思えばそれも喜ばしい。
実はこの店に行く前に色々と散策していた。そこで気になっていたのがこちら。
https://www.instagram.com/atamibeer/
クラフトビールが飲めるBarだ。ご存知の方もいると思うが、僕は普段酒を飲まない。さらにビールは尚更だ。味と香りが苦手なのだ。でも、旅先という非日常感に弄ばれた結果、なんとなく入ってみた。店主にビールが苦手で、フルーティーなものならギリギリ飲めると伝えると”プランク ヘフェ ヴァイツェン”というビールを出してくれた。恐る恐る口をつけてみると、意外と行ける。行けるではないか。飲んでいると店主が「飲めましたか?」と声を掛けてくる。最初は無骨そうな雰囲気だったが、その一言をきっかけに会話が弾んだ。生まれは熱海で東京で働いた後に熱海に戻ってこの店を開いたということ、昨今の土砂災害で熱海には人がほとんどこないこと、この街のいい店のこと、クラフトビールのことなどを色々聞けた。知らない街で知らない人と話すのは面白い。彼ともいつかまた再開する日が来るのかも知れない。
そう言えばしっかり酒を飲んだのはいつぶりだろうか。先の店では一杯だけ飲んで出たのだが、体が火照って少しだけ気分が良くなった気がする。これくらいなら人と付き合いで飲むのも悪くないな、と思いながら宿について部屋についた時に気がついた。だいぶ酔いが回っている。体の節々が痛いとはいかずとも軋むような感覚がある。鏡を見ると顔が真っ赤だ。調子に乗って二杯目を頼まないで正解だった。
さ、風呂に入ろうか。いや、外出が24時までだから少し散策しようかな。先ほどはカメラを持っていくのを忘れてしまったし。
歩いた。暗い街を。いや、街はそれほど暗くはなかった。夜の熱海の街は耽美な雰囲気が漂っていた。
こういう感じだ。
こういう感じとも言う。
歓楽街を抜けて歩くと、眼下に暗い海が広がる。
夜の海は深く暗く広い。こうして言葉にすると陳腐だが、吸い込まれそうで恐ろしい。対峙すると背筋が凍りそうになるが、しばらくすると目が慣れてくる。だからと言って何も変わらない。見えるのは黒い海、黒くて広い海。
といった感じでエッセイっぽく書いてみた。もっといいオチをつけられた気はするけど、思いつかないからしょうがないネ。
ってコメント。”切なくなる時間が来る”ということなので、そんな時間を巻き戻したいという想いを込めています。って返しておきました。この人の良いところは、インスタにあげた動画には反時計回りの下りは入ってないってことです。これはつまりフルの方を見てくれたってこと。嬉しいね〜〜〜。
みんなも見た? 見て! 見て見て! 具合良好だから! 個人的には自分の良いところがたくさん出ていると思う。だから色んな人に届いたらハッピーですわな。
・ブルーピリオド7巻の良いところ
大葉先生が表紙なところ
・ブルーピリオド7巻の良くないところ
大葉先生の出番がほぼないところ
今色々書こうと思ったけど、完全にネタバレになっちゃうから書けないな。この日記を読んでいる人でこれから読もうって思っている人もいるかも知れないのでやめときます。読んでね!