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東京秋川渓流釣り場案内 第六回 南秋川その2

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東京都心からもっとも近くで本格渓流釣りが愉しめる秋川。多摩川の最大支流である秋川は東京都檜原村の山々から流れを集め、あきる野市を東へ流れたのち昭島市付近で多摩川へと合流する。秋川の魅力はなんといっても東京都心から近くJR武蔵五日市駅から電車やバスを利用しての釣行が可能だということにある。そして人情味あふれる里山を縫うようにしてつづく流れの中には美しいヤマメやイワナが逞しく泳いでおり、我々渓流釣り師を楽しませてくれるのである。

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今回は前々回の第四回「南秋川-その1」で案内した南秋川本流の続編である。檜原村役場先の橘橋を渡り信号を左へ進むと南秋川本流。北秋川と分岐するこの場所から最上流の三頭沢(通年禁漁区)まで約17kmの流れ。
第四回では橘狭から支流矢沢出合いまでの約7キロの釣り場を紹介させていただいた。その間には、釣り人の遡行を阻む橘狭のゴルジュ帯、開けた瀬でのヤマメ釣りなど変化に富んでいて意外性もあった。
第五回では多くの支流を集める南秋川のなかでも最も釣果の期待できる支流について細かく紹介させていただいた。小規模な支流を釣り上がるのもまた格別なたのしみがあった。意外と枝沢、藪沢という言葉に惹かれる渓流釣り師が多いのも頷ける。

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本第六回では矢沢出合いから約7キロの釣り場を紹介する。掲載している地図、写真、動画で釣り場を確認していただき、自分の釣りに適した区間を慎重に見定めていただきたい。途中、岩場や高巻きなどを含めた遡行の際に注意したい箇所、毎年よく釣れている魚の多いポイントなど筆者が実際に釣り歩き取材した事実を余すことなく書き記している。

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釣れるヤマメは下流域の魚とちがい養殖魚、いわゆる放流モノ臭さが少ないのも魅力だ。もちろん秋川漁協による放流が行われているのも事実だが、このあたりは発眼卵埋設、もしくは稚魚放流の魚が成長しているのだろう。とにかく鰭がボロボロの痛々しい姿の魚は滅多に見かけないので魚体コンディションに拘る方にもおすすめできる。

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古い本を辿ればバス終点が数馬まで延長されたのが昭和35年。その頃には既に秋川の渓流釣りは都内在住の釣り師に人気があり、当時で二千以上の鑑札が発行されていたそうだ。当時は温泉宿をはじめとした地元商店も多くの釣り客で賑わったと聞く。
さらに昭和40年には山を越えた先の多摩川源流小菅村で民間によるヤマメの養殖技術が確立され、奥多摩周辺の谷筋に養殖ヤマメが放流された。この頃から秋川においてもヤマメの放流事業に力が注がれたのではないかと考えられる。
三頭沢が通年禁漁に指定された現在となっては、イワナの生息域と云われている最上流部を釣り巡ることは叶わない。それでもこの流域のどこかで南秋川原種のイワナが子孫を繋いでいる可能性もある。
釣行の際に是非とも利用したい兜造りの温泉宿はかつてこの地で養蚕が盛んであったことや、甲斐武田氏の落人が土着したという歴史もうかがい知れる。
そんなことに想いを馳せながら釣り巡るのもまた愉しい釣り旅だ。

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秋川の釣りはバスを利用した釣りが人気ではあるが、マイカー組にとっては駐車場問題も忘れることのできない心配事だ。というのも秋川街道沿いには駐車できるような場所がとても少なく駐車場所を見つけるだけでも一苦労する。釣り場、入渓地点と組み合わせていくつかの駐車場所を書き記しているがあくまでも自己責任で駐車していただきたい。

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読者の皆様に願うことは、種沢になっている上流域枝沢の魚はリリースをお願いしたいということである。もちろん強制をするわけではないのだが餌釣りは鉤ごと飲み込まれてしまうことがあり、せっかくリリースしてもダメージが強く残るため毛鉤釣りに比べて生存率が比較的に低いといわれている。せめて魚の少ない上流域の枝沢では「ちょうちん毛鉤釣り」で楽しんでいただけたらと願う。ルアーの3本鉤でフッキングし引きづり上げたときの魚に与えるダメージを想像してみて欲しい。元気な状態でリリースするためにはバーブレスフック、シングルフックの使用が好ましいということは筆者の変わらぬ考えである。釣りは難しければ難しいほどに面白くなり、自分の中での一匹に対する満足感が格段に上がるはずである。

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これまで同様に、掲載している地図と写真、動画を参照しながら読み進めていただくと釣れるポイントや要所などの全貌が分かる内容になっているので釣行の際に参考にしていただけたらと思う。
こうした釣り場案内に対して、情報量、信憑性、秘匿性について様々な意見がある。筆者の考えとしては自分の足で実際に釣行取材を行い、その川の実際の姿を記述することを第一に考えている。そしてビギナーさんやこれから渓流釣りをはじめてみようと興味をもっている方の参考になれたらという思いである。
安全に遡行し美しい渓流魚との出会い、渓流釣りのたのしさ、山遊びのたのしさを共有できたらと思う。尚、高度な遡行技術を要する場所は危険であることからあらかじめ未掲載にしているが、紹介する区間においても安全に遡行しようと考えれば念のためロープ等の安全道具くらいは用意しておくことを推奨する。

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まずはこちらの動画で釣り場の全体像をご覧いただきたい。筆者が実際に釣行取材し記録した内容で「釣りしている様子」だけではなく「釣り場の様子」にも重点を置いて編集しているので、どんな釣り場なのかイメージを掴んでいただけると思う。
ぜひ東京秋川であなたの釣り物語を。

↓動画(収録時間 約10分)note購入者専用の限定公開動画です。
本編/東京秋川渓流釣り場案内 第六回「南秋川-その2」

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