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2021年11月の記事一覧
【連載】岩波文庫で読む 「感染症」第9回|「うら若い女が亡び行くのだ」 細井和喜蔵『女工哀史』|山本貴光
かつて肺結核を患ったことがある。自分でもなぜそんなことになったのか分からないのだが(もちろんどこかで感染したからなのだが)、当時勤めていた会社で受けた健康診断で肺に白い影が映っていることが分かり、精密検査をすることになった。日頃は脳天気な私も、ことによっては死ぬのかもしれないと思ったのを覚えている。
結果的には肺結核と診断されて、ほっと胸をなで下ろした。というのは、もちろん治療法が確立された