ホロッコさん

少し前にホロッコのお二人とお茶をした

ホロッコさんは夫婦でお笑いをやっていて、旦那さんのほり太さんはビクターのネタ見せの作家さんとして今度から入るし、奥さんのこまりさんの方は今年のR-1グランプリで準決勝まで進出している、岩永の尊敬している先輩だ

我々には共通点がある

フォークダンスDE成子坂だ

岩永は成子坂の桶田さんに数年お世話になっていて師匠のような存在であったし

ホロッコのお二人は成子坂の2人とも親交があり、成子坂の最後の単独公演「自縛」にも出演していたので、岩永は昔からお二人の存在は知っていたのだ

ほり太さんがすごく積極的にお茶をしたいと誘ってくれて、僕もお二人も忙しくてなかなか遭遇できなかったがこの度お茶をする事ができた

「その後」の桶田さんのお話を色々と聴きたいというという事で、昔話に花を咲かせた

良い話も苦い話も沢山した

お互いに時期が10年以上違うのに、全く同じ思い出がわんさか出てきた

山程桶田さんに飯を食わされた後にラーメン二郎を食わされたという、僕と同じようなエピソードが出てきた時は本当に笑った

僕も名古屋で弁当を4つくらい食わされて「なんでこんなに食わなきゃいけねえだ!」とか言ってたらその後桶田さんに「ラーメン食べに行こうか?」って言われてラーメンを食べに行った思い出があった

面白いと思って食いに行った

そうだそうだ、あの人はラーメンが好きだった

横浜の二郎も行ったな、高円寺のタロー軒も朝方2人で車で行った思い出がある、夜中に「ラーメン行かへんか?」と急に誘われる事が何度かあった

桶田さんに対しての苦い思い出も、良い思い出も、似たような思い出があった、そして僕らの共通点は、もう死んでしまったあの人に何も言えないという事だった

僕が最後に会話したのはお笑いに復帰する時に連絡して「お前は才能がある、だから笑いを楽しめよ」

このLINEのやり取りが最後だ

本当は事務所を辞めた俺をどう思っているか、期待をかけてくれて、袂を分けてしまった俺をどう思っているのか、ずっと聞きたかった

結局聞けずに、亡くなってしまった

ホロッコのお二人も、桶田さんに伝えたい言葉があり、それを伝えられず疎遠になりお別れしてしまった

桶田さんも不器用だし、僕とホロッコさんも不器用で、本当に言いたかった言葉を、いつか伝えたいと思っていた言葉を、伝えきれずに桶田さんは居なくなってしまった

「今だったら」

不器用な僕とホロッコさんはその後も人生を続け、お笑いを続け、自信と経験を積み重ねた「今だったら」

もっと悔いの残らないような言葉をあの人に伝えられたのに

人生は苦いな

こんなにも、もう解決しようがない問題が平然と目の前に現れるなんて、俺だけじゃなくてホロッコさんにも

「いつか、桶田さんと話したいですね」

そんな会話をして僕とホロッコさんは解散した

何かが解決したわけではないが、少しだけ胸がスッとした夜だった

色々な想いはあって、解決できるわけでもなくて、でもそれに今、苦しめられているわけでもなくて、でも、傷が癒えてるわけではなくて

ただ

僕らはお笑いを続けている

ネタを作り続けている

もうそれが全てだと思っている

出来る限り、ネタを作って、お笑いを楽しむだけだと

あの人流に言うと笑いを楽しむだけだと思う

「お笑い」と「笑い」は違うぞと桶田さんに教えられた

そんなの教えてもらわなくても知っている

だから俺はあなたのネタが好きになったんだ

なんか教えてくれた気はするが、当然の感覚だったからもう何を言ったかも忘れた

過去は過去

今からの僕とホロッコさんは、笑いを楽しむだけだと思う。

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