Live9ノート その5 Linkを試してみよう!
先日AbletonからBeta版(ざっくり言うとお試し版)ながらLinkという機能が搭載されたバージョンが発表になりました。
この機能を簡単に説明すると、
Wi-Fi環境で簡単に複数のパソコン(及びiOSアプリ)が同期できる
という物です。
これがどれだけゴイスーなのか、試してみると全米が泣くレベルで素晴らしいのですが、現時点(2015年12月26日現在)で文献も少なく、イマイチ分かり辛いかなと思うので、今回はその魅力についてお伝えできればと。
まず初めに2台(or複数)のパソコン(及びiOSアプリ)をしっかり同期をさせるというのがどれだけ困難なのか、という点についてお伝えします。
例えばバンド等で楽器のセッションを行ったとき、演奏が微妙にズレても人がそれに気づいて合わせようとします。微妙に早いかな?遅いかな?なんて考えながら、お互いの呼吸を合わせて演奏バランスが保たれています。
これはある意味演奏者が人間だから出来る事で、パソコンは超マジメなので
「テンポ○○で▲▲小節演奏する」というミッションを、何としてでも忠実にこなすようになっています。
勿論、私たちが恋人にフラれても、テストでいい点を取ったとしても、お構いなしにきっちり演奏してくれます。
そんな2人(2台)が一緒にセッションしてて、少しでもズレた日には延々に平行線になってしまうのは…もう想像は簡単にできますよね?
そこで例え人力で同時にスペースキーを押すように頑張っても、どうしてもコンマ何秒かでズレが生じてしまいます。最初の何秒かはいいけれど、長い時間を経てくると、最初少ししか感じなかったズレ幅が徐々に大きくなって、とても聞いていられなくなります。という訳で複数のパソコンを人の手で何とか同期させるというのは難しいですし、それで人前に出て演奏するのはとてもリスキーな選択肢であり、かなりハードルは高いと思います。
さてその次は有線(ethernetケーブルやMIDIケーブルを介して)でPCを繋いで同期する方法。現在の主流な方法でありますし、先日のAbleton Meetup TokyoのLaptop Jamではethernetケーブルを繋いで同期する方法が実施されました。(参考:Laptop Jam設定方法)
ちなみに私もプレゼンでDJ Atさんとこの方法で試しにやってみたところ、確かにテンポが安定するのですが、
最初はテンポがシンクロせず(ほんの1~2BPM程度ですが)、その後徐々に2台がシンクロしていくというプチ問題が発生して、どうしようかと対策を講じる状況になりました。
演奏中もテンポがブレるケースがありましたが、最初にシンクロしないほうが気になります(ずれても0.0■程度でその後シンクロしていきます)
そんな1-2BPM程度と思われるかもしれませんが、お互いかっちりとリズムトラックを作っていると、この誤差が気になりますし、時間が経つとえも言われぬ不快感に襲われます(笑)。
そしてこの方法だとそれぞれのパソコンにマスターとスレーブといった形に割り振る必要があります(簡単に言うと親と子という形でしょうか)。
マスター(親)から出た信号をスレーブ(子)が受け取るという流れになるので、
スレーブ(子)が止まってもマスター(親)に影響ありませんが、マスター(親)に万が一の事があって止まると、スレーブ(子)も動かなくなります。
という観点から、人力よりははるかに改善されていますが、問題も起こり得る状況といったところですね。
(勿論マスターとスレーブという概念のないセッティングや、テンポのシンクロを問題なく出来る方法もありますが、それには別途機材や細かいルーティング等必要になってきますので、誰でも簡単で気軽にという観点では難しいと思われます)
そんな中発表されたLinkは
・同一のWi-Fi環境で行うため無線
・マスターやスレーブという概念が無い
・最初からテンポがシンクロ
と従来の問題をクリアした機能になっています。
実際に試してみるとかなり快適ですし、誰でも途中で抜けたり参加したりも容易に出来ます。
それにiOSアプリ(iPhoneやiPadのアプリケーション)でLinkに対応しているものであれば、アプリを使ってセッションも可能になります。
しかしまだまだ未開の部分が多く現時点で(2015年12月25日時点)
・どんなWi-Fi環境下でも可能か?
・PC何台でも可能か?iOS何台でも可能か?
という部分はまだ明確になっていない状況かなと。まぁそれが故にBeta版なのかもしれませんが(笑)。またこの点に関してアップデートがあれば、随時追記していこうかなと思います。
公式のFAQでは特に制限はないと記載してありますが、先日のAbleton Meetup Tokyoで行われたLaptop JamでLinkを試してみたのですが、ポケットWi-Fiでの接続が少々手間取ったり、フリーのWi-Fiでは接続がうまくできないといった現象がありました。現在も色々と実験中です。
という訳で、今回はLinkに関する動画をアップしておりますので、実際にその機能を確認いただければと。
Linkを試してみよう!
https://youtu.be/tC5Ld0E8pWo
今年のLive9ノートは以上になりますが、来年もチマチマと書いていければと思いますので、来年もどうぞよろしくお願いします!
参考
①Ableton Live9 Beta版インストール先
https://ableton.centercode.com/login.html
必要事項を入力し、ダウンロード⇒インストールですぐ使えます(アイコンがオレンジ色になります)
※当然ながらLive9インストール済みのPCが対象になります。
②LINK対応iOSアプリ
https://www.ableton.com/ja/blog/first-apps-with-link-out-now/