感覚
父が亡くなって数日が経ち、少しずつだが心は落ち着いてきた。
未だに遺影と骨壷を見ると実感が湧かず、またどこかで会えるような気がしてくる。
父が好きだった曲たちをかけながら、この記事を書くことにする。
斉藤和義「歩いて帰ろう」
ここ数日、時間感覚がおかしくなっている。
今が何日で何時なのか、時間を気にしていない生活。
父は生前、家族が仲良く過ごすことを夢見ていた。
会うたびそんなことを言っていた。
僕は父以外と話すとなると、長男とは13年ぶり、次男とは11年ぶり、母親とは4年ほど前に一度話したがその前は9年ほど前だろうか。
だから父が
「家族と仲良くしたい」
と言ったのに対して、
「今は無理なんじゃないかな」
と言っていた。
中西保志「サヨナラが待っている」
僕の家族が仲が悪くなったのは全員に原因がある。
ヒステリックで自分のことしか考えていない、兄たちに暴力を振るい、子供たちを喧嘩させる、イカれた母親。
家で弟に暴力を振るう長男。
自分の思い通りに行かないことがあると暴れ、僕に理不尽にキレる次男。
全てを無視し、高一で父以外の家族と縁を切った僕。
僕たち兄弟を置いて別居生活を選んだ父。
若さゆえ、その時の心の弱さゆえ、育ってきた環境がゆえ、それぞれが家族から逃げるようにバラバラになっていった。
僕は全ての元凶は母親だと思っているが。
堀江淳「メモリーグラス」
それぞれが家族の愛を感じることなく、今まで生きてきた。
父が亡くなり、ほんと久しぶりに、兄弟と話した。
兄弟3人で話したのは生まれて初めてだと思う。
3人で話した記憶なんかない。
スピッツ「ロビンソン」
昔のイメージがあったから、僕は最初いつも通り無視をしていた。
ただ長い時間が空いたからか、みんなまともになっていたんだと思う。
久々に話す兄弟はしっかりしていて、夢があって、どこかで家族のことを考えていて、そして楽しかった。
人の、父の生命を失って初めて、家族がまた会えるようになった。
人の命がかかってやっと。
くしくも、父が亡くなって父の生前の願いが叶った。
父の思いを胸にしまいながら、もう一つ考えること。
自分の死をきっかけに家族が仲良くなるのは都合がよくないか、俺だけ仲間はずれじゃないか。
父は気が弱いところもある。
自分勝手なところもある。
寂しがり屋なところもある。
僕は父の願いと、父の性格とどちらをも汲みながら、なんとかやっていこうと思う。
ビートルズ「イエスタデイ」
兄弟と話して、小さい頃描いたけど諦めていた「夢」をまた見るようになった。
甥っ子や姪っ子と遊ぶこと。
甥っ子や姪っ子をめいいっぱい可愛がること。
可愛すぎてきっとなんでも買ってあげちゃうな。
世良公則「あんたのバラード」
父がコロナが原因で亡くなったから、テレビで流れるコロナのニュースを見るとイライラするようになった。
コメンテーターはどこか我関せず、他人事のように自分の考えや医療事情のことをペラペラと話す。
もうどうでもいいんだ。
感染者数がどうだとか、オリンピックがどうだとか。
消毒とかこれからももちろんより一層していくけれど、できることならもっと楽しいことを聴いていたい。
どれだけ言っても気を付けない人は気を付けないんだから。
大友康平「ff」
改めて、人が死ぬというのはヤバい。
これから経験していくことだが、人が死ぬたび、頭がおかしくなるほど様々な思いが溢れて、一体いつまで心と体はもつのだろうか。
今までも言わないように気を付けてはいたことだが、軽々しく、たとえ冗談でも「死ね」という言葉は口にできない。
どんな人も死んじゃいけない。
様々な思いがあると思うけれど、死んだら終わっちゃうんだ。
一概には言えないと思うけど、人はやっぱり生きていくベきなんだと思う。
MISIA「Everything」
徐々に生活を戻していかなくちゃ。
たくさんの方から連絡をいただいて、本当に心が救われました。
特にいろんなともだちからお悔やみと励ましの言葉を頂きました。
その言葉一つ一つが、空っぽになった僕の心を満たしていき、また生ある人間として僕が歩き出せるきっかけになりました。
どの言葉もあったかくて、人の繋がりの素晴らしさを感じることが出来ました。
みんな、本当にありがとうございました。
次は僕が、みんなに何かあった時、その心を一滴でも潤せるようにしますね。
本当にありがとう。
「夜空のムコウ」
いろんなことを考える。
もし死後の世界があるなら、中年同士で盛り上がったりしてるのかな。
それとも死んだ病室にずっと魂は残り続けるのかな。
埋葬されたところにいるのかな。
それとも長年住み続けた横の部屋にいるのかな。
骨壷かな。
死んだ時の苦しみがずっと続いてるのかな。
一番楽しかった時代や姿でいるのかな。
じいちゃんばあちゃんと会えてるのかな。
何かに生まれ変わったのかな。
モニターか何かで僕たちをみてるのかな。
もうどこにもいないのかな。
分かんないや。
和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」
もう湿っぽいのは終わり、それは僕の心の中だけで十分。
せっかくnote始めてみたし、また何か創作したものとか載せてみようかな。
もしよければまたいつか読んでくださると嬉しいです。
安全地帯「ワインレッドの心」
竹内まりや「駅」
ベン・E・キング「スタンドバイミー」