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【社会人野球】 シンバネットワークアーマンズBC vs. ビック開発BC 〜8月14日 都市対抗野球 沖縄予選〜

こんばんは、岩国です。先週までの独立リーグ行脚を終え、今週は琉球ブルーオーシャンズの沖縄主催試合に合わせ、チームより1日早く沖縄入りしました。

この日は、8月4日から始まった「第92回都市対抗野球大会・沖縄県予選」の準決勝2試合が行われていると聞き、ANA BALL PARK 浦添へ。

こちらも琉球BO同様、無観客試合ということで、一般の方の観戦はできない形でしたが、準決勝第2試合「シンバネットワークアーマンズBC vs. ビック開発BC」をスタンドから、取材させていただきました。

シンバBCの先発は、昨年まで琉球BOに在籍した又吉亮文投手。新たな環境でどんな投球を見せたのか。それでは以下、徒然と。

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8月14日。半年ぶりに訪れた浦添運動公園の駐車場。いつもより大きめのレンタカーの車庫入れを終わらせ車外に出ると、まず感じたのは、暑さではなくかなり強い風。遠くを見ると、球場バックスクリーン上の日章旗が激しくはためいていた。

無観客のスタンド、バックネット裏に腰を下ろすと、その風は一層強く、顔に吹き付けてくる。投手の背中から、キャッチャー方向への「追い風」。tenki.jpによれば、この時間の浦添地区の最大風速は9m/s。しかし、外野スタンドがなく直接グラウンドに吹く風の体感は、それ以上に感じられた。

そんな中、マウンドに登ったのは又吉亮文。昨年、琉球BOでNPB入りを目指し鍛錬を積んでいたが契約満了をもって退団。設立2年目を迎えた沖縄の社会人チーム「シンバネットワークアーマンズ」からの誘いを受け、今季は社会人野球の最高峰である「都市対抗野球大会」の本戦出場に照準を見据えている。

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【写真】投球練習を行う又吉亮文投手

その又吉。投球練習中から、ふらつきを感じるほど「エグかった(本人談)」風を背に受けながらも、その影響を感じさせない立ち上がりを見せた。

強風の中でも体がぶれることなく、ストレートの最速は142km/h。打者の左右にかかわらず、ストライクゾーンの両サイドを丁寧につく投球で、2回までの打者6人をパーフェクトピッチングを見せた。

3奪三振のうち2つが見逃し三振と、全くバッティングをさせず相手打線を完全に翻弄。小気味よいテンポながらも時折、ボールを長く持つなど、試合のリズムを自分のものにして投げているように感じられた。

しかし3回。1死から左打者の8番・玉城を迎えた場面。インアウトで横の揺さぶり、緩急を交えた縦の揺さぶりを試みるも、いずれもカットで粘られたことで、そのリズムが崩れてしまう。

「カットされて粘られたことで、より『ゾーンで勝負しなければ』という意識が強くなってしまった。そこから手投げになってしまったので、玉城選手との対戦以降は、ボールが先行するようになってしまった」

見ている限り感情の変化は感じなかったが、ムキになった部分もあったのだろう。この回から5回まで、3イニング連続でフォアボールでランナーを背負った。

投球のリズムに変化はあったものの、やるべきことは変わらない。ストライクゾーンの左右を使い分ける投球で、しっかり後続を抑えていった。

「沖電(沖縄電力)とかエナジックとやっていると、やはり投げミスが命取りになるので、そういう部分を意識してやってきたので、それが結果としてできたのかなと思います」

マウンド上の姿は、チームの野手陣にも好影響を与えた。

5回のフォアボールは先頭打者に対してのもの。その後、犠打で1死二塁と得点圏にランナーを背負い、迎えるバッターは、8番・玉城。3回にリズムを崩されたイヤな相手だ。

3回以降、際どいコースを見極められるようになっていた又吉。カウント2ー2となったところで、外角のストライクゾーンへ投じた速球をはじき返された。

打球は三塁線を襲う強い打球。左打者ということもあり、少し右寄りに守っていた三塁・与那覇が逆をつかれる形となったが、瞬時に反応し捕球。バッターをアウトにしたのだ。

「抜かれると思ったんですけどね。大きかったです。あれで自分は落ち着いたっす。それまでに『野手頼れ!』ってめちゃくちゃ言われてたんですが、ストライク入らんかったんで。状態が悪くない中で、自分が(ランナー出しても)我慢できていた分、野手がしっかり守ってくれた。ありがたい限りです」

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【写真】ベンチの出迎えに応える又吉亮文投手

気づけば5回までノーヒットピッチング。6回に内野安打で初ヒットを許したものの、落ち着きを取り戻した右腕はスコアボードにまたもゼロを並べた。

打線は2回以降、毎回得点圏にランナーを進めていたものの、シンバ先発の左腕・屋良を捉えきれなかったが6回ウラ。タイムリー3ベースと犠牲フライでついに2点を先制。

援護をもらった又吉。5回から僚友の本野がブルペンで準備を始める中、7回以降も続投。9回132球9奪三振で完封勝利を飾った。

「最後の方はもう気力でした。でも、久しぶりの野球で楽しかった」

又吉の好投で勝ち上がったシンバアーマンズBC。次戦は沖縄県第一代表決定戦。相手は強豪・沖縄電力を破ったエナジック。元オリックスの石嶺和彦さんが監督を務めるほか、元阪神でBC石川や滋賀でもプレーした西村憲投手が兼任コーチとして在籍している。

「来週、見にきてくださいよ。投げるんで」

そう話すのは、又吉の好投で出番がなくなってしまった本野一哉。彼も昨年まで、又吉と共に琉球で自らを高めていった投手だ。

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【写真】ブルペンから引き上げる本野一哉投手

「(次戦勝って)第1代表になったら、九州初戦の相手は(九州地区の)第2・第3代表になる。そういう意味では若干戦いやすくなる。都市対抗の本大会は11月で、NPBドラフトは終わっているが、それまでのチャンスでアピールできるようにしたい」

そう力強く語った本野。琉球時代より大きく、たくましくなった体つきからも、今の自分への自信と期待感の大きさを感じた。

昨年、元NPB所属経験者と共に過ごしたことで、多くの知見を得ることはできたが、新型コロナの影響で思うようにならない期間も多かった又吉と本野。チームが変わった今年も施設利用の制限や、ボールを使ったトレーニングができない状況の上、社会人プレイヤーということで、配送業という仕事もこなしている。

しかし、重い荷物の搬送を筋力強化に生かすなど、自ら考え、様々な工夫をしながら、新たな目標へ向けて、チャレンジを続けている。

「このチームは創設1年目の去年、選手13人で九州大会まで行って、しかも1勝している。だからいいチームだと思う」

又吉がいうように、球際の強さが際立っていた内野守備や、しっかり犠打で得点圏にランナーを進めるなど、随所でまとまりを感じたシンバアーマンズBC。チームとしては去年以上の成績を残せるか。

そしてそれは、又吉と本野にとっても、去年目指したNPBという頂に再び近づくための道筋にもなる。まずは九州大会へ向け、次戦21日のエナジック戦が楽しみだ。

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