【プロ野球】らしさの中にあった、らしくない姿。〜8月8日 オリックス 3-9 ロッテ〜
こんばんは、岩国です。お久しぶりです。
日々、馬車馬のように働いておりまして、なかなか自分の時間が取れないですが、仕事でも野球(メジャーですが)に触れることができるので、ありがたい次第です。
今週はレッズ・秋山選手の試合2つとダルビッシュ投手の登板試合を担当しましたが、秋山選手の苦戦具合を歯がゆく思いつつ、ダルビッシュ投手の点ではなく線で考えている投球術に唸りました。
メジャーはデータがかなり開示されているので、いろいろな数字から、いろんな想像力を掻き立てられます。日本もそうなればいいと思いますが、リーグビジネスに移行できない現状を見るにつけ、それは永遠に叶わないかもしれませんね。
さて今回は、溜まっている試合はすっ飛ばして、きょう行われた大阪の試合について徒然と。
この日の試合。注目ポイントは何と言ってもロッテ先発・二木康太。前回登板(6月30日 vs.楽天)では、2回に絵に描いたようなつるべ打ちを食らって降板している。
その時のスコアを引っ張り出して見る。「しっかり軸足に体重が乗っていないように見えた。軽い」とメモ書きがあった。試合後の井口監督は「あんなに真ん中ばかりにボールが言ってたら打たれる」とコメントしたそうだが、そもそもボールに力強さを感じられなかったことが、自分としては気になったポイントだった。
故障や悪天候によるマウンドコンディションの問題かとも思われたが、そういうことでもなく「再調整」でファーム降格になった。ロッテにとって、火曜日を託されていた先発の早期離脱は、かなり苦しかったと思う。
さて、その二木。今回はどうだったのかというと、7回5安打2失点。先発として、しっかりとその役目を果たし、今季初勝利をあげた。
気になっていた投球フォームだが、あくまで主観だが、軸足にしっかり体重を乗せてから、ホームベース側に踏み出していく、二木独特の投げ方ができているように見えた。特に、走者を出さなかった3回までは、いつも以上に丁寧にその動作を行っているのではと思わせるほど、ゆっくり、しっかり軸足にためてから、踏み出す左足をホーム側へ、丁寧にスライドして行っているように感じた。
そのせいなのかはわからないが、140キロ序盤から中盤のストレートには、球速以上の力強さも感じたし、コントロールも中盤までは、大きなブレなくきっちり投球できていたように見えた。1ヶ月以上時間はかかったが、しっかり修正して、帰ってきたのだと思う。
投球フォームは二木らしさを取り戻したが、いい意味で「らしくない」と感じた場面があった。
2回に先制したロッテは3回表、マーティンの10号2ラン(Yes!マーティン!)などでさらに3点を追加。4ー0と序盤でリードを広げる。
その裏。マウンドに上がる二木。いつもは何事にも感情を表に出さず、淡々と進めていくことを意識している右腕が、投球練習を終えたあとに、鋭い眼光でキャッチャー方向の1点を見つめた。どこを見ていたかはわからないし、時間にすれば本当にわずか。ただその姿をモニター越しに見た私は、ゾクリとさせられたのだった。
二木は昨年7月(だったと思う)、月1で行われるマリンフェスタのトークショーで、岩下、種市、中村稔と一緒に登壇。その時こんなことを言っていた。
「感情を表に出せる人は羨ましい。僕にはそういうことができないので」
そんな「ポーカーフェースの男」が、一瞬見せた鋭い眼光。「『この試合でダメだったら、チャンスはもうない』というくらいの覚悟を持っていた」と、試合後にコメントした二木。この場面では「ここで緩んではいけない」と、自らに強く言い聞かせていたのかもしれない。
いい意味で「らしくない姿」を見せた二木。しっかり仕事を果たしての1勝で今季がようやくスタートした。この日見せたあの眼光、そしてその時の強い意志を忘れなければ、勝利は着実に増えていくことだろう。
前任の背番号18は新天地で生まれ変わった。
同じくポーカーフェースだった右腕から、その番号を受け継いだ二木。エースナンバーにかけても、負けてはいられない。
本当にこの試合は「二木投手がどうなのか」が最大のポイントだと思っていました。
たまたま休みだったので、じっくり拝見しましたが「帰ってきたな」と思わせるのに十分なものでした。
石川投手も初勝利以降、田村捕手とともに連勝しました。種市投手が予定通りに復帰してくれば、先発は再び安定したものになってくると思うので、あとは現在抜擢されているB組リリーフ陣と、ファーム再調整組が、チーム内競争から抜け出してくれば、ジャクソンショックを抜け出せると思います。
投手では涌井、野手では鈴木大地が抜けなければ、この景色は見ることができなかった。
結果が出ていなくとも、いれば頼ってしまうほどの存在であった2選手がいなくなったことで、新たなロッテの形を作るチャンスだと思うし、実際、そういう流れになってきている。
現場取材にいけないことは、残念ではあるが、こうしてじっくりテレビで試合を見て、考察できることは喜ばしいことでもあると思います。