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【社会人野球】エナジック硬式野球部を訪ねて 〜8月17日 具志川球場〜

こんばんは、岩国です。当初の予定とは、だいぶ変わってしまった沖縄取材。その中でも嬉しい誤算もありました。

沖縄入り初日に都市対抗沖縄予選の準決勝が行われ、又吉&本野投手が所属するシンバネットワークアーマンズBCが勝ち上がったことは、こちらに書きました

その対戦相手となるのが「エナジック硬式野球部」。気になって調べたところ、以前OBTVというネットコンテンツで取材をさせていただいた元阪神タイガース・西村憲投手が兼任コーチとして所属していることがわかり、取材に伺いました。

西村さんにいろいろお話を伺ったのですが、それはまたあたらめてまとめる予定でおりますが、まずはエナジックの練習を見て、感じたことなどを徒然と。

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那覇市内から約1時間ほど北上したところにある「うるま市具志川野球場」

具志川といえば、今年3月の選抜高校野球に、21世紀枠で選出された具志川商業高校を思い浮かべる方も多いと思うが、今回取材に訪れたのは、ここ具志川から都市対抗出場を目指す社会人チーム「エナジック 硬式野球部」。最近では、親会社のエナジックが高校を作り、甲子園を目指すと言ったニュースが話題となっている。

駐車場に車を止め、外に出ると午前中から照りつける強い日差しで、立ちくらみを覚えるほど。やはり沖縄の夏は容赦してくれない。

球場に歩を進め、中に入る。練習の準備を進めている選手たちが、この何者かわからないマスク姿の男の目を見て、姿勢を正して「こんにちは!」と挨拶をしてきた。自然とこちらの背筋も伸びた。

事前に連絡していたチームマネージャー、そして石嶺和彦監督に挨拶を済ませると、時節柄もあるので、スタンドから練習を見させていただいた。

8時30分にウォーミングアップから始まる練習は、キャッチボール、ボール回し、投内連携、シートノック、打撃練習。時折、設営とグラウンド整備があるものの、球場が使える12時まで、止まることなく続いて行った。

キャッチボールから、目をひくものがあった。ある投手は遠投気味に。ある投手はベース間の距離で強いボールを相手に返すなど、それぞれが違っており、ただ肩のウォームアップを行うというものではなく、各自が意図を持って投げていることが見て取れた。

さらに驚いたのが、そのあと行われた内野の「ボール回し」。ここに外野手だけでなく、投手も加わったこと。

文字通りの全員参加で、NPB球団はもちろん、これまでの取材では、投手がボール回しに入っているところなど見たことがない。がぜん興味が湧いた。

このボール回しは、順回り、逆回り、そしてランダムに2分続けて行うのだが、ミスをした段階で1からやり直し。そんな条件にもかかわらず、各選手ともしっかりとした強いボールを次々に相手のグラブ目掛けて投げていく。

いい緊張感の中、各選手たちの動きのキレも素晴らしく、このボール回しを見ているだけで、楽しくなるような練習だった。

この練習に興奮していたところ、石嶺監督がスタンドに上がってこられたので、話を聞くと「ミスしたらやり直し。各選手に責任感が生まれる」と、少しだけ、この練習の意図を教えてくれた。

さらに詳しく解説してくれたのが、2017年からこのチームで、選手たちの指導に当たっている西村憲投手兼任コーチ。かつて阪神タイガースでリリーフとして活躍。戦力外通告を受けたあと、BCリーグの石川や滋賀でプレーし、NPB復帰を目指していた投手だ。

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【写真】元阪神・西村憲投手兼任コーチ。

「チームとして、元々送球エラーが多かった。特にピッチャーが絡んだエラーが出ると、失点につながりやすいので、まずは野手に投手のボールを知ってもらおうと思いました」

投手と野手では、ボールの勢いも回転も違う。お互いの球の質、球のクセを知ってもらうことで、ミスの確率をさげ、失点を防ぐことが狙いだった。

今年の初めから取り入れたというこのボール回し。ミスをしたらやり直しということで、当初はなかなか終わらなかった。それが今は強いボールを小気味良いテンポで早く回しているにもかかわらず、ほぼミスなく短時間終えることができている。私が見ていたこの日は、ランダムのところで1度捕球ミスがあったくらいだ。

ボール回しで思い出すのが、本多や川崎がいた頃のホークス春季キャンプ。第1クールか第2クールだったと思うが、松田を含め、とにかく声も出ていたし、ボールの勢いや強さも目を引くほどで、流石に野手だけだったが、その時以降、驚くようなボール回しに出会したことがない。

ある解説者は「強いチームはボール回しがすごい」と言っていた。見ていて楽しくなったエナジックのボール回しは、今のチームの強さを表しているかもしれない。

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【写真】こちらは投内連携。ボール回しだけでなく、全ての守備練習の動きにキレが感じられた。

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今年5月に行われた日本選手権九州予選では、九州三菱自動車を相手に3-13。コールド負けを喫した。

失意の中から、這い上がるために選手たちが出した答えは「本気で向き合う」こと。

「本当にここまで、できることをやってきたのか」「どこまでそのプレーを突き詰めて考えたのか」。とにかく野球というものに対して、言葉は悪いが『馬鹿正直に、真正面から向き合う』と決意を固めた。愚直なまでに真っ直ぐに。

捕球から送球への切り替えの早さ、そしてボールの強さ。どれをとっても見ていて楽しくなる。選手全員参加のボール回しから感じた心地よい緊張感は、そんなド直球に野球と向きあう姿勢を体現しているのかもしれない。

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目前に迫っている都市対抗野球沖縄予選・第一代表決定戦。対戦相手のシンバネットワークアーマンスBCには過去2回、苦い思いを経験させられている。

チームを引っ張る背番号0、藤村捷人キャプテンは、そのシンバBCと第一代表決定戦に臨めることを歓迎していた。

「いろんなことがあったが、チームがいい方向に向かっている中で、決勝がシンバさんと戦うというのは『いいシナリオ』だと思っています。自分たちが勝って、第一代表を決める。そういう筋書きだと思っているので、自分たちの野球をしっかりやって、勝てればいいなと思っています」

共に目指すは11月の東京ドーム。ただ、その前に9月の九州予選が待っている。

九州予選への切符を一番乗りで決めるのはシンバか?エナジックか?決戦舞台は8月21日、ANA BALL PARK浦添。無観客試合だがエナジック公式インスタグラム @enagicbaseball で生配信(録画放送なし)の予定だ。

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