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【逃避行トリップ】 はじめに
私は40歳、会社員。今まで、シンガーソングライターをやったり、突然陶芸家になりたいと教室に通ったり、古物商の資格をとって商売を始めようかと考えてみたり。今は会社勤めをしながらシナリオやエッセイを書いている。
行き当たりばったりの人生。決心するのは早いのに、諦めるのも早い。何か一つのことを続けて結果を出すことができない。私は怠け者でダメな人間なんだと思っていた。
でもその理由が最近わかった。久しぶりに会った友人にちょっとした悩みを話したら、友人が突然「それってHSS型HSPかも」と。友人も自身の矛盾した性格に悩み、色々と調べたり相談するなかで判明したのだと言う。
それから私はHSS型HSPについて調べ始めた。まずはHSP、最近では繊細さんとも呼ばれたりする。人よりも刺激に敏感で、感覚が鋭く、音、光、ニオイ等に必要以上に反応したり、他人のささいな言動や感情の動きに振り回されたり、疲れやすくなってしまう人のこと。ちなみにHSP、HSS型HSP、共に病気ではなく、気質である。
HSS型HSPは、HSS型の繊細な部分は持ちつつ、刺激を求めずにはいられないといった矛盾を抱えている。アクセルとブレーキを一緒に踏んでいる状態。やる気満々で物事に飛びつくが、すぐに飽きてしまう。大胆な行動をとるのに、小さなミスをずっと気にする。やる気はあるけど、何もできていない。いつも緊張していて、気が休まらない。私が長年持っていた悩み。自然と涙が溢れていた。自分の悩みが気質のせいだとわかり、「仕方なかったんだな」と自分を責める気持ちが少しだけ軽くなって、ほっとした。そんな涙だったように思う。
しかし、自分の気質を理解しても、日常生活でのしんどさみたいなものは変わらない。なんでも気質のせいにするのは甘えだとは思うが、会社員生活に適応するのはなかなか厳しい。私は会議で発言するのが苦手。自分の発言がどういう風に受け止められるのか心配で人の表情や発言を気にする。きついことを言われたら後々までひきづる事も。気質だとわかっていても、うまくできない自分を多少は責める。他にもオフィスで仕事をしていると人の声、空調の音、自分の後ろを通る人など様々なことが気になって、なかなか集中できない。
ここまでくると、ちゃんと仕事しているのかと思われますよね? ちゃんと仕事をするためにも、私は疲れが溜まるとふらっと出かける場所がある。仕事の合間や半日〜数日で行ける場所。私は「逃避行トリップ」と名付けている。疲れた心を休める場所、深呼吸できる場所を持つことで、私はなんとか私を保つ。
私の逃避行トリップはいつだって突然。だって私の心は簡単に乱れる。その乱れた心の収拾がつかなくなる前に隙間時間を探す。次の打ち合わせまで2時間ある。明日有給取れるかもしれない。今の私は何を求めている? 決めた!あそこにいこう!
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