最後の琉球国王

いわきりなおとの国宝漫遊記 第11回「琉球国王尚家関係資料」の巻

◎子孫が守った玉冠の輝き琉球国王尚家関係資料、那覇市歴史博物館蔵

 漫画家のいわきりなおとさんが、那覇市歴史博物館が所蔵する、沖縄県唯一の国宝「琉球国王尚家関係資料」の玉冠を紹介します。
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 かつて琉球王国として栄えた沖縄県には、もともと貴重な文化財がたくさんありました。しかし、沖縄戦と米軍の略奪のためにその多くが失われてしまいました。世界遺産の首里城跡にある首里城正殿や守礼門も元国宝で、現在の姿は戦後に再建された物です。

 1879年に沖縄県が設置されて、400年以上続いた琉球王国が滅亡。最後の琉球国王となった尚泰王は東京住まいを命じられました。この時、尚家の宝物のうち、一部が東京に移されていたため、後の戦火をまぬかれました。

 尚泰王の子孫たち、特にひ孫である尚裕氏は、継承した宝物を大切に守ってきました。冠や衣装といった美術品や、王国時代を記録した古文書など千数百点。
琉球王国で発展した独自の文化や、近代までの沖縄史を伝える一級の資料群です。個人で管理・保存するのは大変な労力だったでしょう。

 そして1996年、宝物は那覇市に寄贈され、悲願の〝里帰り〟を果たします。さらに2006年に「琉球国王尚家関係資料」として、戦後沖縄初の国宝に指定されました。

 18世紀に作られた「玉冠」には、金や銀、サンゴ、水晶など、7種類の玉が計288個付けられていて、重要な儀式の時の正装として王が身につけました。

 4月27日~5月9日には、同館で特別展示されます。琉球王国の文化や歴史はもちろん、玉冠の輝きを後世に残すために、力を尽くしてきた人たちにも思いをはせてもらいたいと思います。(談)

(談 いわきりなおと/記事編集 共同通信 近藤誠) 
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