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【マッチプレビュー】2025明治安田J2リーグ第3節 いわきFC対徳島ヴォルティス

2025明治安田J2リーグ第3節。いわきFCは3月2日(日)、ハワイアンズスタジアムいわきに徳島ヴォルティスを迎える。この試合の見どころについて解説していこう。


■徳島ヴォルティスとは

今節の対戦相手・徳島ヴォルティスの「ヴォルティス」(Vortis)とは、イタリア語で渦を意味する「Vortice」(ヴォルティーチェ)をもとにした造語。「ホームスタジアムのある鳴門の渦潮のようにパワー・スピード・結束力を兼ね備え、観客を興奮の渦に巻き込む」という思いが込められている。
 
前身は1955年創設の大塚製薬サッカー部。90年から日本サッカーリーグ2部で戦っていたが、Jリーグ創設によるプロ化の流れにコミットせず旧JFLに参戦。1998年のJ2創設時もプロ化はせず、1999年から日本フットボールリーグ(現在のJFL)に参戦。2003~2004年にリーグ2連覇を果たしている。
 
機運が変わったのは2003年。Jクラブ創設を掲げる飯泉嘉門徳島県知事の働きかけで、大塚製薬はサッカー部を新会社に譲渡。徳島ヴォルティスが誕生し、2004年にJFL連覇。J2参入を決め、四国初のJクラブとなった。
 
2005年から2013年まではJ2。2013年にプレーオフを勝ち抜きJ1昇格を果たすも、2014年にJ2降格。2020年にJ2を制し、7シーズンぶりのJ1昇格も2021年にJ2降格。2022年はJ1参入プレーオフ圏まであと一歩と迫るも2023年は15位と低迷した。
 
2024年は序盤から勝ち星に恵まれず苦しいスタート。4月に主力選手の退団と監督の交代で混乱するも、新たに就任した増田功作監督のもと復調。プレーオフを見すえるポジションまで上り、終盤には4連勝。序盤の不調を見事に覆し、16勝7分15敗の勝ち点55で8位に入っている。
 
運営元は徳島ヴォルティス株式会社。公表されているクラブの2023年売上は20億9200万円で、いわきFCの約1.5~2倍の規模。トップチーム人件費は9億8400万円となっている。

■2025年戦力分析~徳島ヴォルティス

今季は増田功作監督体制2年目。オフは守備の中心選手・DF森昂大がアルビレックス新潟に、FWブラウン・ノア賢信がファジアーノ岡山に、MF渡井理己が柏レイソルに移籍。昨年の健闘を支えた主軸がチームを去った。
 
しかしその一方、多くの実力者を補強。8位に入った昨年を上回る質の高いチームを作っている。
 
DF森の後継者としてDF山田奈央を水戸ホーリーホックから獲得。他にもDF山越康平を東京ヴェルディから、DF高木友也をファジアーノ岡山から獲得して守備を再建。加えてFWジョアン・ヴィクトル、FWルーカス・バルセロス、FWトニー・アンデルソンと3人のブラジル人選手を獲得。リーグ屈指のデプスを形成する。
 
今季は第1節で藤枝MYFCに2対0、第2節でベガルタ仙台に1対0で勝利し、13年ぶりの開幕2連勝と好調なスタート。立ち位置は3-4-2-1がベース。第2節のスターティングメンバーはGK1田中颯、DF4カイケ/3山田奈央/15山越康平、MF42高木友也/7児玉駿斗/28鹿沼直生/18エウシーニョ、MF10杉本太郎/19ジョアン・ヴィクトル、FW16渡大生。
 
いわきFCがここまで対戦した2チームと比べ、よりボールをつなぐ印象のある徳島。ただし藤枝戦、仙台戦の得点内容を見ると、藤枝戦の先制Gや仙台戦の決勝点はいずれもカウンターによるもの。増田監督は今季、局面によって守備の強度を使い分けるプレースタイルを志向しており、ミドルサードでしっかりと構え、ボールを奪っていち早く繰り出すカウンターの精度の高さが連勝につながっている。
 
おそらく、いわきはある程度ボールを持てるはず。
だからこそ、攻撃陣はしっかりとやり切ること。特にFW二人はいい距離感を作り、ボールを持ったら確実に前進し、シュートを打って終わる。その積み重ねで強固な守備を崩し、先制点を奪いたい。持つのか、それとも持たされるのか。重要なのは攻撃の最後の精度。少なくとも安易にボールを奪われ、カウンターを受けることは絶対に避けねばならない。
 
守備では相手のポゼッションに激しくプレッシャーをかけ、ロングボールを蹴らせる展開に持ち込みたい。そこで生じるFW渡らファーストターゲットとの空中戦の競り合いとプレスバック、そして中盤のセカンドボール争いはこの試合の大きなカギとなる。
 
ただし、そこでいわきがたやすく地力を発揮できるかというと、そう簡単な話ではない。
 
最も警戒したいのはMF鹿沼・児玉のダブルボランチ。昨季からコンビを組む二人は走力に優れ、1試合で13㎞以上走れるタフさを持つ。まずはMF大西悠介、MF木吹翔太、MF柴田壮介、MF山下優人、MF鵜木郁哉らは二人に競り勝ち、ボールを奪い切ること。決して簡単なタスクではない。だが、やるべきことはシンプルだ。
 
他にも右サイドのMFエウシーニョ、そして開幕2戦で2Gを挙げているジョアン・ヴィクトル、後半から入るFWルーカス・バルセロスら外国人選手は要注意だが、まず大切になるのは配球元への圧。つまり中盤のバトルの勝敗が、この試合の結果に直結するだろう。

■Key Player:DF石田侑資

開幕2試合を消化して1分け1敗、勝ち点1。選手個々のパフォーマンスは悪くないものの、それを勝ち点に結びつけられていない今季のいわきFC。そんな中、今節の戦いに強い思いで臨むのが、徳島ヴォルティスジュニアユース出身のDF石田侑資だ。

石田は徳島県生まれ。徳島ジュニアユースから市立船橋高時代に進み、CBで活躍。2021年にガイナーレ鳥取入団後、右SBに転向して頭角を表し、2023年にいわきFCへ。移籍1年目は負傷で本領発揮ならずも、昨年3バックの左ストッパーで出場機会をつかみ、シーズンを通じて持ち味を発揮した。
 
昨季33試合に出場し、DFの中心選手へと上り詰めた大きな理由がキック精度の高さ。右利きながら左右のキックをバランスよく蹴れるのは、徳島ジュニアユース時代からの自己研鑽の賜物。加えて1対1の強さ、そしてCBとSBの両方でプレーできるポリバレント性も大きな魅力だ。
 
今年は第1節からスタメン出場。第2節まで連続フルタイム出場を果たしている石田。守備のキーマンの一人として、今季初勝利への貢献を期待したい。

■「前半で失点をしないことがポイント」田村雄三監督

「第2節の大分トリニータ戦は5バックに苦しめられる難しいゲームになりましたが、選手達はよくやってくれたと思います。守備の固いチームであるからこそ、勇気を持ってボールを持ち出すことに取り組んできましたが、やってきたことを出し切れませんでした。
 
何度か決定機もありましたが、それは誰かがリスクを背負ってドリブルで持ち出すなど、取り組んできたことにチャレンジして得たもの。今節はその回数をもっと増やしていきたい。そしてもう一つの大きな反省点が、選手一人一人の距離感。特にFW陣の特徴がもっと出るように、さまざまな角度から修正していきます。

今年のJ2は昨年よりも力の差が拮抗しており、守備の固いチームが増えました。はっきりとはわかりませんが、後ろ5枚でしっかりと守り、前線の外国人選手がゴールを決めるような戦い方をするチームが多い印象です。
 
徳島ヴォルティスさんも同様に、5バックでしっかり守るチーム。そしてもともと個のレベルが高く、交代で入って流れを変えるゲームチェンジャーもいる。増田監督がやりたいサッカーと選手の質、パフォーマンスがしっかりと合致しており、開幕2連勝も驚きはまったくありません。
 
徳島さんの守備力と交代で入る選手の質を考えると、前半で失点をしないことが勝負を分けるでしょう。今季ホーム2戦目、まずは初得点を取らねばなりませんし、勝たなくてはいけません。ここまでの課題をしっかりと修正して戦いに臨みます」

■ホームでの今季初勝利なるか

2025明治安田J2リーグ第3節 徳島ヴォルティス戦は3月2日(日)14時より、ハワイアンズスタジアムいわきにてキックオフ。試合の模様はDAZNでライブ配信される。
 
スタジアムで、DAZNで。勝利を目指してひたむきに戦ういわきFCの選手達に、熱きご声援を!

(終わり)

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