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【マッチプレビュー】2025明治安田J2リーグ第1節 いわきFC対ジェフユナイテッド千葉
2025明治安田J2リーグ第1節。いわきFCは2月15日(土)、ハワイアンズスタジアムいわきにジェフユナイテッド千葉を迎える。この試合の見どころについて解説していこう。
■ジェフユナイテッド千葉とは
千葉県市原市、千葉市をホームタウンとするジェフユナイテッド千葉は、Jリーグ創設当初の10チーム「オリジナル10」の一つ。オリジンは1946年創部の古河電気工業サッカー部。日本サッカーリーグ(JSL)に1965年の発足時から参加し優勝2回。天皇杯全日本サッカー選手権大会優勝4回、JSLカップ優勝3回の成績を誇る。
1991年、Jリーグ発足前に古河電気工業とJR東日本が共同出資し「株式会社東日本ジェイアール古河サッカークラブ」が設立。1993年に「ジェフユナイテッド市原」としてJリーグに参戦を果たす。
その後、2003年に千葉市がホームタウンに加わったことで、2005年にチームの正式名を「ジェフユナイテッド市原・千葉」に改称。呼称を「ジェフユナイテッド千葉」とした。チームは2009年までJ1に在籍。その後2010年から現在までJ2での戦いが続いている。
2024年は小林慶行監督のもと、ハイプレスと流動的な攻撃を武器にシーズン序盤から上位争いに絡んだ。しかし夏場にかけて失速し、思うように勝ち点を伸ばせない。
激しいプレーオフ争いが続く中、エースストライカーのFW小森飛絢が計23ゴールを挙げるなど、チームは復調。しかしシーズン残り2戦でプレーオフ圏内入りを争うV・ファーレン長崎とモンテディオ山形に連敗を喫し、惜しくもプレーオフ進出を逃した。シーズン成績は19勝4分け15敗の勝ち点61で7位。16年ぶりのJ1昇格はならず。
運営会社はジェフユナイテッド株式会社。現在公表されているクラブの2023年売上は約26億4900万円でトップチーム人件費は約8億7300万円。いわきFCの2倍強の規模を誇る屈指の名門クラブである。
■2025年戦力分析~ジェフユナイテッド千葉
千葉の今季の目標がJ2制覇そして17年ぶりのJ1復帰であることは言うまでもない。
今オフは昨季J2得点王に輝いたFW小森飛絢がベルギーのシント=トロイデンVVに期限付き移籍。さらに守備陣ではGK藤田和輝が所属元のアルビレックス新潟にレンタルバック。そして正確なフィードやセットプレーで多くの見せ場を作った左利きDF佐々木翔悟、クロス精度の高いDF岡庭愁人らが移籍でチームを去った。このように失った戦力はそれなりに大きいが、補って余りある大型補強を敢行している。
小森が抜けた最前線には昨年ロアッソ熊本で10ゴールを挙げたFW石川大地、ブラジル人FWデリキが加入。守備陣ではDF鳥海晃司がセレッソ大阪より5年ぶりに完全移籍で帰還した。そしてブラウブリッツ秋田からDF河野貴志、レノファ山口FCからDF前貴之を獲得。前は右SBを主戦場としつつ左SBや中盤でもプレーできるユーティリティ。GKは昨年、長崎で正GKとして活躍した若原智哉を京都サンガから獲得も、負傷で前半戦絶望。昨年まで徳島でプレーしていたスペイン人GKスアレスを緊急補強し、J2屈指の戦力に揺るぎはない。
小林監督体制3年目の今季も、フォーメーションは4-2-3-1が基本となる。カギとなるのは小森、佐々木、藤田らの移籍に伴う穴埋めだろう。至近のちばぎんカップでは柏レイソルに0対3で敗戦。チームは100%の状態とはいえず、鳥海、河野、前、石川、デリキら新戦力が完全にフィットするにはあと少し時間を要するだろう。
ただし彼ら以外のメンバーは盤石。FC東京から期限付き移籍中のMF品田愛斗、ゲームコントロールに長ける万能型セントラルMF田口泰士のダブルボランチ、MF田中和樹、MF椿直起の両ウイングそしてDF日高大など、昨年来のメンバーはそれぞれが優れた個を持つ。かつていわきFCで東北社会人リーグ~JFL~J3での躍進を支えた左SB日高は29歳のベテランとなるも、高精度の左足は依然として脅威。MF加瀬直輝、鵜木郁哉、五十嵐聖巳らとのマッチアップは開幕戦の大きな見どころとなるだろう。
攻撃の中心となるのは、今季から背番号10を背負うトップ下のMF横山暁之。巧みに動き回ってボールを引き出し、FW石川やデリキ、MF田中、椿らへのボールの供給元となる横山に前を向かせないことが重要。MF大西悠介ら中盤が積極的に圧をかけて横山の自由を奪えば、ゲームを優位に進められるはずだ。
2月9日のちばぎんカップはGK鈴木椋大、最終ラインは右からDF前、河野貴志、鳥海晃司、日高大、ボランチは品田愛斗と田口泰士が並び、2列目は右にMF田中和樹、トップ下にMF横山暁之、左にMF椿直起、1トップは石川大地が先発するも、前半で2失点するなど低調。しかしDF久保庭良太、MF岩井琢朗、FWデリキ、DF髙橋壱晟、MFエドゥアルドが入った後半は、1点を追加されたものの随所で躍動感を示した。特に新加入のデリキ、岩井が好パフォーマンスを示しており、開幕戦のスタメンは見えない。
ともに課題を抱えるいわきと千葉。例年、僅差の勝負になる開幕戦では、うかつなミスをしたチームが手痛い敗戦を喫する。いわきは優れた個を持つ難敵・千葉を倒し、Jリーグ昇格以来いまだ成し遂げられていない開幕戦勝利を今年こそつかみ取りたい。
■Key Player:DF遠藤凌
FW谷村海那、MF山口大輝、MF山下優人ら主力が残留して迎えた今シーズン。チームは1月の始動から鹿児島キャンプでのトレーニングを経て、より高い位置でボールを奪う高強度の守備戦術の構築に努めてきた。ここまでのトレーニングマッチでは結果こそ出ていないものの、完全に崩されての失点は少なく、守備の仕上がりは決して悪くない。
昨季後半戦のレギュラーDF石田侑資、堂鼻起暉、生駒仁に加え今季DF山田裕翔、白井陽貴、山内琳太郎ら新戦力を積極的に補強し、一気に層が厚くなった守備陣。その中心となるのがDF遠藤凌だ。
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J3時代の2022年、遠藤はアルビレックス新潟から期限付き移籍でいわきFCに加入。1シーズン半にわたりCBとして守備を支え、新潟での1年を経て今季、完全移籍でいわきFCへの帰還を果たした。田村監督の戦術志向を熟知しており、加入後すぐさま中心選手へと返り咲いた遠藤。今季キャプテンにも任命され、チームの浮沈を担う存在として大きな期待を背負う。かつての助っ人はJ2で3年目を迎えたいわきの舵取りを担う真のリーダーへと成長を遂げ、千葉の強力攻撃陣を封じ込めるだろう。
■「思い切ったチャレンジを」田村雄三監督
「1月の始動から鹿児島キャンプ、そして開幕を控えた今まで、選手達はハードなトレーニングをこなしてきました。ここまでのトレーニングマッチでは決めるべきところを決められずに敗れる試合が多くありなかなか勝てていませんが、勝敗についてはさまざまなことにチャレンジした結果なので気にしていません。むしろ開幕前の今の段階で多くの課題が出たことをポジティブにとらえています。
シーズンインに向けて、ある意味手応えを掴んでいます。しかし、課題の克服にはまだ多くの時間が必要。そんな中でも、選手達の姿勢はとても前向きです。ここまで生まれた多くの課題の克服に向け、皆が強い成長意欲を持って毎日を過ごしているのは非常にいいことです。
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小林監督体制3年目の千葉さんは個の能力が高く、やることは基本的に変わらないでしょう。先週末のちばぎんカップでは敗れていますが、J1クラブの強い圧を受ける中でもボールをつなぎ、たびたび局面を打開していました。非常に能力の高いチームであることを、今一度認識せねばなりません。
今のところすべてが順調ではないのは、千葉さんも我々も同じです。だからこそ選手達は構えることなく、思い切ったチャレンジをしてほしい。ホームで迎える開幕戦。ありがたいことに、チケットが完売したと聞いています。ファンの皆様の期待に応えるために、いい準備をして試合に臨みます」
■待ちに待ったシーズン開幕。
2025明治安田J2リーグ第1節 ジェフユナイテッド千葉戦は2月15日(土)14時より、ハワイアンズスタジアムいわきにてキックオフ。試合の模様はDAZNでのライブ配信に加え、NHK福島で地上波生中継される。
待ちに待った2025年シーズン開幕。ひたむきに戦ういわきFCの若き選手達に、熱きご声援を!
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(終わり)
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