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【マッチプレビュー】2024明治安田J2リーグ第38節 いわきFC対ザスパ群馬

2024明治安田J2リーグ第38節。いわきFCは11月10日(日)、ハワイアンズスタジアムいわきにザスパ群馬を迎える。2024年を締めくくるこの試合の見どころについて解説していこう。


■ザスパ群馬とは

ザスパ群馬は、前橋市を中心とする群馬県全域をホームタウンとするプロサッカークラブ。名称はチーム誕生の地・草津温泉の「スパ」が由来である。
 
1995年に「リエゾン草津」として活動開始。2002年に「ザスパ草津」と改称する。この年に群馬県リーグ1部を制して関東サッカーリーグ2部へ昇格。翌2003年に関東リーグ2部で優勝し「Jリーグ加盟を標榜するクラブに対する優遇措置」の適用を受け、第27回全国地域サッカーリーグ決勝大会に出場して優勝。関東リーグ1部を飛び級してJFLに参戦し、翌2004年に3位に入ってJ2参入を果たす。
 
2013年「群馬のシンボルとなるチーム・地域とともに歩むチーム」を目指し、チーム名を「ザスパクサツ群馬」に変更。2017年に最下位でJ3に降格したが、2019年にJ2昇格を果たす。
 
2022年は11勝9分け22敗の勝ち点42で20位。大槻毅監督体制2年目の2023年は開幕5試合で1勝2分け2敗と苦しいスタート。しかし第6節で清水エスパルスに勝利して勢いに乗り、12年ぶりとなる4連勝。4-4-2から攻撃時に攻撃時は3-4-2-1に変わる可変システムでクラブ史上初のJ1昇格プレーオフ圏争いを繰り広げるなど、躍進を果たす。最終成績は14勝15分13敗の11位。
 
いわきFCとの昨年の対戦成績は1勝1敗。初対戦の2023明治安田生命J2リーグ第10節はハワスタでいわきが2対1の勝利。そして2回目の対戦は第35節。ここでは群馬が1対0で逃げ切っている。

■2024年戦力分析~ザスパ群馬

大槻体制3年目となった今季は呼称を「ザスパ群馬」に変更。昨シーズンの躍進を支えた主力選手の多くが残留し、加えていわてグルージャ盛岡からMF和田昌、MF藤村怜、AC長野パルセイロからDF船橋勇真、カターレ富山からDF大畑隆也らJ3クラブの有望選手を獲得。さらに東京ヴェルディからFW佐川洸介らをレンタルで獲得。戦力は厚みを増した。
 
しかし、開幕から苦しい戦いが続く。開幕6戦未勝利でスタートダッシュに失敗。第7節・徳島ヴォルティス戦でシーズン初勝利を挙げたが第10節から5連敗。第11節終了時点で最下位に転落し、第14節終了時点で大槻監督が辞任。武藤覚ヘッドコーチが監督に就任するも、なかなか成績が好転しない。
 
そんな中、いわきFCとは5月18日の第16節で対戦。前半は群馬がFW佐川洸介のポストプレーを起点に押し気味で終了。いわきは後半開始からMF西川潤を投入すると61分、西川が右サイドから上げたクロスに山口大輝がヘディングで合わせ先制。リードを守り切って勝利を挙げている。

群馬はその後、夏に守備リーダーDF城和隼颯がモンテディオ山形に移籍。J1サガン鳥栖からFW河田篤秀、J1サンフレッチェ広島からMF仙波大志らを獲得して戦力をテコ入れし、第23節・愛媛FC戦で16試合ぶりの勝利。復調のきっかけをつかむかと思われたが、その後も勝ち点を積み上げられない。第11節以降は20位が定位置となり、第37節終了時点で3勝9分け25敗の勝ち点18。最下位とJ3降格が確定している。
 
戦力の充実が予測された今季を難しくしたのは、ひとえに得点力不足。たびたびチャンスを作るも決め切れず、先制を許して試合を優位に運ばれて敗戦を繰り返した。特に響いたのは、核となるゴールゲッターの不在。夏に獲得したFW河田もなかなか得点できず、9月以降はサブでの出場が続く。
 
至近の第37節は大分にアウェーで1対2の敗戦。2連敗で8戦連続未勝利となっている。大分戦のフォーメーションは4-4-2。スターティングメンバーはGK21櫛引政敏、DF5川上エドオジョン智慧/37瀬畠義成/34小柳達司/3大畑隆也、MF14川本梨誉/6天笠泰輝/44仙波大志/28樺山諒乃介、FW7和田昌士/23平松宗。
 
特徴は可変システム。守備時は4-4-2で構え、攻撃時に右肩上がりの3-4-3に変わる。3バックとダブルボランチでビルドアップし、相手のプレスをはがしながらボールをつなぎ、前進していくのが基本スタイル。今節は背後へのランニングに長けるFW平松宗が出場停止のため、CFに入るのは187cm90㎏の大型FW佐川洸介か。身体が強くポストプレーが巧みな佐川を起点にサイドに展開し、クロスからゴールを狙ってくるだろう。
 
後方からボールをつなぐスタイルがゆえ、前線から激しくプレスをかけるいわきFCのスタイルとの相性は悪くない。いわきは前節の清水エスパルス戦でも前からの守備でチャンスを作り出しており、今節もショートカウンターを狙っていくだろう。ポイントは先制点。双方のこれまでの傾向から明らかなように、先に点を取ったチームが試合を優位に進めるのは間違いない。

■厳しい3連敗。求められる「最後の質」

10月20日のJ2第35節でファジアーノ岡山、翌週の第36節にホームで水戸に敗れたいわきFC。第37節で清水エスパルスとのアウェーゲームを迎えた。
 
いわきは3バックのメンバーに変動。DF堂鼻起暉が欠場し、右CBにDF生駒仁が入った。対する清水は前節からスタメンを3人変更。MF乾貴士、FWカルリーニョス・ジュニオがベンチ。FW北川航也、MFルーカス・ブラガはベンチ外となった。
 
清水には昨年、アウェーで1対9、ホームで1対7と二度の大敗。しかし4月のホームでの対戦ではMF西川潤、FW谷村海那のゴールで2対3と肉薄しており、この試合も真っ向勝負を仕掛けた。
 
いわきは清水のビルドアップをハイプレスで阻み、ショートカウンターから再三チャンスを作る。17分に敵陣でボールを奪い、FW有馬幸太郎がミドルシュートを放つが、惜しくもポストを叩く。直後にMF山口大輝がボレーシュートもGKがセーブ。対する清水もセットプレーからいわきゴールに迫るもGK立川小太郎がファインセーブで得点を許さず、スコアレスで前半が終了。

後半、清水はFWカルリーニョス・ジュニオ、MF乾貴士、FW郡司璃来らを投入。攻撃を活性化させ流れをつかむ。81分に右CKの流れからゴールを奪って均衡を破って先制。その後はいわきの攻撃をいなし、1点のリードを守り切った。横浜FCが勝利を逃したことで、清水は1試合を残しJ2優勝を決定。ホームのファンの前でシャーレを掲げた。
 
一方、いわきは厳しい3連敗となった。ただし、選手達は水戸戦に続き躍動感を発揮。「らしさ」をしっかりと示したのは間違いない。群馬との最終戦では今一度、攻守の最後の質を突き詰めたい。シーズン終盤のプレーオフ進出を巡る戦いと、厳しい連敗。この貴重な経験を無駄にせず、いい勝ち方でシーズンを締めくくってほしい。

■「1年の集大成として、しっかり勝利をつかみたい」田村雄三監督

「前節、選手達はよくやってくれました。清水さんとは、決めるべきところを決める、守るべきところを守る力の差があるとわかりました。課題は攻守のすべてです。

ザスパ群馬さんは攻守で可変するので、しっかり対応する必要があります。ただしそれよりも大事なのは、自分達がやるべきことをしっかりとやり切ること。群馬さんがどうこうではなく、90分プラスアルファをどう戦うか。自分達のプレースタイルをもう一度突き詰めたい。そして1年の集大成として、ファンの皆さんの前でしっかりと勝利をつかみたいと思います」

■シーズン最後の熱き戦い

明治安田生命J2リーグ第37節は11月3~4日に10試合が行われた。結果に基づく順位は以下の通り。

清水がいわきに勝利を挙げ優勝とJ1昇格が決定。2位・横浜FCは栃木SCと引き分け勝ち点75。一方3位・V・ファーレン長崎がジェフユナイテッド千葉に2対1で競り勝ち、勝ち点72。4連勝で自動昇格圏入りに望みをつないだ。
 
4位はファジアーノ岡山。藤枝MYFCに勝利し3連勝。勝ち点64でプレーオフ圏内入りが確定。5位はモンテディオ山形。水戸ホーリーホックに3対1で勝利し、ついに8連勝で勝ち点63。6位は長崎に敗れた千葉。プレーオフ圏外の7位に後退したのは、ロアッソ熊本に痛い黒星を喫したベガルタ仙台。山形、千葉、仙台で昇格プレーオフ残り2枠を争う展開となる中、最終節は山形と千葉の直接対決。最後の最後まで行方は見えない。
 
8位は徳島ヴォルティス。鹿児島ユナイテッドFCに勝利して勝ち点54。9位は愛媛FCと引き分けたレノファ山口FCで勝ち点52。プレーオフ圏内入りという目標を断たれたいわきFCは、清水エスパルスに敗れ3連敗。勝ち点51で足踏みが続き10位となっている。ただしどんな状況であっても、ファンの皆さんのため自分達のプレースタイルを表現することに変わりはない。少しでも上の順位でシーズンを締めくくるためにも、今節は絶対に負けられない。

2024明治安田J2リーグ第38節 ザスパ群馬戦は11月10日(日)14時より、ハワイアンズスタジアムいわきにてキックオフ。試合の模様はDAZNでライブ配信される。
 
激戦が続いた今季のJ2もついにフィナーレ。日曜日はハワスタで、選手達の2024年最後の雄姿を見届けてほしい。
 
(終わり)

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