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【FM店主日記Day24】「ボーイフレンド(The Boyfriend)」という恋愛リアリティ番組

Netflixの「ボーイフレンド(The Boyfriend)」という恋愛リアリティ番組を見終わった。

普通の、というとまた今の時代あんまり良くないのかも知れないけれど、これまでの恋愛リアリティ番組は男女間の恋愛にフォーカスしたものが多かった。今回のこのボーイフレンドはゲイ、あるいはバイの男性たちが同じ屋根の下で共同生活を送り、共有資産であるコーヒートラックの経営を一緒に行いながら恋愛が育まれたり、友情が育まれたりするのをヤキモキしたり、ウキウキしたり、ドキドキしたりしながら眺める、という類のエンターテイメントである。

LGBTQ+的な要素が盛り込まれているのがこれまでとは違う、という部分はそれはそうなのだけれど、全員が男性であり、一人の男性から見ると他の全ての男性は恋愛対象になりうる、という「片思いの矢印の可能性がめちゃくちゃ多い」というところが、恋愛リアリティ番組としての面白みをまた別の次元まで高めてくれている感があり、なんだかんだと最後まで観てしまったのだけど、結構、というかかなり楽しめた。

個人的には、僕がアメリカ育ちである、という側面もあり、ゲイの友達や知り合いもほどほどにいるし、サンフランシスコでしばらく時間を過ごしたことなんかもあるので、ゲイカルチャーとかそういう類のものに僕は全然抵抗はないし、恋愛なんて別にみんな好き勝手すればよいと思っている。誰かの恋愛対象が同性だろうが、犬や猫やウサギであろうが、火星人であろうが、はたまたトーテムポールであろうが、その人がハッピーであれば他者にああだこうだ言う権利はないと思っている。こういうのって宗教とかとも似ていて、他者がああだこうだ言うのはまぁ、意見を持つところまでは自由なので、100歩譲って良いとしても、この宗教に入るべきだとか、同性愛者は間違っている、治すべきだ、みたいなことを言ってしまうのは違う、というか誰にもそんな権利はないと思っているので、他者を変えよう、みたいなのはおこがましいし、なぜそこまで他人に関心が持てるのかがそもそも理解できない。

それはさておき、シチュエーションやら物語の起伏なんかもなかなか面白くて最後まで飽きない感じにはなっているのだけれど、やはりキャスト全員がお互いに対してすごく気遣いがある、というのが画面越しにも伝わってきて、鳥の胸肉に対する予算についての話し合いをするシーンとか、お互いの言い分や立ち位置がありつつも歩み寄ろうとする感じなんかはすごく良かったし、なかなかこういうハイレベルな攻防戦って日常的には遭遇しないような気がしたし、キャストはみんな自己肯定感を高めるための具体的な努力をしていることも感じ取れるし、ゲイであるアイデンティティを隠し、マイノリティとして、時には虐げれて生きてきたであろう過去の傷なんかも感じ取れて、日本にいる時から何度も転校生という特殊な立場での学校生活を余儀なくされ、挙げ句の果てにはアメリカに引っ越し、人種的マイノリティとして本格的にマイノリティになった経験を持つ自分としては図らずも共感できる部分があったりして、特に彼らと恋愛をしたい、という気持ちにはならなかったものの、彼らと友達になれたら彼らは自分を結構心地よい気持ちにしてくれるんじゃないかな、というのは感じたので、意地が悪い、ちょっと見てくれが良いくらいの女子と意味のない関係性を構築するくらいなら、温度感を合わせてくれるゲイの友達の方がよっぽど楽しいような気がする。

ちなみに恋愛対象がトーテムポールという人にはまだ会ったことがないので、そういう人がいるならば会ってみたいと思う今日この頃であるし、これをあえて日本で企画して実現させたNetflixの企画力は日本の制作会社では追いつけないグローバル感満載だったので、興味がある方はちょっと見てみてほしい。

フェルマータ店主 KAORU

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