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べき分布な世界で成功するには。受験勉強教訓の弊害
みなさんはお金持ちになりたいですか?
SNSのフォロワーを増やしたいですか?
一旦なりたいとしましょう。
でも日本の教育(主に受験勉強)の教訓ってこれらを目指すうえで弊害になっているのでは?という素朴な疑問に対して、ネットワーク科学、および「べき分布」の視点から、このnoteを書いてみたいと思います。
こんにちは、元ネットワーク研究者 (修士卒)、現XRエンジニアのイワケンです。
イーロン・マスクの資産が桁違い
イーロン・マスクの
資産は23.76兆円 (フォーブス世界長者番付・億万長者ランキング2023年)
Xのフォロワー数は1.5億人 (Elon Musk)
一方で、日本人の平均は
日本人の平均資産額は2人以上世帯で1291万円 (生活基盤の安定を図る生活設計)
イーロンマスクと180万倍違います。
Xの日本人フォロワー数の平均値は426人 (Twitter(ツイッター)のフォロワー数を1万人にするためのコツを解説!おすすめのツールもご紹介)
イーロンマスクと日本の平均は35万倍違います。
平均から桁違いに突き抜けていることがわかります。
受験勉強では桁違いが起きにくい
この現象を、受験勉強の点数やIQといった指標で考えてみるとどうでしょうか。
まず、受験勉強の点数はどうでしょう。
私が受験生だった2012年度のセンター試験数学II・数学Bの平均点は100点満点中51.16点。満点の100点だとしても、平均から約2倍の違いです。
偏差値50が平均で、偏差値70以上ですごいねと言われる世界です。
でも偏差値1億という人には出会ったことがありません。点数が、1億点という人にも出会ったことがありません (満点が100点なので当たり前ですが)
また、知能指数IQはどうでしょう?IQ100が平均です。IQ140や200と聞いて天才だ!!!となります。しかし、IQ1億の人には出会ったことがないわけです。
分布の違い。正規分布とべき分布
・資産とフォロワー数
・受験勉強の点数とIQ
なぜ平均値と、突き抜けた人との距離が違うのか
それは分布の仕方が違うからです。
・資産とフォロワー数 (べき分布)
・受験勉強の点数とIQ (正規分布)
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べき分布の特徴として、左右対称でなく「平均」や「分散」を出す意味があまりありません。なので、日本人の平均資産やフォロワー数と、イーロンマスクを比べることにあまり意味がないのです。
「商品の売り上げの上位の20%が全体の80%を占める」という「パレートの法則」とあるように、資産やフォロワー数も上位の人が全体の多くを示しているような感覚です。
この突出した結果を出す人が現れることから「ロングテール」とも言われています。
我々はべき分布の右側を目指したいはずなのに
我々は「べき分布」「ロングテール」の右側の人間になりたいわけです。
圧倒的な資産・フォロワー数を成功としています。企業が時価総額を上げたいのも近しいでしょう。
しかし、我々日本人が受験勉強で培った教訓は「正規分布」の右側にいくための訓練なわけです。偏差値50を偏差値70にするための訓練を我々は受けてきました。
目指すべきKPIの分布が違うんだから、取るべき戦略は違うんじゃないの?という疑問が生まれます。
イグノーベル賞の論文も分布の違いに注目していた
その視点で研究された論文が
イグノーベル賞2022経済学賞の論文
「Talent vs Luck: the role of randomness in success and failure」
です。(こちらに日本語訳をまとめています)
この論文は
「才能(IQ)の分布は正規分布だが、成功の代名詞とされる富の分布はべき分布に従う → 才能と成功は相関がないのではないか?」という仮説から実験を行います。
結論としては
成功はランダム的な「幸運イベント」に依存し「(一番多い)平凡で、かつ幸運な人」が成功する。
と、才能と成功には相関はなく、結局「運」が大事だよね。という結論です。
べき分布世界の成功の法則を論ずるバラバシ先生
さらに「べき分布」の右側に行くための「成功の法則」について、示した著書について紹介します。
「The Formula: The Universal Laws of Success」(Albert-László Barabási)
日本語訳された本は
「ネットワーク科学が解明した成功者の法則」
「ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」」
です。
この本の著者のバラバシ先生は、ネットワーク科学分野の第一人者であり、べき分布のネットワークを生成するアルゴリズム (BAモデル)を発明しました。私の修士の専門がネットワーク科学なので大変お世話になりました。
この本で示されている5つの成功の法則がこちら
Performance drives success, but when performance can’t be measured, networks drive success. (パフォーマンスが成功を促す、パフォーマンスが測定出来ない時には、ネットワークが成功を促す。)
Performance is bounded, but success is unbounded. (パフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない)
Previous success × fitness = future success. (過去の成功×適応度=将来の成功)
While team success requires diversity and balance, a single individual will receive credit for the group’s achievements. (チームの成功にはバランスと多様性が不可欠だが、功績を認められるのはひとりだけだ)
With persistence success can come at any time. (不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる)
当然ながら、この本にも「べき分布」の概念が登場し、それを前提とした戦略について述べられています。
日本で教訓化するためには。受験勉強の教訓の弊害とは
私が興味があるのが
・「べき分布」世界で成功するための、具体的教訓を言語化する
・日本の教育(主に受験勉強)の教訓が弊害になっている部分を明らかにし、学生に対しての適切なアプローチを解明する
この2つです。
ただ私は「受験勉強」そのものを否定したいのではなく、「受験勉強の教訓」を否定したいと思っています。例えば
・正解が必ずある前提で問題を解く。
・問題は与えられる。その答えを解けばよい。
・減点や失敗はNG
・世の中は予測可能である。
・努力と成果はおおむね比例し、成果には上限がある。
・運よりも努力が圧倒的に大事である。
「受験勉強」が大好きで高校生活3年間やりこんだ私だからこそ、社会に出てから「この教訓違くね」ということに気づくことができています。
活躍の再現性への挑戦・学生支援コミュニティIwaken Lab.
この興味に対して実践しているのが、技術好き学生支援コミュニティIwaken Lab.です。
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XR/NeRF好き学生中心に約50名が所属し、「個人」としての活躍を目指して切磋琢磨しています。
このコミュニティの文化やルールを決める際に「べき分布世界での成功法則」をインストールさせることで、活躍の再現性ができるか、を裏テーマとして活動しています。
現時点で
・23卒では4名中4名が第1志望のXR/メタバース企業に就職
・5名が起業し、資金調達を実現
・本の執筆、カンファレンスの登壇/受賞など、各領域で活躍
など、XR界隈では知られているコミュニティになってきています。
具体的に、普段共有している価値観として
・自分のアウトプットをSNS発信する
・発信から偶発的な実績機会を得る
・実績から新たな実績機会を作る
といったことを「目指していこうぜ」と常に伝えています。そして、それを実践できているメンバーは活躍の道を歩んでいるのを実感しています。
SNS発信とは「ネットワークへの参加」と私は考えています。その中でハブ人材やハブイベントに参加し、思わぬ機会を獲得する。この「思わぬ機会」が「運」です。その回数を増やすためには「試行回数」を増やすことと、「実績により確率を上げる」。だんだんと自らがハブ人材に近づいていく感覚を得ることが大事です。
この感覚は、べき分布を生成するBAモデルのアルゴリズム、から教訓を得ています。
私を含めて「XRエンジニア」という領域は、パフォーマンスを測定しにくいという意味で、バラバシ先生のネットワーク効果を活用する意義がある道です。
そして、XR領域は学生や若者にとって活躍しにくい領域でもあります。その中での活躍の再現性が確認できれば、べき分布世界の教訓言語化として一歩近づくのではと思っています。
こんなことを日々考えていますので、興味ある方は「いいね」をおねがいします。興味ある方と私はもっと語り合いたいです。よろしくお願いします。
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