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「学校教育」に対する社会からの不承認!?

「40人学級」の復活!?

全国の複数の自治体で教員不足によって学校教育法の定める学級数を確保することができずに、現在実施されている30人学級・35人学級を40人学級に戻す案が浮上しています。沖縄県においては、学級担任の確保ができずに、他の学級に児童を振り分ける対応をしていたことが分かっています。
これは学校長の判断で、教育行政も「指導」をするということを話しているようですが、これではあまりにも学校現場にしわ寄せがきているのではないかと思います。
全国の自治体で教職希望者の減少が問題になっています。目下の対応策として40人学級を承認するということになろうかと思いますが、教員の精神疾患に起因した休職率の高さから考えても、40人学級にした場合のマイナス面が大きくならざるを得ないと考えます。
40人学級にした場合、児童生徒一人にかかる教育予算は減じられるわけですが、教員の給与を大幅に改善しようという動きは起こってきません。「公立学校の教員の給与は税金だから教員に高い給料は払えない」という論調もあるようです。学校教育に対してその価値を社会全体が認めれば教員の処遇も改善して志望者も増えるかもしれません。社会全体の教育の価値に対する不承認があるように感じています。

教員の価値とは?

もちろん、その前提条件として、教員の資質向上は欠くことができない視点です。私は自らが教職ではありますが、世の中の「先生」と呼ばれる職業と比較した場合、その専門性について疑念を持ってしまいます。
(スーパーティーチャーはもちろんいますが、全体として…)
一時期、教員は修士課程で取るものという議論がされたことがありました。また最近では、学校現場における心理・福祉的な課題に対応するために、教員にカウンセリングやソーシャルワークを学ばせるという案も出ています。「4年間の大学学部で教員免許を取得し、その後、大学院で学校カウンセリングやスクールソーシャルワークを身に付けた教員の養成を行う」という内容です。しかしながら現実はどうかというと、4年制大学においても2年間の課程で教職課程を修了できる制度の導入や大学3年生でも教員採用試験を受けることのできる制度(東京都や相模原市など)の実施など、とりあえず量の確保に走っています。これでは、教員の価値を上げていくハードルは多かくなっているように感じます。

公教育と「受益者負担」

私が勤務する学校の話です。自治体の予算で教室にエアコンが設置されました。それでも他の自治体から見ると「今までなかったの?」という感想かもしれません。ここまではよかったのですが、問題はここからです。
「エアコンの電気代は『受益者』である生徒と教員が支払う」ということになりつつあります。「自分の自治体も同じだ」という先生方もいるかもしれませんね。しかしよく考えてほしいと思います。
教育の最終的な『受益者』は誰でしょうか?夏に涼しく、冬に暖かい教室で勉強できる児童生徒が受益者でしょうか?教育の受益者は、児童生徒個人であるとともに社会全体ではないでしょうか?教室にいて熱中症を引き起こしそうになるという状況がありました。そんな中でふらふらになりながら勉強している子供たちは、社会から支えられているということを実感したでしょうか?将来、社会の発展に貢献したいと思えるでしょうか?「私たちの時もエアコンはなかったのだから」という同窓会やPTAの声。それを飲み込むしかない子供たちは社会や大人に対してどう思うでしょうか?
教育の結果は、経済と違って即効性はありません。しかしながら教育は確かな地域社会を創造することにつながっていることは確かです。
ネガティブキャンペーンは行いたいくありませんが、「教員になったら社会が負担してくれないエアコンの電気代を私費(給料から)で負担しないといけないよ」と教員採用試験を受ける学生さんに教えてあげたいくらいです。

教育予算を確認してみよう!

現在、各自治体で令和5年度予算が組み立てられています。皆さんの自治体は「教育」や「子育て」に対してどの程度のどのような種類の支出を計画していますか?
社会全体で「子供のそだち」をサポートするという覚悟をもつ必要があるように思います。


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