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【葬送のフリーレン】フリーレンの認知に影響しそうな要素
漫画「葬送のフリーレン」では、エルフであるフリーレンが、旅を通じて人間を理解していくという、1つの大きなテーマがあります。
勇者ヒンメルの死をきっかけに、フリーレンは人間を知ろうと考え、その後の旅の仲間との出来事を通じて、徐々に人間を理解していきます。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第1話より
その人間を理解する過程を追う前に、そもそもフリーレンがどのように人間と違う感覚を持っているかを整理するため、以下の「なぜ世界はそう見えるのか:主観と知覚の科学」という本を読みました。
本記事では、上記の本の内容を紹介するとともに、フリーレンの主観や知覚に影響しそうな要素を、作中の記述を元に整理したいと思います。
本記事での漫画「葬送のフリーレン」の引用は、単行本全12巻117話までの記述内容を含むので、ネタバレを避けたい方は読むのを止めて下さい。
「なぜ世界はそう見えるのか」の要約
英語の副題"How our bodies shape our minds"にあるように、本書の内容は「自身の身体がいかに認知活動に影響を与えているか」をまとめたものです。
以下リンクにあるように、心理学などにおける認知とは、「人間などが外界にある対象を知覚した上で、それが何であるかを判断したり解釈したりする過程のこと」を言います。
また本書では、自身の身体について、文字通り肉体としての身体を指す以外に、自身が生み出す情動や、所属する社会的環境全体にも拡張し、それらが認知に影響する過程を議論しています。
本書で紹介されている例でわかりやすいと思うのが、目の前の坂道の勾配を推察する実験です。
大抵の人は目の前にある坂道について、実際の勾配よりも大きく見積もってしまいます(例えば15度の勾配は45度に見えるなど)
ただ身体能力の高いアスリートは平均より小さく見積もる(肉体としての身体)ことや、悲しい時は大きく見積もる(生み出す情動)こと、さらに仲の良い友達が隣にいると小さく見積もる(社会的環境)ことが、実験でわかっています。
上記は一例ですが、自身の身体やその周りの状態によって、我々の認知が変わること、そしてその積み重ねが各々の世界を形成していくことを、本書は具体例をもって紹介しています。
フリーレンと環世界
上記の本は主に人間を対象とした内容ですが、想像上の生物であるとはいえ、エルフであるフリーレンも当然、人間とは違った知覚を有しており、独自の世界観を築いています。
この動物種やその個体に特有の知覚世界のことを、生物学の用語で「環世界」と言います。
フリーレンと環世界については、以下の記事にて触れられているので、時間があれば御一読ください。
フリーレンの認知に影響しそうな要素
上記の本の内容を参考に、エルフであるフリーレンの見る世界を理解する上で、その認知に影響しそうな要素を、以下に整理します。
【身体】寿命・不老
身体的な特徴として、大きく人間と異なるところは、寿命と不老だと考えています。
葬送のフリーレンにおけるエルフの寿命は、作中にて正確な数字は言及されていませんが、少なくとも1000年以上であり、ゼーリエ曰く永遠に近い寿命だと言われています。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第53話より
また不老に関しても、1000年前のフリーレンやゼーリエの容姿が、現在とほとんど変わっていないことが根拠と言えます。
それらがどのように認知に影響しているかについては、平気で50年後の約束をしてしまうことが一例として挙げられます。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第1話より
【思考】優れた記憶力
上記の不老とも関係しますが、フリーレンを含むエルフは優れた記憶力を有しています。
どの程度かと言うと、当時は発言の意味がわからなかった、1000年前のフランメとの会話も、キッカケがあれば思い出せるくらいです。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第7話より
その記憶力ゆえに、フランメの死を思い出すから花畑を出す魔法を出来るだけ使わなかったという、フリーレンの行動にも影響を与えています。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第81話より
【情動】乏しい感情や感性
葬送のフリーレンでは、感情表現が乏しい登場人物が多いですが、その中でも特にフリーレンは、感情や感性に乏しいことがハイターに指摘されています。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第56話より
それらの特徴が他者とのコミュニケーションに影響するのは想像に難くないですが、上記の本で言及されていたように、感情は行動のブレーキにもなるので、以下の例のように敵に突っ込みやすくなるかもしれません。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第115話より
【情動】恋愛感情や生殖本能の欠落
フリーレンを含むエルフは、種として恋愛感情や生殖本能が欠落しています。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第13話より
性欲は人間の三大欲求とも言われているため、それが欠落していることで人間と認識が共有できないことも、可能性として考えられます。
【社会】故郷の消失
フリーレンは1000年前に、魔族の襲撃により故郷の集落を潰されています。
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もちろん集落で暮らしていた経験もあるのですが、それが消失したことにより、エルフの集団としての同族意識や習慣が、フリーレンの認知に影響を与えることは小さくなったと思われます。
【社会】人間と関わらない生活
フランメに魔族との戦い方を教わったフリーレンは、彼女から「目立たず生きろ」と指示されます。
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原作:山田鐘人/作画:アベツカサ 漫画「葬送のフリーレン」第22話より
実際その指示を忠実に守り、勇者一行と出会うまでは、長い間人里離れた森で、人間と関わらず過ごすこととなります。
そのことが結果的に、フリーレンの人間への理解を遅らせた要因の一つになったと考えられます。
上記の他にも要素はあるとは思いますが、もしあれば他の記事にて個別で紹介したいと思います。
まとめ
本記事では、「なぜ世界はそう見えるのか:主観と知覚の科学」の内容を紹介するとともに、フリーレンの主観や知覚に影響しそうな要素を、作中の記述を元に整理しました。
長くなりましたが、最後まで読んで頂きありがとうございました。