「シアターカフェ」について
こんにちは。岩井です。
今日は「シアターカフェ」というものについて提案させてください。
この「シアターカフェ」説明しますとズバリ、
「劇場にくっついて存在しているカフェ」
となります。まぁそんな珍しい存在ではないですよね?
東京芸術劇場にもカフェスペースがありますし、
高円寺の劇場、「座・高円寺」にもありますね。
こういったスペースを、もっともっとあちこちの劇場に作ってはどうか?
いや、作るべきだ!!作れ〜!!というお話です。
まじで急いで作ったほうがいいです。
特に地方の劇場。すごい損してるはず。
「何を損しているか?」についても、後ほど話します。
シアターカフェの存在意義っていうのは、
「演劇を見た後のお客さんたちが作品について話す場」
てことになっております。
現状、公演を見たお客さんたちって、
ほとんどがそのまま帰っていってるんですね。
作品がすごく面白かったとしても、逆にすごくつまんなかったとしても、結局は「劇場の退館時間の都合」なんかで帰されてるんですね。
これがまず「街視点」というか、「経済的な視点」から見ると単純に、
じっと座って演劇を見ていたお客さんたちが何百人もいて、お腹空かせたり喉カラカラだったりしているのに、そのまま帰らされている。
ということがまず凄まじくもったいないと思うんですね。500円かける500人くらいは、まず、損してる。1公演で。
単純にそこで何か、おいしい飲み物でもあればいいじゃないですか。
たとえば、
「その劇場で作品を見た人にはフリードリンク1杯プレゼント!」とかってしたらもう、周辺にある他のいくつかのお店に比べたら圧倒的にそのお店にお客さんが集まっていくと思うんですよね。
日本の演劇、特に小劇場は、コロナでめちゃくちゃダメージを受けたって言う認識だと思います。
でも僕は、ダメージじゃなくて事実が明らかになっただけだと思っていて、演劇を昔から見られている人もコロナで演劇が見れなくなって、テレビやネットを見て、「やべ〜!ネット上にもこんなに面白いものがいっぱい転がっていたのか!」って、気づいてしまった。
さらに、振り返ってみると演劇は劇場に足を運ばなくちゃいけないし、どれだけつまらなくても一時停止もできないし、スワイプしても場面を変えれないから。
宇宙一、面倒臭いメディアと言ってもいいほど。笑
そんな中で「じゃあ演劇はどうすんだ?」ということを考えて、結論として「では、私たちも『短くて見やすいもの』を作りましょう」なんてことでも、ないと思う。
そもそも演劇を見に来る人って、わざわざネットで手に入るような楽な面白さを求めてない気がする。
やっぱり生の人間を見にわざわざ、劇場まで来ている、きっとそこには「参加している感」がある。
そういう「熱が強い人たち」が、演劇には集まっているって思うんで、その「熱」に応えるものをこれから用意するべきではないかと、思うわけです。。
観劇後「そういう内容だったんだー」「まさかあんなことだっとは」と色々思いを巡らせている観客に、公演が終わった瞬間、「退館時間なので!サヨーナラ!」ってするんじゃなくて、終演後にこそ、「演劇体験を増幅するための機能」が必要だなって思ってます。
その1番シンプルな形が、シアターカフェ。
僕もアヴィニョンの演劇祭に見にいったりとか、フランスに数ヶ月滞在して作品を作らせてもらったんですけど、やっぱり見終わった後にお客さんたちって、ガッツリ作品について話すんですよね。あーでもないこーでもないと。
作品について話すと言っても、そんな高尚な話なんて別にしなくてよくて、「お前面白かったの、じゃあ何が面白かったんだよ」くらいなことを、あーだこうだって言い合ってきた歴史がある。
そしてそういう文化っていうのは場所がないと生まれようがない。
そこに立ち寄れるカフェがあることが大事。ちょっと食べたり飲んだりできることが大事。
あと、お酒も飲めてもいいんだけど、酔っ払いが騒ぐ場所にしたくないので、個人的にはカフェの方がいいかなと思っています。
そこで、「『お客さんたちだけ』で話す」っていうのが、僕は結構、大事な要素だと思っています。
いわゆる」アフタートーク」ってあるじゃないですか。上演後にクリエイターが出てきて話すやつ。
これも悪くはないんですけど、どうしても「クリエーターの言ったことが正解」、みたいになっちゃうんですよね。(さんざんアフタートークをやってきた僕がいうのもなんですが、、でもやってきたからこそ、思ってることでもあるんです。)
お客さんが、「あそこのセリフの意味は、こういうことなんじゃないかな?」「あの舞台美術には、こういう暗喩が込められてるんじゃないか?」って、せっかく想像が膨らんでいたとしても、クリエイターが何か言っちゃうと、「あ、そうなんだ」って膨らんだ想像が萎んじゃう。
シアターカフェでは、そんなこんなをお客さん同士でおしゃべりしてもらうことで、想像が相乗効果で膨らんでいくことに繋げられる。
「そんな考え方もあるんだ!」って、お客さん同士が思うことで、そこにコミュニティが生まれるし、コミュニティが生まれることで、お客さんにとって、「作品への愛着」から、劇団、「劇場への愛着や興味」が生まれて育っていく。これが「体験」となる。
「演劇を見せて、帰ってもらう」
ではなく、
「演劇を見せて、それについて考えてもらい、さらに話し合ってもらって笑い合ってもらって仲良くなってもらい、帰ってもらう」
という体験にしていく。
「あの作品については何時まで話したな〜」とか。
「あの作品ほんとに腹たって、散々文句を言ったな〜」とか。笑
そうそう。文句が言えるっていうのもめちゃくちゃ大事だと思う。
つまんなかった時って大体お客さんて、自分を責めるしかなくなるんです。
「自分にはわからなかった」とか「作品選び間違えた」とか。
でももし「超つまんなかった」ことを、誰かと声に出して共有できるんだとしたら、全然意味が変わる。
「ぬぁー!むちゃむちゃつまんなかった〜!」とか、「あれかなんでダメだったかわかるよ俺!!」とか話せると、全然意味が変わるんです。
なので、作品が面白かったとしても、面白くなかったとしても、その「体験をより良いものに変えられる機能」として、「シアターカフェ」っていうのは絶対にあったほうがいいと思っております。
実際に僕自身も、今年三重県で、「再生」なる作品をやったとき、終演後に即席のシアターカフェのようなものをやってみたんですね。
お客さんを別会場に誘導して「どうぞお話ししてください!」って。
そしたら150人のお客さんのうち、50人が残ってそこで喋ってたんですね。実に全体の3分の1が残っ
た。
まだ「これ、何?」なレベルでお客さんたちに理解されていない企画だったし、「習慣として存在していない」ものなのに、全体の3分の1が残ったっていうのは、僕は結構、事件だと思っています。
需要がめちゃくちゃある可能性が高い。
で、その時、僕はバラシも手伝ってたので、1時間くらい遅れてからその会場に覗きに行ったんですね。
そしたら会場ではまだ、お茶菓子をつまみながら、50人ほどが10組くらいに分かれてずっとおしゃべりしてて。
で、僕が入っていったら、劇場の人が「岩井さんきましたよ〜」って言ってくれたんですけど、皆さん拍手もそこそこに再びそれぞれの会話に戻っていったんです。「それどころじゃない」みたいな感じで。
僕も少しだけショックではあったんですけど笑、
「お客さんたちの中でやりとりが行われる」っていうのが無茶苦茶大事なことだと思ってたので、「すげえいいじゃん!」と思って。
その後、それぞれのグループに顔を出して「ありがとうございました!」って挨拶をしていって、いろいろ聞いてみたら、これがですね。
5人組ぐらいのグループがいくつもいくつもできたんですけど、ほとんどの人が1人で来たお客さんだったんですよ。
これにすごいびっくりしまして。
昔誰だったか、演劇人さんの本で、
「現代の演劇っていうのは都会の演劇で、観客は1人で来て、1人で観劇して、1人で静かに帰っていくんだ」って書いてあったんだけど、、。
「全然そんなことないんだ!!」と思って。
150人中、少なくとも50人は繋がりたがってんだなと。会場では1人て来たお客さん同士が作品の話をしているうちに、やっぱり「出身どこなんですか?」みたいな話になって、「私は、岐阜から月に1回、この劇場に見に来てるんです」とか、「最近は東京から来た公演が、名古屋を飛ばしてちゃって、三重で上演したりするんですよね〜」みたいな、そういう情報交換とかもしてて。
その時、
「もしこの集まりをやらなかったら、ここで今起きている交流も関係も、一切、何一つ生まれない。」
「何も生まれないまま、お客さん同士、互いに目も合わせずに帰ったんだと思うと、すごくもったいないことをしているんだ」
と思った。
なので、「絶対やったほうがいい!」って言う話です。
できればそういう「イベントごととして、1ヶ月に1回」とかっていう形ではなく、劇場ごとに常に「シアターカフェ」が存在する世界にしたい。
それは劇場の中だったり、劇場の目の前だったりってところに存在している。なんて世の中になると、かなり演劇とお客さんの距離っていうのが縮むはず。
ということで、シアターカフェが存在したら、演劇にとってもお客さんにとっても、メリットだらけという話でした。
ただ、僕にはそんなカフェを建てたり作ったりするお金がないので、
どこかに「そういうことなら俺がお金なら出すぜ!」みたいな人が、
もしいたら、ぜひ声をかけて欲しいです。
ちょっと額が大きいけど、またクラウドファンディング案件なのかなとも思っていますので、
皆様アドバイスやご意見ご感想などいただければと思います。
もちろん、「演劇公演がある時はいいけど、ない時はどうするのさ?」に関しても、まあまあ策は練ってありますので。
ご興味ある方はご連絡ください!ではでは。
岩井