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落とし前はつけてもらいます。

友人が実は、元夫と不倫関係にあって関係が続いていたこと。
私に話してくれた事は殆どが嘘だったこと。

その暴露された事実が録音されているボイスレコーダーを前にして
これからどうしようかと悩んでいた。

また、法テラスに行って相談をする元気もなく。
かといって友人や元夫に復讐をする気持ちも起きなかった。

何もかもがどうでもいい、世界が灰色に見えて
このままずっと眠ってしまいたいと思った。

あの暴露大会の後、自分の体調不良を理由に娘を叔母に預けた。
何もしたくない気持ちが大きくて、そのままだと娘が危ないと
まだ、まともだった理性がそうさせたのだと思う。

その頃には、実家から近い場所でアパートを借り二人で生活していたので
あの判断がなければ、娘は今現在生きていなかったかもしれない。


それから、数日経過した頃。
私と連絡がつかないことを理由に、派遣会社の営業さんが私の家を訪ねてきた。
その時の記憶がないのだけれど。
何回もベルを鳴らしても応答しないから、隣の部屋の人に大家さんを聞き出し
鍵を開けてもらったら、衰弱した私が部屋の中で倒れているのを発見。
そのまま病院に搬送された。

元夫の嫌がらせに巻き込みたくないと、母とも姉とも連絡を頻繁に取っていなかった。それに、私の地域は近所付き合いが希薄で、何日間も姿を見ていないからと
気にする人は皆無だった。

営業さんが、来てくれなかったらと正常になった今ではゾッとします。

入院後、診断をうけ私はうつ病を発症している事がわかった。
元夫と婚姻関係にあった頃から、うつ状態にはなっていたらしく
今回のことがキッカケで、うつ病と診断をされた。

婚姻期間が終了していれば、殆どがうつ状態から抜け出すことができるが
私の場合、元夫や義家族からの嫌がらせのせいで症状を改善することが出来ない、後、その嫌がらせが元で安定した生活を送れないことが、大きなストレスとなっていた。

私が入院をしている間に、暴露大会のボイスレコーダーが大きな活躍を見せた。
私の義兄(姉の旦那さん)が、今回のことに大変ご立腹になって
弁護士を雇い元夫と友人に対して、慰謝料請求を行なってくれたのだ。

私の義兄は、マジで漢前な人でして。
普段は【ほわわ〜ん】とした癒し系の人なんですけど、この時にみたいに
義妹が大変な目にあっていると知ると、いつも頼りになる味方になってくれるんです。弁護士費用や入院の時に必要な保証人にもなってくれた。

義兄が元夫に行った事。
婚姻期間の不貞行為についての慰謝料を請求した。
私も後になって知った事だけど
婚姻中に配偶者が不貞行為をしていた事実が、離婚後になってから判明することも少なくないらしく。
このようなときも、元配偶者(この場合は元夫)に対する慰謝料請求が認められる。
そして、そのまま放置して3年が経過していたら時効を迎えることになっていた。

義兄が激怒していなかったら、私は放置してしまうところだった。

これから書くことは、正常な考えを取り戻してから聞いた話。
まず、弁護士は元夫の現住所を調べた。
離婚成立当初は団地から引き払って栃木に引っ越しをしているようだったが
なんと、1年後にはしれっと同じ団地に引っ越しをしていたそうだ。
それまでいたのは3街区だったけれど、1街区に住んでいる事を突き止めた。
その後、婚姻期間の不貞行為について、慰謝料請求を送った。


友人にも同じ事を…と思っていたが、ここで義兄の活躍が光る。
友人の旦那さんの勤務先を特定し、私が録音したボイスレコーダーを聴かせ
配偶者が不貞行為を行なっている事を伝えた。
それに対して慰謝料を請求する事も併せて伝えたそう。
友人の旦那さんは、そのことに大変なショックを受け(そりゃそうだ)
なんとか支払いをすると約束してくれた。

その後、友人に不貞行為に関しての慰謝料を請求。
ものすごい勢いで電話がかかってきたそうだ。(この時、私の携帯電話は姉が持ち歩いていた)これも録音してくれていたので、後から詳細に聞く事ができた。
「ちょっと!慰謝料ってなんの話!」
「あなたが妹の元旦那と不貞行為を行なったことに関しての慰謝料です。」
「私がいつ不貞行為をしたっていうの!証拠は!証拠を見せろ!」
「弁護士にも確認をしていますが、あなたが自白してるじゃないですか。」
「は?私、そんな事話してないけど?」
「先日、妹が派遣切りにあった後。あなたに会いに行ってますよね。その時の会話を妹が録音していたんですよ。その中であなたが自白してます。」
「…え?」

姉は友人の怒鳴り声にも、淡々と話をしてくれていた。
表だって怒っているようには見えなかったけれど、姉も義兄同様…いやそれ以上に激怒していた。

「あれは、言葉のアヤっていうか…。なんか私どうかしていたのかなぁ?」
声の感じから、確実に狼狽えているのが分かった。
「あなたがどう解釈しようとどうでもいいですが、あなたの旦那さんには先に今回の事をお伝えしています。」
「なんで?」
「なぜ?あなたが慰謝料を支払う能力がない事は調べて分かっていますので。その配偶者である旦那さんに立て替えていただく為です。」
姉の言葉に友人が激昂した。
「どうして!余計なことをするの!あの人が私から離れて行っちゃうでしょ!」
「そうでしょうねぇ。」
「私が離婚することになったら、あんた達のせいだからね。せっかく自由な愛を育んでいるのに邪魔したから。私だって慰謝料請求する権利があるはずよ!」

よく分からない持論を持ち出してきた友人。それに対して姉は鼻で笑いながら

「つーか、どこの国家の人間だよ。あんたは男版のハレムでも作るつもりかよ。」

姉の声は低くドスの利いた声に変化していた。その声に友人も声が出なくなっている。
「そーゆー馬鹿げた思考は日本では通用しないんだよ。知ってる?『郷に入っては郷に従え』って諺。どこの国で生まれて育ってるのか知らないけど、この国で育っているなら一夫一妻だってことは理解してんだろうよ。そんなに何人もの男を抱えたいならスリランカとか、そっちで生活したら?」
「…」
「これ以上は、私があんたから慰謝料取られる可能性があるから言わないけど。妹にした裏切りに対しての対価は支払ってもらう。」
「ッチ…。払えばいいんでしょ!」
その態度に姉は慰謝料だけ取れればいいと思っていた考えを変えたそうだ。
「慰謝料だけ支払えばいいと思わない方がいいよ。」
「は?どういう意味よ…ちょっと!」
そう聞こえていたが、一方的に電話を切ったそう。

その後、姉達が行なったことは友人の旦那さんに協力をし、離婚に必要な資料を渡したそうだ。
友人の旦那さんは、地元でも有名企業に勤務していると有名だったらしく
(団地住まいだったのは、小さい頃からの憧れだったのだとか)
離婚すると噂が立つと、瞬く間に友人の不貞行為や私にした暴露内容がいろんな人に触れ回ることになる。

友人の旦那さんは団地を出ていき、残された友人は好奇の目に晒されることになった。離婚のためにパートを探すが、その噂が原因で就職が決まらず実家に帰ることにしたらしいが…実家も住んでいた団地の近くなので。
とっくに父母の耳に不貞行為は耳に入っていた。
【一家の恥】と言われ、実家に戻る事も叶わず、離婚するまでは団地に住んでいたらしいが、その後は知らない。

そして、問題の慰謝料だけど。
友人の方は支払ってくれた。(正確には友人の旦那さんが支払ってくれた)
元夫の方は…言わずもがな。今現在も支払っていない。
養育費不払いも続いている。

娘は小学校入学を迎えようとしていた。



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