群馬県立近代美術館「群馬からみる日本の美」
高崎市にある群馬県立近代美術館は1974年10月17日開館で今年50周年とのこと。建物は磯崎新作品である。この場所は以前は火薬庫、火薬工場だったとのこと。キューブは最大で12m×12m×12m、円柱12本、中には以前は空中レストランがあったとのことです。ラウムプランで増幅しやすいとのことでした。空間を閉じない、途絶えさせない、つながり広がる感じがしました。展示空間としてもシンプルで使いやすいのかなと思いました。
そんな建物での企画展。私は画家山口晃の記念トークを聞くのがメインだったが、企画展「群馬からみる日本の美」がよかった。これとコレクション展をあわせて1000円。特別展示で山口晃「深山寺参詣図」(1994)がありました。写真はチラシ。1974年の開館にあたり、高崎市出身の実業家・井上房一郎から日本画と中国の古書画など193点の寄贈、県民や作家遺族からの寄贈を受け399点でスタートしたとのことです。
今回特に私の気持ちをひいたのは、草虫図(元時代)、伊藤若冲「菜蟲譜」、葛飾北斎「鯉図」、円山応挙「白狐図」です。プロジェクションマッピングでもなくデジタルアートでもないけど700年前に描かれた草虫図ではモンシロチョウが動いて見えました。地のこげ茶の上にひらひら数頭のモンシロチョウ。このテーマはのちのち、定型化していくそうなのですが、これはまだ定まる前の作品とのことでした。伊藤若冲「菜蟲譜」は、野菜が巻子に描かれていますが、今でいうところの絵手紙の描画のように描かれていた。実にゆるやかで自由、形式ばってないところが好きになりました。他の2作品も動きがあったり人間ぽく見えたりして定型におさまらないところが好きです。山口晃氏の描き方は、「あっ見えちゃったー、世の中にないなー、描いちゃったー」のような感じ?深山寺参詣図は芸大の卒業作品とのことですが、消失点があるのかないのかわからず、平地がなく、建築物の描写もおかしいのに、なぜか画面が破綻していないところが非常に面白かったです。