シアターねこ閉館についての忸怩
松山市唯一の小劇場「シアターねこ」が2024年8月いっぱいで閉館となるとのことだ。あと4ヶ月くらいか。
東京にはたくさんある小劇場だが、地方都市ともなるとここしかなかった。
愛媛で初めて仕事をしに来たとき、ここがあることにホッとしたことを思い出す、もう7年も前の話だ。
もちろん劇場は他にもあるし、好きな小屋も他にもあるが、金の匂いがしないというか、道徳的な匂いがしない、いわゆる表現の自由の場である小劇場は「シアターねこ」がメッカであると思う。
2023年に僕が立ち上げた演劇ユニット(イワントモリ)があり、これからの公演にあたって、2024年のシアターねこの予定を電話で訊いたのは先月のことで、「閉館になるので予約も取れないんです」と苦しそうに伝えられた。もちろん僕も苦しかったが、その時は「シアターねこがなくなることより」も、「じゃあどこで演れるだろう」と思考の転換をしてしまった気がする。薄情だなと思う。
2022年の「まつやま演劇人サミット」(企画 めぐりて、松山ブンカ・ラボ)に登壇した際も「シアターねこが無くなったら、演劇人はどうするか?」と話し合いになった。あの時の僕に危機感が足らなかった気もするし、それとやはり僕はねこの劇場管理人ではないから僕の仕事ではないのであるし、閉館が代表者の責任とは言わない。
決まったこととして、シアターねこは閉館となる。
もちろん復活を願っている。
お前なにさまだよとか、なんだか上からな物言いに取られたらイヤだけど、僕にできることたくさんあったのではないか?と思う。役者にできることが。
閉館抑止の一助となるような、はたまた1、2ヶ月いや数日延びるようなことができたのかもしれない。
それをしなかったのは、結局僕という人間のスケールであり、僕は僕でわりとがんばって生活をしていた、一役者の意見である。
シアターねこには、計3回の公演で芝居をやった。
どれも印象に残っている。どれも小手先では演ってない(と思う笑)。
シアターねこ代表の鈴木美恵子さんには、きちんとお礼を言いに行かないといけない。さびしくはなるのだけど、これから僕に何もできないわけではない。
そして、イワントモリは小屋を探している。
黄色が赤に変わりそうである。