CEO×新参画のリーダーが語る「IVRyエンジニア組織の未来」
この度、IVRyは2024年5月にシリーズC30億円の資金調達を発表しました。
今回は、CEOとエンジニアが語る「IVRyエンジニア組織の未来」をテーマに語っていただきたいと思います。
今日のゲストはCEOの奥西さん、そして今年から参画したクックパッドCTOを6年間務められ、現在 Principal Engineerの成田さんです。
さらに詳細はPodcast「IVRy Talks」でお聴きいただけます。
奥西
IVRy代表の奥西です。バックグラウンドは大学院までコンピュータサイエンスやエンジニアリングを学び、新卒でリクルートに入りプロダクトマネージメントやUIUX、 あとはマーケティングなどを4年ぐらいやって会社を立ち上げました。そこから1年ぐらいしてIVRyの事業を始めて、丸3年半ほど経ったところです。
成田
成田と申します。IVRyには2024年2月に入社しました。その前はクックパッドに14年間いて、最初はインフラ周りのエンジニアとして所属しており、途中から6年間CTOとしてエンジニア組織や技術課題などに向き合ってきました。IVRyでは特にCTOやマネージャーでもなく1人のエンジニアとして、今インフラ周りとかデータ基盤周りのエンジニアリングの仕事をしています。
ボルダリング採用!?コロナ禍にあえてオフィスに投資していることから感じた組織づくりへの想い
ーー 成田さんが入ってくれて社内が湧きましたよね。奥西さん的には印象はどうですか。
奥西
本当にふらっと去年の11月ぐらいにボルダリングの壁があるのが面白そう、話もちょっと聞いてみたいです、という感じできてくれたんですよね。おそらく転職活動をされ始めた頃だけれど、クックパッド自体を辞めるのかどうかも迷ってたんじゃないかなというぐらいのタイミングで。成田さんがオフィスに来てくれるっていうので、エンジニアのみんながざわざわしていて、「なんとか奥西さん頑張ってください」とかって言われながら色々話してたような気がします。僕がすごく印象に残ってるのは、その話すプロセスの中で成田さんが言っていた「面白い会社とか楽しい会社を作るっていうのが自分のライフワークです」ということでした。
IVRyは、2023年末ぐらいに組織が60人とかを超え始めて、よりスケールしてかなきゃいけない、けれど、この楽しい空気感、みんなの一体感みたいなのをもったまま数百人とかいけるのだろうか、みたいなこと考えていた時期で。成田さんと色々話す中で、もちろん今までの実績も信頼もありますが、根本的な思いやスタンスで、会社自体をどう作っていくのかってところを絶対一緒にやっていきたいと僕の中でめちゃめちゃ思ったんですね。成田さんに入ってもらってまずは僕自身も楽しくあり続けられる組織を一緒に作り上げていってほしいって話をめちゃめちゃさせてもらい入っていただきました。
ーー まさかの入り口は”ボルダリング採用”というところで。
成田
元々趣味でボルダリングをたまにやっていたので、オフィスにボルダリングの壁がある会社っていうのを聞いて、 今時珍しいなと思ったんですね。というのも、大きい会社でボルダリングの壁を会社の中に持ってるという話はいくつか聞いたことがあったんです。でもスタートアップでわざわざ、しかもコロナ禍に作ってるんですよね。
僕も前職でオフィス作りをしたりとか、エンジニア採用をしていて、エンジニアがなるべく物理的にオフィスに集まって、ワイワイしながら開発していくにはどうしたらいいか?みたいなことをずっと考えてきたんです。IVRyはリモートワークが世の中当たり前になりつつあるところで、わざわざオフィスにこういう仕掛けを作っています。つまり結構オフィスに思い入れがあったり、オフィスに投資をすることが自然なことなのかなっていうのを、 あの壁からメッセージを感じまして。どういうところなのか1回見に行ってみたいなと思ったのがきっかけでしたね。
前職後任からの「もっと成長して強くなって次に進んでいくべきだ」という一言に目から鱗
ーー そういえば成田さんの入社経緯について、最後2社で迷われていたと噂を聞いたんですが。
成田
そうですね。実はIVRyともう1社で最後まで迷っていました。もう1社はもうちょっと小さいスタートアップで僕がクックパッドのCTO時代にやってきた組織作りとか、僕が経験してきたいろいろな課題にそのまま今直面していたんです。その1社の今抱えている組織課題とか技術の課題を、僕の力でサポートできるだろうなっていうのは感じたし入社することでいい影響を与えられるだろうなっていうのは明確に感じてたんですよね。
IVRyの方はCTOとして入ろうとしてたわけではなくてエンジニアとして入ることを考えていたので、 いちエンジニアとして僕が良い影響を与えられるだろうかっていう迷いがありました。僕のエンジニアリングってCTOを6年間やってた部分は完全にブランクになっているので色んなことにキャッチアップしながらやっているというのが今の立ち位置なので。僕が入ることで圧倒的にIVRyの技術力の底上げになるというのはすぐには起こせないだろうなと思っていたんです。僕がここに入って何を提供できるんだろうか?すごく歓迎はしてくれているけど価値を出せるんだろうかっていうところで、悩んでいました。
そのことを前職でCTOの後任に相談した時に、「今までクックパッドで経験してきたことを他の会社に提供して、そこを成長させることができるって思うのはおこがましい。 僕らはまだそんなに成功したわけでもないしまだまだ40歳で、これから学んでいかなきゃいけないこともたくさんあるはず。もっと学ばなきゃいけないんだから、 何かを提供しに自分の今ある価値を提供しに転職するんじゃなくって、 自分が体験したことがないことを学ばせてもらえるような会社に行って、もっと成長して強くなって次に進んでいくべきだ。」っていうアドバイスをもらって、目から鱗が落ちましたね。
本当に僕はそうするべきだって思って、価値が出せるかどうかよくわからん方のIVRyを選んだっていうのが入社経緯です。
ーー めちゃくちゃいいチャレンジですね。その前職の方との関係値も素晴らしいですよね。
奥西
めっちゃいいですよね。多分11月末だったと思うんですが、IVRyに成田さんが遊びに来るってなって、僕らはエンジニア総出で成田さんを迎えました。ワンピースでいう、白ひげに会いに来たシャンクスみたいに、自分の好きなお酒をいっぱい持ってきて飲ませて入るっていうまで帰れま10をやるしかない!みたいな。でも結構序盤に多分10時ぐらいには入るって言ってくれたのに深夜3時ぐらいまで飲んでましたね。
成田
めちゃくちゃ飲まされましたね、あの日は。内定承諾という答えを言いにオフィスに向かって、いつ言い出そうかって感じでとにかく飲んで、承諾してカラオケしてどんちゃん騒ぎで、次の日声ガラガラでした。
奥西
いろんなIVRyのゲームチェンジの日がありますけど、あれはかなりゲームチェンジの日でした。
成田
まだ入社しただけで、一瞬のニュースバリューがあるだけです。僕がエンジニアとしていてIVRyで出したアウトプットでIVRyを変えるっていうのができていくと、 より自信がついてくるなと思いながら。毎日不安でこんな状態で給料もらっていいんだろうかって思いながら働いてるんで。
ーー 奥西さんからIVRyのプロダクトとエンジニア組織のこれまでについてお話いただけますか。
奥西
IVRyは、電話という切り口から、電話の裏側に「こういう用件の方1番押してください」などの仕組みをクラウドシステムで簡単に設定してカスタム電話を作れる機能と、最近ではAIを設定して「 明日の18時から3名で予約したい」ってユーザーが言ったら、それを予約台帳に確認しに行って予約を取るところま完結する機能などを提供しています。わかりやすく言うと、電話の裏側に業務用Alexaを設定してバンドルする、ようなことができるイメージです。
エンジニアリング組織は 当時10〜15名ぐらいの体制で、多種多様なソフトウェアエンジニアが集まり全て内製でシステムを作っていました。結構面白いのが、いわゆるソフトウェアのプロダクト作りだけではなく「電話」ってレガシーな回線なので、安定性を保ちながら メンバーのサービスレベルが高いエンジニアリングであったり、よりレイテンシーとか多様性が高いプロダクト作りをしなきゃいけないところです。単純に早く作って失敗してもいいよというtoC向けのソフトウェアエンジニアリングの話ではなく、toBの中でも割と硬めな作り方をしつつ開発速度は担保することをうまくミックスさせながらやっていかなきゃいけない状況で様々な手法を試しています。
ーー 次に成田さんにお聞きします。入社エントリーnoteの中で「入って見渡してみたら課題だらけだった。 よかった、間に合ったという感想です」という興味深い内容がありましたが、これについて現状どういったところに課題を特に感じられますか。
成田
大小様々あるんですが、さっきの奥西さんの話に絡めると、まさにその「電話」っていうところは、求められるサービスレベルが高いと思っています。IVRyを導入したら電話が通じなくなったという評判が立ってしまうと、誰も導入したがらなくなってしまいますから。 「電話」って通じて当たり前で、電話が届かない、通じないっていうのは、余程の大災害が起こった時ぐらいにしか起こらないことだってみんな思っていますよね。
でもIVRyでは普通にソフトウェアのバグとかでそれが起こり得る。 当たり前の品質に対してすごく求められるところが高いので、それをどうやってきちんと電話が通じる状態を技術的に担保したり、日々の開発の中で品質を変えずに提供できるかが大事です。
例えばちょっとレスポンスが遅くなったり、エラーが増えたり、そういうことにいち早く気づいて対処できるような体制を作ったりすることはIVRyの事業にとってすごく大事だろうなと思っています。でも、現状は今やってます、という感じで、まだまだクオリティが及んでいない部分があったりします。そこをどんどん底上げして守りの部分を固めながら、 事業としてもっと積極的に責められるような基盤作りをまずするというのが、入社して最初にここをやった方が事業が伸びるだろうなと思ったポイントですね。
ーー 奥西さんからはこういった成田さんの意識も含めて期待していたのはどういった所ですか?
奥西
IVRyって本当にまだ何も整ってなくて、会社とか組織としての仕組みが全然まだまだなんです。成田さんが入ってきても正直超ほったらかし状態のノーオンボーディングみたいな感じだったんですよ。1on1を週1でやりながら、オンボーディングしてないけどどうですか?と状況を聞いていたら「 最初2、3週間、自分で全部色々見てみて、会社の中の課題と思うところを自分で見つけてやります。 そういうのが仕事だと思うんで」みたいなことを言ってくれて、すげえ!と思ってほったらかしにしてたら、3週間目ぐらいのタイミングで成田さんが、これやろうと思ってるんですみたいな話をしてくれました。それがまさに今の、守りをまずちゃんと固めた方がいいのでは。と言う話で。
面白い仕事を最初にしたいじゃないですか、普通。新しい価値を作るプロダクト開発とか、例えば僕らでいくとAIのプロダクト開発をやっているので、ソフトウェアエンジニア側がどんどんAIを活用しながらプロダクト作っていく会社にしていきたいなと思ってるので、そういうところの新規実装をやるのかなぐらいに当時の僕は思っていて。
1番最初に成田さんからその話をしてもらった時に、確かに本当の意味で経営の視点に立った時に、今プロダクトで1番何が大事で、どの論点から潰していかなきゃいけないっていうところ、会社の価値になるところにちゃんとフォーカスする方なんだなっていうのに、僕はすごい感動して、ノーオンボーディングでそこにたどり着いたの、めっちゃすごいなって勝手に思いながら話していたのを今でも覚えてます。
ーー ビジネスサイドもかなり見た上で最適化を図っていく目線があったんですね。成田さん、そのあたりは意識づけがあったんですか。
成田
僕のエンジニアリングのバックグラウンドがインフラ周りで、そこをやってきた時間が長いので、よりその領域の課題が解像度高く、よりよく見えたっていうのはあると思います。僕のインフラでのキャリアは、守りの面白さとか技術的にエキサイティングな要素とかがあるのもすごく今までの経験でわかっているので、ここはIVRyの面白いところじゃんっていうのが、 見えてくるというか。
僕の中では「まだIVRyのインフラの中にはいっぱい宝が埋まっているのに、これをほっといて他のことやるのちょっとムズムズするな」って思ったんですよ。面白いのにほっとくのももったいないな、しかも他の人がやってないし単純に面白いっていう。
奥西
確かに。僕は元々エンジニアリングではアーキテクト回りをやっていたので、 IVRyのアーキテクトにこだわればこだわるほどユーザー体験に関わってくると思っていて。AIのレスポンスとかが0.5秒早くなる だけでも電話とかってリアルタイムの会話なので全然体験が違うと思いますし。
リクルートでメディアを運営していた時はそこのレスポンスを高めても、SEOやユーザー体験が上がるかもしれないけれど、ビジネスに超インパクトあるかはわからないところが結構あったんですよね。
でもリアルタイム対話のプロダクト、電話っていう対話のプロダクトだと、ちゃんと動くように作ることにどれだけこだわれるかで、サービス品質とかプロダクトの品質にむちゃくちゃクリティカルヒットする。
そこがエンジニアとしては絶対面白いポイントなんですよね。 でも僕はビジネス的に考えすぎていたから、新しい機能を作った方が楽しいって思うのかもしれないです。当時も成田さんにそれを言われてハッとしました。
組織づくりを頑張りすぎない、大事なのは採用基準、それに基づいた採用で成長を担保したい
ーー 今後、IVRyのエンジニア組織は一体どこに向かっていくべきだと思いますか。
成田
今のこの瞬間は、組織と言ってもエンジニアは僕を入れて17人しかいなくて組織と言うよりチームが1つ、2つとかの規模なので、あまり大きな組織課題とかどうやって効率的にみんなで分業するかとかの議論って現状はあんまり必要ないんですね。
ただIVRyってどんどん成長するだろうというのは目に見えていて、3年後とか5年後にはもっと何倍ものエンジニアを抱える組織になり得るなと思っています。例えば5年後にエンジニア100人ですってなったとして、その間があるはずですよね。その成長していく過程で17人から30人、50人とかの段階、その時々で起こりうることをある程度先回りして石を拾っておいて、スムーズに成長していけるようにする、その段階をデザインすることがすごく大事になってくるだろうなと思っています。
特に 気を付けたいのは、やりすぎないこと。組織課題ってどうやってもゼロにはならないので石を拾いすぎることに時間をかけすぎるとか、あまりに整えすぎて逆に息苦しくなったりすることが起こるので。組織に対して頑張りすぎない組織作りというか、どうやってチームを作るか、タスクをどうするかみたいなことに頭を使いすぎないようにしたいなというのは意識しています。
成長していくために1番大事なのは採用基準だと僕はやっぱり思っています。自分で考えて、チームとか全体のために最適に自分の動き方を変えられるような、柔軟にリーダーシップをとって動けるような人たちを採用していくことで、 組織課題っていうのは緩和できるなと。 なので、組織についての施策は頑張りすぎず、とにかく採用基準で成長を担保するっていうのが、僕のやりたい、目指したい、楽しい組織に近づける方法なのかなと思いながらやっています。
人数が増えても少数精鋭ならではのモメンタムが生まれるようなチーム作り
奥西
今の話聞きながらめっちゃいいなって。成田さんの面接や採用基準ってとても厳しくて、新しいケーパビリティをIVRyに持ち込んでくれるかどうかがすごい大事って話をよくしているんです。今の話を聞きながら、点と点が繋がりました。IVRy自体がより良くなっていくために、この新しい人であったり、その新しい人が持ち込んでくれるIVRyにとってのケーパビリティって何だっけというのを、常に考えているなと思って。
自走的に問題を解いていってくれる人をいっぱい増やして、ルールを作りすぎたり、組織としてこの行動をしようみたいなことがなくてもうまく協働していけるような、人数は一定いても少数性のチームで起こるようなモメンタムがポコポコ生まれていくようなチーム作りができると良いねって話なんだと理解しています。それってすごい理想形でそういう組織ができれば絶対楽しい、いいんじゃないかなってすごい思います。
統計学で行くと、石を1人で引っ張ると120%の力で引っ張るけれど、8人ぐらいで引っ張ると全員本気で引っ張っているつもりだけど実は90%ぐらいの力になるという話があって。これって組織の大きくなっていく過程でも起こることで、会社を50人のチームで動かそうとすると1人1人の力が全員全力でやっているつもりだけど70%ぐらいになるみたいな話なんですよね。それをどう小さく砕いて、少数チームで全員がフルパワーの力を出せるような設計をするかって、エンジニア組織だけじゃなく、IVRy全体として意識しなきゃいけないこと。今の話って社会行動学的なバックグラウンドの話も実は秘めているのかなと思いながら成田さんの話を聞いてました。
大きくなっていく過程の「段階のデザイン」「認識のデザイン」
成田
すごく共感できますね。やはり組織が大きくなると、自分1人っていうのが10人のうちの1人なのか、100人、1000人のうちの1人なのかで、全然自分の意識が変わってきますよね。僕も前職で結構意識していたのは、自分たちはどうやって小さく見せるかという組織作りでした。
例えば、全社員を一か所に集めて集会とかすると「自分の会社はこんなに社員がいるんだ。自分はなんてちっぽけな存在なんだ」というように、全社の規模を意識させすぎると自分たちが大きいと錯覚しちゃうのがある。例えばスタートアップで会社が小さい頃って、例えば人事でも、この評価制度を作ったのは誰々さんとか、給与計算してるの誰々さんとかってわかるじゃないですか。 でももうちょっと大きくなってくるとそれが”会社が”になるんですよね。会社が作ったルール、会社が決めた給与みたいに、
実際やっているのは1人2人だったりするのにも関わらず、そういう認識に変わっちゃうんですよね。
面白い会社であり続けながら、その会社を大きくするためのキーはその辺の「認識のデザイン」で、 会社がとか経営陣がとかじゃなくて誰々さんが、という認識。その会社をいかに小さく見せたり自分たちがずっと少数精鋭だって演出をするみたいな認識のデザインが必要になってくるんだろうなって思っています。
IVRyでは、一緒に成長していく仲間を全方位で絶賛募集中です。
採用概要:https://ivry-jp.notion.site/IVRy-e1d47e4a79ba4f9d8a891fc938e02271
■IVRyオリジナル音声配信番組「IVRy Talks(アイブリートーク)」とは
IVRyのリアルを伝える!をコンセプトにIVRyのカラーやcultureの社内外への発信を目的として、スタート。毎回ゲストをお招きして、IVRyに関わることになった経緯や働き方、社内メンバーからこの人にはこれを聞いてみたい!といった内容をお届け。
IVRyの魅力やどんな会社なのかを知っていただく、そして、中のメンバーにはもっとIVRyのことを好きになってもらいたい!そんな番組となっております。