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プロジェクトの「ちゃぶ台返し」を防ぐには?

今回のテーマは、当社のコア領域であるITサービスマネジメント(以下、ITSM)領域に限らず、プロジェクトで発生する、「ちゃぶ台返し」です。

特に多くのステークホルダーが関わる、長期にわたるプロジェクトにおいては、ちゃぶ台返しは必ずと言っていいほど発生します。

そこで本記事では、ちゃぶ台返しを防ぐ方法について掘り下げてみたいと思います。


1.プロジェクトの迷走を招く「ちゃぶ台返し」

プロジェクトが順調に進んでいると思った矢先、突然方針が変わったり、決定事項が覆り、手戻りが発生する──。こうした現象は「ちゃぶ台返し」と呼ばれ、プロジェクトの迷走を引き起こす要因の一つです。

本記事では、「ちゃぶ台返し」を「プロジェクトが前提としていたことや決定したことが、プロジェクト内外のステークホルダー(関係者)の影響で覆ること」と定義します。

代表的なちゃぶ台返しの事例として、以下のようなケースが挙げられます。

  • 社長の鶴の一声で、現場が選定したソリューションやベンダーが覆る

  • プロジェクトオーナーの交代により、プロジェクトの目的が大きく変更になる

  • プロジェクト途中での急な予算縮小により、大幅なアプローチ変更を余儀なくされる

これ以外にも、プロジェクトに携わってきた方であれば、具体的な実例をいくつかは挙げられるのではないでしょうか?

2.ちゃぶ台返しが発生すると・・・

ちゃぶ台返しが発生すると、以下のような悪影響が出ます。

  • プロジェクトの遅延:計画の練り直しに時間を要し、成果の減少や機会損失が発生する

  • メンバーのモチベーション低下:費やした努力が無駄になり、チームの士気が下がる

  • 追加コストの発生:方針転換による手戻りが増え、プロジェクトのROIが毀損される

  • 組織の信頼低下:頻繁な変更が続くと、プロジェクトの信頼性が揺らぎ、社内外の関係者からの評価が低下する

3.ちゃぶ台返しを防ぐ方法

外部環境の変化に伴うプロジェクトの中断・縮小など、ちゃぶ台返しは避けられない場合もありますが、事前の対策によって発生リスクを低減できます
そのために活用できるプラクティスとして、ステークホルダーマネジメントとリスクマネジメントの2つが挙げられます。

【ステークホルダーマネジメント】

プロジェクトに関与するステークホルダーの意向を事前に把握し、適切にコントロールすることで、ちゃぶ台返しの発生を抑えることが可能です。

以下がステークホルダーマネジメントの手法の例です。

  • ステークホルダーマップの作成(関係者をリストアップし、影響度や関心度を可視化)

  • コミュニケーション計画の作成(誰に、いつ、何を伝えるかを明確化)

  • 意思決定プロセスの明確化(決定の変更を防ぐためのガバナンス強化)

  • ステアリングコミッティの組成・活用(経営層を含めた定期的な意思決定・合意の場を設ける)

【リスクマネジメント】

プロジェクト開始前から潜在的なリスクを洗い出し、発生時の対応策を準備しておくことで、突然の変更による影響を最小限に抑えられます。

以下がリスクマネジメントの手法の例です。

  • リスクの可視化(リスクの特定と対応策の事前策定)

  • リスクのコミュニケーション(ステークホルダーにリスクを共有し、必要に応じてエスカレーション)

  • 定期的なリスクレビュー(リスクの変化を把握し、適宜対応策を見直す

これらのプラクティスは、プロジェクトの現場においては、工数制約などにより軽視されがちです。しかし、これらを現場で徹底することで、ちゃぶ台返しのリスクを大幅に低減することができます

※各プラクティスの詳細はPMBoK®やITIL4のDSV書籍などが参考になります。

4.まとめ

  • プロジェクトの「ちゃぶ台返し」は完全に防ぐことは難しいが、発生リスクを抑えることは可能

  • ステークホルダーマネジメントとリスクマネジメントを適切に実施することで、プロジェクトの安定性を向上させられる

  • これらのプラクティスを「現場で徹底する」ことが、ちゃぶ台返しを防ぐ鍵となる

プロジェクトを成功に導くために、本記事を参考に、是非現場で実践してみてください

おわりに

いかがでしたか?

当社では、コア領域であるITSMに関するコンサルティングサービスに加え、プロジェクトマネジメントの推進を支援するサービス「ITバリュー・ブリッジ」を提供しています。
ご興味ある方は是非お問い合わせください。

お問い合わせ先:https://iv-experts.co.jp/contact/
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