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気持ちを作る音楽-クリスマスソングの話

連載企画を組んでみたものの、タイトルを不思議に思った方も多いのではないでしょうか。
「音を見る。」としましたが、音は耳で聞くものというのが一般の認識だと思います。

一方で、音楽は目に見える、とういう語り口は、よくありがちで、ありふれたものと感じられるかもしれないですね。
ですがここではあくまで、私が思う「音の視覚化」について書こうと思います。
といっても、そんな大層に語ろうという話ことではありません。
まぁのんびりと気楽に読んでくださいませ。

例え話をします。
そうですね、季節柄も考えて…
クリスマスソングを脳内で再生してみてください。
王道のジングルベル、きよしこの夜、サンタが町にやってくる、またはクリスマスをイメージして作られたJ-popでも、何でも構いません。
ピンとこない方は検索をかけてサラッと流してみてもいいかもしれませんね。

……どうでしょうか。
何かクリスマスソングならではの特徴や共通点を見いだせたりしますでしょうか?

そこまで考えて音楽を聴くことって、専門家やよっぽどの音楽好きでないとあまり意識しないですよね。
(私はそのよっぽどの音楽好きなのですが…)
でもなんとなく、クリスマスだなぁ…となりませんか?

最近街はクリスマス一色です。クリスマスに限らず、季節のイベントごとに街は姿を変えて、私たちにお祭り気分を味わわせてくれます。
その多くは通りを彩る飾り付け、お店のショーケース、店員のサンタ姿など、視覚情報による印象付けだと思われがち。
ですが私は、聴覚情報による影響も大きいと思うのです。

聴覚情報とは具体的にいうと流れてくる音楽、この時期はクリスマスソングですね。
通りでよく耳を澄ますと、建物やお店の中から聞こえてくるはずです。
また、季節のイベントが開催されるスマホゲームなどを嗜んでいる方ならわかりやすいと思うのですが、普段のBGMクリスマス風にアレンジされていたりもします。スーパーの店内放送などでももしかしたら見られる現象かしら。

ここで話を戻すと、なぜクリスマスソングを聴くだけでクリスマスを感じられるのでしょうか?
また、なぜ少しアレンジを加えるだけでクリスマスっぽいと思えるのでしょうか?

ここで技術的な話をしてしまうとテーマが逸れてしまうので、音階や和音の話はよして、メロディーとは少し違うところに注目してみます。
要素はもちろん様々ありますが、例えば、ポップなクリスマスソングを聴いていると、後ろで鈴の音が鳴っていることに気が付きますでしょうか。
この鈴の音こそが、クリスマス感を醸し出す一番わかりやすい要素だと私は思います。

鈴やベルといったモチーフは、クリスマスのモチーフとしてとても一般的です。ツリーの飾り付けでもよく使われていますね。
その典型的なイメージが音楽に取り込まれることによって、聴く人をクリスマスのムードに誘うのです。

これが、私の考える「音を見る」ということです。
視覚情報からのイメージが実際に音として音楽に取り込まれると、その記憶から勝手にモチーフを連想でき、耳から景色を見ることができるのです。
そうして、音楽の作り手が想像させる世界観を身をもって知ることになるのです。
これは意識している人は少ないかもしれませんが、多くの人が知らず体感しているであろうことだと思います。

街はクリスマス一色ですが、今日が終わればお正月モードに早変わりするでしょう。
雅な笛の音が聞こえてきそうですね。

そんな風にして、普段何気なく耳にする音楽に少し耳をすませて、音を見てみてください。
鐘の音、扉を叩く音、波の音など、きっといろんな音が見えるはずです。
そうして音楽から様々なことをイメージすることができるようになったら、今度は自ら、音楽によって気持ちを作り出せるようになります。
皆さんもぜひ、好きな音を見つけてください。