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魔物との壮絶な戦いの記録
これは高校時代の話である。
昔から寝坊することや、まだ家を出なくても間に合うだろうと油断してバスを逃して遅刻するなど何かと時間にルーズなところがあった僕はそれを治すために部屋の時計を5分早めることにした。
時計を早めたところで結局自分でやっているんだから5分ずれているのがわかってて意味ないんじゃないかと思っていたが、朝の寝ぼけた僕にはちゃんと効果があり最初の何日間かは寝坊を防ぐことができた。
しかしそのうち5分進んでいることに慣れてきて、逆に「まだ本当は5分前だから大丈夫」と考えて二度寝するようになった。とんでもないだらけきった考え方だ。
こうなると新たな方法を考えるしかない。
僕の部屋にある時計はアナログだったので5分進んでいるとちょうど数字一つ分進んでいることになる。なのでひとつ前の数字が本当の時間というふうに簡単にわかってしまう。
そこで5分みたいにキリの良い数字ではなく7分くらいずらしてみることにした。
しかし結果は5分の時と同じでしばらくすると慣れてきてアナログ時計でぴったり7分前を目視で当てられる人という謎の能力を手にするだけで終わった。
しかしそこで今度は自分が何分ずれているかわからないようにすれば良いんじゃないかと思い付いた。
これなら計算のしようがないので時計が示す時間を信じるしかなくとりあえず起きてみるしかないのだ。
この方法は過去の2つよりもかなり長いこと上手くいった。もちろん起きてから何分かしてスマホやテレビで本当の時間がわかるのでなんとなく自分の部屋の時計がどれくらいずれているのかはわかりはじめてはいたが、確信はしていなかったので効果が続く期間が長かった。
さらに何日か毎に時計のずれを変えることで慣れないようにした。部屋の時計は進んではいるものの何分かはわからない。なのでとりあえず起きないと遅刻しているかもしれない。こうすることでかなり長い期間遅刻せずに学校に行くことができた。
しかしやはり人間というのはそう簡単には変わらないものだ。
ある日、朝起きたのだがとても眠い。時計は遅刻ギリギリの時間だった。
でも本当はもっと前だということだけはわかっていたので二度寝をしようと思った。二度寝をするには本当の時間を知ってどれくらい寝ても良いか確かめる必要があるのでスマホを見ると部屋の時計が40分以上早いことがわかった。確かにいつも時計をずらす時に本当の時間より遅くなるのを避けたいので若干早まる方にずらしがちなところはあったのだがここまでずれているとは思わなかった。
なんだ、だから眠いのかと思い30分でタイマーをセットして二度寝した。
そして30分後にタイマーで起きて時計を見るともう遅刻確定の時間だ。でも本当は40分前なのであと10分くらいはギリギリ寝られると思い三度寝に突入した。
そして一限が始まって20分くらい経ったころに家で起きた僕はもうあきらめてゆっくり朝ごはんを食べて学校に向かった。たまたま球技大会の日だったのでお祭りムードで意外と怒られずに済んだが、僕が遅刻している間に僕のクラスはトーナメントを敗退していたので何もすることがなかった。
その後家に帰ってスマホを見ながら時計を元の時間に戻し、7:30にアラームをセットした。結局これで起きられるように努力するしかないのだ。
そして現在僕はデジタルの電波時計を利用している。
遅刻は減った方だがそれは僕が午後に予定を入れるようにしているからかもしれない。