連邦債務上限引き上げ問題について
アメリカでは政府が国債などを発行して借金できる上限が決められています。
この上限を引き上げるためには議会の承認が必要になります。
議会が承認しなければ国債の元本の償還や利払いができなくなり債務不履行=デフォルトに陥ります。
わかりやすく一般家庭で考えてみてください。
両親からお金を借金して10日後に返済する、2年後に返済する、30年後に返済するなど
上限なく借金ができてしまうと返済の目途が立たずとも借りれてしまうということです。
中学生であれば月に3万円までという具合に国レベルでも上限があるということです。
その上限を引き上げるか否かで議論がなされているということです。
アメリカの場合、返済ができなくなるということは考えにくいです。
しかし政府による公的年金への投資を停止したり、社会保障制度関連の支払いを削減したり、債務不履行(デフォルト)は避けられる可能性があるものの、
それが社会的反感を買うことは間違いなく、いつまでも議論していると公務員のストライキなど悪影響を迎えることになります。
来年の大統領選挙を控えるバイデン政権は避けたい事案というわけです。
アメリカでは民主党と共和党の間で財政規律に対しての考え方が異なるため
この債務の上限をめぐってたびたび対立を引き起こしてきました。
それ故、上限引き上げ問題に関しては年中行事、茶番劇といった性格が強いです。
現在アメリカは上院は民主党が多数派を維持し、下院は共和党が多数派を維持しているという上院と下院で多数派が異なるねじれ議会となっています。
連邦債務上限引き上げ案の可決プロセスについてはアメリカ合衆国議会の両院(上院、下院)で可決される必要があります。
下院で可決された法案は、上院で審議され、可決された場合は大統領が署名することで成立します。
ただし、大統領が拒否権を行使した場合は、再度両院で3分の2以上の賛成を得る必要があります。
下院議長であるケビン・マッカーシーは議長としての経験が浅く共和党を1つにまとめる能力があるか?
という部分が今回市場が懸念していた点ですが5/31無事にケビン・マッカーシー下院議長が法案を可決しましたので
あとは上院が可決、バイデン大統領の署名で法案が可決されます。
懸念点を無事通過しましたので市場は一瞬安堵するでしょう。
しかし合意内容が実体経済に与える影響はほとんど考慮する必要はないと思います。
身構えていたリスクが回避されれば市場参加者の関心は次へと移っていきます。
目下の注目は6月開催のFOMCでしょう。
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