たった今見た夢「出られない壁」
チャレンジャーという名前の10段ギヤの自転車を購入した私。
早速車で走りなれた梶浦街道の先端から終端の梶浦まで自転車で走ることにした。けれど体力が激しく衰えてしまったせいか大きな交差点を渡ろうとして加速しようとしてもペダルが重くてなかなか進まない。それでもなんとか梶浦に到着すると自転車を降りて散策をすることにした。
梶浦にはまるでジャングルのように深い藪があってそのなかには謂れのある史跡があったりするので、それらを見て回ることにした。
藪の中をあるいていると眼の前に古くて苔蒸したコンクリート製の高い壁が現れた。かべの高さは3メートルくらいでとても登れる高さではない。壁伝いに歩いてみると壁は正方形に私を取り囲んでいた。私はいつの間にか出口の無いコンクリートの壁に囲まれていたのだ。
壁の上から若い女性たちの話し声が聞こえた。声のする方向に振り向くとまるでフワちゃんのようなゴテゴテな格好をした女の子が塀の上から見下ろしている。
その時私は自分が壁に囲まれているのではなくて四角い穴の中にいることに気がついた。焦って女の子たちに声をかけるがこちらの声は届いていないようだ。
そうだ、警察に連絡して助けを呼ぼうと思いつき、スマホで110番に電話をかけた。スマホを耳にあてるとザラリとした感触があった。スマホはピンク色のハンドタオルに変わっていて、赤い糸で119の文字が刺繍されていた。どうやら私は誤って119番にかけてしまったらしい。私のスマホは番号を間違えるとタオルになってしまうのだ。これで助けも呼べなくなった。
また壁の上で人の気配がした。自衛隊員のような人が何人か壁の上を歩き回っている。いや彼らは壁の上を歩いているのではなかった。まるで壁の中から湧いて出てきて宙を歩いて反対側の壁に吸い込まれていくのだ。先ほどの女の子と同じく彼らにも声は届かない。
ふと背後から誰かに声をかけられた気がして振り向くと、自衛隊員ぽい男が立っていた。私がここから出られなくて困っていると伝えるとどうやら手伝ってくれるようだった。
男が壁の方を指さしてあそこに足をかければ上がれますよと言った。男が指さす壁には確かに足を掛けられそうな棒が取り付けてある。
男はあの棒には両足を一度に掛けないと駄目だという。よく見るとその棒は真ん中の一箇所だけボルトのような物で留まっているだけなので、片側にだけ足をかけても棒がプロペラのように回ってしまい足をかけることができないのだ。
私にはとてもそんな器用なことはできなさそうに思えたが、そばにある高さ50センチくらいの石の上からジャンプすればあとは私が押し上げるから大丈夫だと男が言う。
仕方なく言われたとおりにすると確かに上手く足がかかり、両手を壁の上にかけることができた。
男は壁に蛙のように貼り付いている私のおしりを押しながら、もう一度ジャンプしてあとは腕の力だけで上がれという。
私は一度も懸垂できないくらい腕の力がないのでそんな事できないと思いながらどうしようもない気持ちになった所で目が覚めた。