たった今見た夢「ローラの看板」
出張して何か講演会のようなことをし終えて投宿先の旅館の広間でくつろいでいる私。
広間には私と共に講演会に参加した森喜朗ともう一人見覚えのない若い政治家がいた。なぜか私は森喜朗に彼の戦争体験を語ってもらおうとしているのだが、旅館の女中と話し込んでいて割り込めない。
仕方なく若い政治家君に話を振ると、その政治家君の奥さんはローラで、最近土地付きの家を購入したという。しかし土地のど真ん中の1平米だけ買い取ることができずに他人の持ち物のままなのだそうだ。
気がつくと私はその家の前にいた。
道路に面したその土地は想像以上に広く、道路側から向かって左手奥に小さな平屋の家があり、それ以外は芝生が敷き詰められている。
そして土地を囲むようにして高さ4メートルくらいの派手な看板が10メートル間隔くらいで4〜5本並んで立っていた。
看板は片面が弾けるようなローラの笑顔で、裏側がトマトの断面の右半分(丁度櫛切りにしたトマトを立てたような感じ)が描かれている。さらにその看板の「パンの耳」に当たる部分にはネオン管が光り、支柱を軸にくるくると回転している。
そんな看板が並んで回っているのだから、その光景はかなり派手である。政治家君によると、この看板に対するご近所の苦情は相当なものがあるらしい。
視線を下ろして敷地の芝生をよく見ると、まるで髭の剃り残しのように四角く盛り上がっている場所がある。
ローラが「ここだけウチの土地じゃないんだよね」と言った。
政治家君が言ってた買い取ることができなかった土地というのはこれかと私は思った。
盛り上がっている部分はよく見ると草を刈り残しているだけではなくて、地面そのものが切り抜いたように一段高くなっていて、雛祭りの菱餅のような土の断面が見える。
私がその盛り上がった部分に足を乗せると、その部分がゆっくりと沈むのがわかった。この土地は盛り上がっていると言うより、なぜか浮いているのだ。下に地下水か溜まってるのかとも思ったが、いくら踏んでも水が上がってくる気配がない。
「このまま踏み固めちゃったら大丈夫なんじゃないですかね。」と僕はローラに言って顔を上げると、ローラの肩の向こうに近隣に住むと思われる年配の女性がこっちを物凄い形相で睨みつけていた。
私は思わずヒッと声を上げたところで目が覚めた。