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夢現(ゆめうつつ)#13

高1楽しい日々は
あっという間に散ってしまい

支えであった「彼」は
収監され
私の感情は更に
ささくれていった

依存性はないと
言われていたが
寂寥感を紛らわすために
手に入らない
「クスリ」の代わりに
シンナーにおぼれ

万引きのスリルで
自分をごまかしていた

自然、彼氏がいる有紀とは
距離ができ
また、ひとりを
楽しむ?日々

以前に増して感情が
動かなくなっていた

「怒」のみが生きており
他は凪いでピクリともしない

地元でも評判の
冷たい「女」となっていき

中型バイクでひとり走る私に
言いよる男などいない
仲良くなりたい女もいない

そんな日々に
あっという間に…

飽きた


一人で居ると
シンナーが馬鹿らしくなり
万引きも面倒

そう気づき
本来の性格を
やっと
思い出せた

無意味な時間を
重ねたところで
何になる・・?


自分の人生を
無駄遣いするなんて
愚かだ

余計な情報やアドバイスより
自分を見つめる
孤独の時間の貴重さ


しじまのような時間に
「らしさ」を取り戻していき
孤独な自由の力で
「生き方」を修正しました。


そんな時、担任に誰かが
自動二輪免許を
チクりやがった

謹慎処分となったが
その時、思いもよらず
担任が泣いた

「お前、なんでなんだ」

そういって
ポロポロ涙を
こぼしたことに驚き
冷え切っていた感情に
少しだけ隙間が空いた

私は気が付いていなかったが
吉元(担任の名前)は
入学当初から
気にしてくれていたらしい

恐らく私は

誰かに気づいて欲しい

誰かに優しくして欲しい

そんな承認欲求の持ち主



誰よりイキって

誰より目立ち

誰より冷淡

なのに
私が欲しいのは

気付いて

優しくして…

それだけのようだ


吉元は
ただ、見守り
ニコニコ笑いながら
いつも私を認めてくれた

その眼差しに
気持ちが落ち着き
信任に応えたい
と、思うようにさえなった

生活は規則正しくなり
学力も戻った

吉元先生のおかげで
本来の目的を
見失わずに済み

然るべき資格を取得し
無事卒業することができた

地元でも有名な企業に
事務として就職し
家計を助ける
一助と成れたのです

そんなある日
「彼」が帰ってきた

特に待っていた
つもりではなかったのですが

私は男女のことに関しては
すこぶる鈍い・・

他に必要もなく
機会が無かった

ただ
それだけだったの


でも
なんだか、一途に
待っていたことになっていた


自覚はないけれど
簡単に感情移入
しない

単純に
その気が無かった
それだけだし

そもそも
誰もクドく勇気は
無かったんだと思います

ここでも
近寄るなオーラを
きっと
だしていたのでしょう



寂しさを感じない
ひとりが怖くないから
「ぬくもり」を欲しない
そうやって生きて来たから
私は平気

なんだか
当時は
そう思い込んでいましたね

そのせいか
以前と違って
「彼」に
依存しなくなっていた

それに不満が
あったのだろう

帰って来て間もなく
「彼」は他に女を
作っていたようだ

私は情熱的に執着していた
わけではなかったし

ここでも
鈍さが顔を出し
女の存在に
全く気が付かなかった

世間では
数年の収監も
浮気ひとつせず
一途に待っていた・・と
とんでもなく
私の評価が上がっており


本来「彼」側の男たちが
私のことを
不憫に思ったようでした


女の存在を私に
リークしたのは
彼の友達

他の女と違い
貴賓のように
扱われてきたうえ

誰とでも寝る
尻軽女とは
一線を画していたから

そして
数年にも及ぶ「操」を
堅持した
身持ちの良さと純情

他は誰よりも激しく
ぶっ飛ばす性格と
バイクの腕に一目置かれ

これらの現実が
いつの間にか
「頭」のはずの
彼の行為と
比べたとき
カリスマ性と
義理人情(古いって)
の点でも
みな、納得が
いかなかったみたい


無茶苦茶な奴らほど
こんな時
「筋」を通したがる

男女の別なく
付き従うにあたり
「人」としての
アイデンティティに
重きを置くのだ

それなりの「信望」が
絶対的に必要なのよ

おまけに
女の話を
聞いたのち
私が激やせしたことで
「彼」の評価はダダ下がり

ずっと以前に書きましたが
不在がちな父親は
仕事もありましたが
ほとんどは外に作った
女と居た事を高校生の頃
ハッキリと知りました

それは「彼」にも話しており
私たち家族が
どんなに苦しんで
生きて来たか知っている。


それなのに

その行為が、私にどんな
ダメージを与えるか
考えなかったのだろうか?


実際には
好き・愛と言う感情の前に
「彼」を信じていた


いちばん、辛いことを
唯一
信じている人にされた
ショックで
私は、一晩で3Kg痩せ
食事が摂れなくなっていった

結果・・・35Kgまで痩せた


簡単には戻らない

信じた心が砕け
拒食症になったから。






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sennninnkame亀井速水
毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます