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怪#12-3(穴)


#12-2でお話しした
大叔父の49日の祭祀のため
美玖さんの
実家に集まり

元々、本家にあった
代々の仏壇を
こちらに移し
住む人のいなくなった
築百数十年の本家は
閉めることになりました

いつものように
末席で控えるように
参加した私でしたが
祭祀の途中から
どうも
寒気がして仕方がない

祝詞を聞きながら
カラダがゆらゆらと
揺れていたようですが
自分は悪寒で
自覚がなく

頭も重くなり、とうとう
別室で休ませてもらいました

そこへ一族の方ですが
外に嫁いだ明子さんが
入ってきました


「美玖の次男のこと 
  わかってるよね」と

聞かれ、うなずくと


「あたしも見えるんだ」と
言いました

やめてよぉー

ここの人たち

能力者率
高すぎる

明子さんは

あの子(美玖さんの次男)は
まだ、しっかりと
表現できないから

親の智子さんたちと
同居してるけど

ここは、生きる者が
住んではならない
ところなんだ


と、話し出した

え!
それ…どういうこと?


あ、その前に

少し楽にしてあげるよ
と、言うが否や
手を合わせ
何かぶつぶつと
つぶやいたかと思ったら
私の背中の中央あたりを
パンパンと両手でたたき
肩のあたりから
上に掌を持ち上げ
ぐっとこぶしを握ると
部屋の隅あたりに投げつけた

何を…
投げた?

隅に何があるの?

何も、見えないけど・・・


そして
私に懐紙で包んだものを
握らせたので

懐紙と明子さんの顔を
交互に見ている私に


「塩だよ」と
教えてくれました

そして

あなたさ、無垢だから
乗せやすいみたい


ここに来るときは
前夜に月の光で
化殺した水晶か
塩をもってないと
今日みたいになるよ
と、言われました


何それ!
意味が、解らない・・・


明子さんは
続けて話します

あの仏壇も
新しいものを買って
お位牌を本家から
持ってきただけだから

空っぽ・・・よ


ちゃんと作法に則って
移っていただかないと
おかしなことになる


あとで
お引越しさせてあげなきゃ


それは、こちらでやるけど
この家には、置けない


仕方がないから
私の家に移すよ


これから面倒でも
先祖は私の家にいるから
お盆とかの参りには
ここに来たあと
必ず私の家に来なさいよ


あの人たち、自分たちは
適当な割に
嫁には厳しいからね

ここには
一応来ないと
あなたが責められる


来たら
多分なにがしか
乗っけることになる
と思うからさ


ご先祖様の力を借りて
きれいにしてから
帰るほうがいいよ

だから
必ず、ここの後で
私の家に寄らないと
駄目だよ



・・・・・・
返事ができない・・・


更には



ここは嫌なものが
たくさんいるんだ


まず庭先に恨みを抱いてる
畜生霊がたくさんいる
言葉が通じないから
飛ばせないし
困ったもんだよ

子犬の折に
可愛いから と
貰われたか

買ってきたか

したけど

少し大きくなったら
飽きたようで

庭につないだきり
ほっとかれたみたいだ


糞尿の始末もしてもらえず
食事も、たまにしか
貰えなかったみたいだね

鎖が届く範囲は
草の根まで
掘り起こして食べてて
雨水が飲み水だった

まるで蟲毒の呪詛を
作ったようなものよ



家の中から漂う笑い声と
美味しそうな
匂いをうらやんで
孤独に餓死している

以前の家人は
そんなことを
何回も繰り返したみたい

様々な犬種や
ウサギなど
ゲージに入れたまま
放置された
生き物もいるようね

それらが家の中に向けて
強い「怨」の思念を
送り続けているし

呪縛されて動けないから
これは簡単には解けない

加えて
この家の中には
あちこちに
「穴」が開いている


あちらの世界に
通じた穴

それも下の世界に


楽になりたくて
線香の匂いや
祝詞に惹かれて
上がってきたりしてる

そんな奴らが
出たり入ったり
している空間に
住んでいて
霊障を受けない
はずがないでしょ


あなたに
憑いていた奴らは
まとめて
穴に投げ返したからね


でも


キリがないのよ
穴からあがってくる
奴らに…



この家のトラブルは
そのせいなんだ



さて、この家の
トラブルとは?




*詳しくは私の著書
 Kindle 本にてご覧ください


私、とんでもないところに
嫁に入った…の?


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sennninnkame亀井速水
毎日の重ねから私なりの 「思い」を綴っております 少しでも「あなたの」琴線に 触れるものがあれば幸いです 読んで下さり、ありがとうございます