怪#4<1>(Lee)
本日の話は
交流させていただいて
おります
asayanさんのラジオを
聞いて、居ても立っても
居られず
紡いだものです
よく考えたら
ここに掲載の許可すら
まだだ!😳
後で、謝ろう🙇
このようなフィールドに
ふさわしいかどうか
申し訳無くも
不安でもありますが
家族と等しい存在に
対する思いを
書かずには
いられませんでした
喜びと
無償の愛
見返りを求めない
純粋な思いは
誰の心にもある
だからこそ
喪失の痛みは深い
種は違っても
家族として生きると
その「生」は同じ重みとなる
Leeは家の前の側溝に
捨てられていました
深さが1Mくらいある
段ボールに入れられて
やっと目が開いたぐらいの
赤ちゃんだったのに
歩くのもままならない幼さで
この深さは自力では
到底超えられない
丁度、梅雨時期で
雨が降ったら
一気に一級河川に
流れ込む直前の
支線の側溝なので
流されたら結果は
目に見えている
細い声で寒さと心細さに震え
「キューキュー」と
泣いていた
たまたま、ごみ捨てのため
早朝通りすがった母が
発見したのだ
自分の糞尿に
まみれていたので
エプロンにくるみ
両手にすっぽりと
収まる小ささの
Leeを大急ぎで
連れて帰ってきた
動物病院にベビー用の
ミルクを買いに走らせ
ついでに
世話の仕方も習ってきてと
父にてきぱきと
命令を下してた
🤣
一方で私に手伝わせ
少しずつ慎重に調整しながら
お湯の温度を上げつつ
体を温めながら
きれいに洗ってあげた
もう大丈夫だよ
怖くないからね
寂しくないよ
ここの子になれば
いいよね
そんな言葉を
優しく、優しく
繰り返しながら
ずっと話しかけていた
こうしてLeeは
わたしの妹分に収まりました
思春期で
生意気な私なんかより
うるんだ目で見上げ
いつも絶対の
信頼と愛情をささげる
Leeが可愛くないはずがない
両親の溺愛を一身に受け
幸せな人生が
スタートしたのでした
時は流れ、私が嫁ぎ
お産のために帰ってくると
わかるのか
おなかの辺りの匂いを嗅いで
私のそばから離れません
Leeは女の子でしたが
うちに来てから
多分、生後半年くらいの折に
去勢したのです
それでも
母性本能はあるのかしら?
長男が生まれ
病院から帰ってくると
私なんて、そっちのけ
今度は
生まれたばかりの子供から
離れません
Leeと私の子は
一緒に育っていきました
出産を機に、実家の隣に
空き家が出たので
越してきました
夫は転勤族で今後も
数年単位での
移動が分かっていましたから
先を考え、そのほうがいいだろうとのことだったのです
それから15年の歳月が流れ
老齢となったLeeに
「時」が迫っていました
親戚にも可愛がられ
言葉通り「家族」として
生きて来たが
寿命は
誰にもどうにもできない
既に見えなくなった目は
それでも変わらず
優しい光をたたえており
私と母が話しかける言葉に
「耳」で反応してくれていた
母の膝に抱かれ
「ハァ、ハァ」と
荒い息でしたが
これまで何度も
死期をくぐりぬけ
朝を迎えてくれた
今日もきっと・・・
頑張ってくれると信じている
そう、願う
寝かしつけた
子供たちのこともあり
夜半過ぎに隣の自宅に帰った
昔からLeeは
母の横に自分専用のお布団を敷いてもらい
母と、隣り合わせで
寝ていました
患っては、それが幸いし
寂しくないし、母も気を付けてあげられる
本当に我が子以上に
かわいがっていたのです
帰宅した私は
家事を済ませ
1時すぎに
ベッドに入りました
夢を見た・・・・
Leeが私の足元に来て
ふさふさのしっぽを
ゆらゆらと振りながら
「寒い」というのだ
さっき熱があったので
Leeのお布団の下に
冷却マットを敷いてきた
そのせいかしら?
フッと目が覚めて
小窓から実家を覗いた
真っ暗だ・・・
うん、大丈夫だね
寝てるみたいだ
しばし様子を伺ったが
変化はない・・ようだ
ベットにもぐりこんだ
ウトウト、したとき
スマホが鳴った
掴んだと同時に
カーテンの隙間から
実家に
明かりがついているのが
垣間見えた
電話に出るのも忘れ
家を飛び出した
「秒」でつく実家
お布団の上で
Leeは目を開けていた
母は泣いている
なんか変だ・・
あ・・・
Leeの荒い息が聞こえない
涙がこぼれ
そっとあの子の頭を
なでると
柔らかい毛並みの下から
いつもは、温かな体温が
感じられるのに
ひんやりと
固かった
開いたままの眼を
そっと
閉じてあげた
私の知る
優しい光は
たたえていない
哀しく暗い眼
泣いて泣いて
痛くて
痛みで泣いて
息すら出来ない
これまでの人生で
「死」という
別れを幾度となく
経験してきた
寿命だったり事故で在ったり
納得がいくものも
行かないことも
あったが、それなりに
飲み込んできた
それなのに今回は
これまでにない
痛みを感じました
Leeとは
あまりにも
かけがえのない存在として
時間を重ねてきたことを
痛感した
ひとしきり泣き
そっと自宅に戻り
子供たちを起こしました
私には息子が二人おります
二人ともLeeが乳母として
兄弟として
家族として
欠かさず
そばにいてくれました
Leeは私たちのように
言葉が交わせません
お互いを思いあう気持ちが
意思の疎通を可能にしており
あの子を通じて
相手の身になる。
思いやり、守るなど
様々な感情を得て
見返りを
求めない愛情
純愛の何かを
知りました
最後に、あの子は
わが身で
初めての「死」という
別れを
子ども達に
経験させてくれました
こんな
「教え」って
あるでしょうか
命、生命の重みを
全員が
思い知ったのです
限りある時間の
かけがえのなさ
二度と、取り戻せないものが
あるという無力さ
これ以上
細かくは書きますまい
こうしていても
涙が溢れる
Leeの死後
3か月ほどでした
でしょうか
あの子を可愛がっていた
親戚の叔父も亡くなり
立て続けの心労に
母は体調を壊してしまい
寝込んでしまいました
病気というわけでは
ないのですが
気力を一気に
無くしたかのようで
何においても
力が出ないのです
私は2軒の家事に追われ
泣いている暇もなく
くるくると
動き回っていました
ベットに入ると
目をつぶった瞬間
朝が来るようで
私にも限界が
近づいている気がします
そんなある夜
夢を見ました・・
先日亡くなった叔父が
Leeを連れて
私の夢に現れたのです
Leeは元気な時のように
駆け回り、大きく
「ワン」と吠え
私に、元気だと
教えてくれるようでした
それを聞いた叔父は
Leeに
よしよし、これで
気が済んだじゃろ
そう声をかけると
私に向き直り
話し出した
芳江(私の母の名前)に
伝えておくれ
いつか・・・・
芳江がこちらに来る時まで
私がLeeの面倒は見ておくから
おまえは自分の人生を
しっかりと生きなさい
そういうと
フーっと
見えなくなり
遠くから
Leeの声が
「ワン」と
嬉しそうに聞こえた