他者との信頼関係(ラポール)を築くコツは感情の理解
相談を行う過程では、クライエント(相談に来る人)との信頼関係(ラポール)を築くことで、その後の援助業務(解決に向けたサービスに結びつけること)を円滑にすすめることが可能になってきます
悩んでいる人は頭の中がいっぱいの状態ですので、何が悩みなのか(ニーズ)を自分でも把握していることは少なく、うまく伝えることもできないことのほうが多いです
クライエントに限らず、会社の同僚や友人、恋人、家族など身近な人でも同じ状態になることはよくあります
また、信頼関係築くために有効な手段は、相手の話に対して「傾聴して、共感することが大事」などとよく言われています
では、身近な他者にはどのように傾聴して、共感していけばいいのでしょうか?
相談援助の技術を織り交ぜながら、信頼関係を築くために聞き方のコツを紹介したいと思います
その人の悩みは固有であると理解する(個別化)
「昨日上司に叱られたんだ」という話も、「最近彼からLINEが来ない」訴えも、よくあることなのですが、その人が抱えている状況の違いは異なっています
上司に叱られたことで奮起する人もいれば、落ち込んでいる人もいます
彼からLINEが来ないことで、何かの決断をする人もいます
ですので、「似たような話」であっても決めつけないで、その人なりの個別性があると理解してきましょう
その人を観察してみる(キャリブレーション)
「正直、話を聴くのは苦手」という場合、意識が自分に向いているため傾聴に苦痛を伴う場合があります
これについては、「相手は今どんな状況なのか」と意識を相手に向けながら話を聴くと、傾聴しやすくなります
相手のペースに合わせてうなづいてみる(ペーシング)
相手が話しやすくなるため、うなづくことは大事なのですが
聴いている人のぺースで回数多くうなづくと、話し手が「聞いてもらえていない」と感じて話づらくなります
ゆっくり話す人にはそのペースに合わせてうなづく
いっぱい話す人は、不要な単語が多いので、意味がまとまったところでうなづいてみるといいでしょう
ジャッジはしないほうがいいです(非審判的態度)
「親とはうまく行っていないんだ」
「同期の社員と仲良くなれなくて」
この悩みに対して
「親には感謝した方がいいよ」
「同期の社員も同じことを思っているかもしれないよ」
このようにジャッジしてしまうと、話し手の意図や感情と違ったことを言うことになりますので、心を閉ざしてしまいます
この場合は、話の語尾を繰り返して、スッキリするまで聴いてみましょう
「親とはうまく行っていないんだ」→「そっか、うまく行ってないんだね」
「同期の社員と仲良くなれなくて」→「仲良くなれないのかぁ」
これだけで十分です
悩みには、「答えなければいけない」意識が働くようです
でも傾聴する側の目的は、信頼関係構築なので、ジャッジをするのは我慢しましょう
自己決定を尊重していく
個別化の例に出てきた
「昨日上司に叱られたんだ」という話から、
「会社を辞めようと思う」決断であっても
「最近彼からLINEが来ない」訴えから、
「彼と別れようと思う」決断であっても
否定はせず、その決断については尊重してあげましょう
人が何かを決定していくこと自体がすばらしいことなので、ここもジャッジしないほうが、関係性が構築しやすいです
むしろ、両者の決断に対して「辛い気持ちがあったんだね」と感情を理解していくことが大事です
まとめ 傾聴と共感とは相手の感情を理解するに留める
他者から相談を受けると、何かの正解を与えたくなるのが心情というものです
しかし、ジャッジをせず、本当に理解(共感)するべきなのは「悩みを持つ人の感情」ではないでしょうか
自分の感情を理解してくれる相手(承認)に心を開くことができるのです
信頼関係(ラポール)構築とは、感情の理解がコツと言っても過言ではないでしょう
最後までお読みいただいてありがとうございます
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