2022/04/02
以下、A子さんの話です。
この学校には、一つだけ誰も使わない和式トイレがあった。つい先日、私はそのトイレを見つけた。クラスメイトの噂話から誰もドアすら開こうとしないトイレの存在は知っていたけど、実際に見たのは初めてだった。
そのドアは所々塗装が剥げて、カラーテープでドアが開かないように止められていた。
私はそのドアを開けようと手を伸ばしたが、その瞬間、背中に冷たい風が触れた気がして、怖くなってトイレを出た。
後日、そのトイレは何者かによって開けられたという。しかし開けたという人は誰も分からず、開いているのを初めて見つけた先生は、来校した時には誰もいなかったと言っていた。
放課後、夜の見回りを担当した職員はいつもと変わらずドアは閉まっていたと言った。
そこで私は思った。学校には幽霊がいるんだと。
数年後、成人式で友達のB子が、部活の顧問に怒られた鬱憤をそのトイレを蹴飛ばすことで解消し、その壊れたドアを見つけた職員がめんどくさがって学校に報告しなかった真実を聞くまでは。
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