いってつの回答 国内外のギャップは?どう働きかける?

「いってつの回答」はみなさんから寄せられた質問にいってつが個人的に回答するマガジンです。CFP、ウィザーズ、その他どんな組織の代表意見でもありません。あくまで個人の意見です。
ここで述べられた意見は時を経て《心変わり/Change of Heart》することがあります。


海外と日本のEDHのギャップについて所感を聞かせてください。そのうえで、CFPでどのようなアピール・アプローチをとっていきますか。

たかはしさんから


質問ありがとう。

安易に決めつけると「外国人は日本と違って○○らしい」と差別や偏見につながるかもしれないのでかなり慎重にいきたい。

日本のトーナメントにはローグが多い

日本と海外の競技統率者での大きな違いはデッキ選択の傾向だ。環境にあわせて勝てるデッキを選択するプレイヤーに対して、自分が好きなデッキや自分が好きな色の中でデッキを決めるプレイヤーが日本には多い。

いわば、ローグデッキが非常に多い。海外のトーナメントのメタゲーム分布をみると使用者数1人のデッキは全体の20%前後なのに対し、統率者神挑戦者決定戦では30%を越えている。

統率者神挑戦者決定戦予選ラウンドではほとんどのテーブルにローグデッキが存在し、調整チームの事前の研究や対策が無に帰すところを何度も見てきた。(統率者神挑戦者決定戦予選ラウンドの対戦組み合わせがスイス式ではないことも影響しているだろう。勝ち点の近い者同士がマッチングする仕組みではないため、二人対戦の構築フォーマットと違い、"勝ち続ければトップメタのデッキと当たりやすくなる"ということもなく、最終ラウンドまでローグデッキと戦うことになる。また、熱心なローグデッキ使いは対トップメタの研究が可能だが、トップメタを使用する側は対ローグの研究が難しい。)

日英で値段が倍違うカード

同じカードなのに日本語と英語で取引相場に大きな差があるカードが存在することが知られている。例えば《倍増の季節/Doubling Season》は日本語と英語で倍近い価格差がある。もちろん高いのは英語版で、その理由は「外国ではこのカードが統率者戦で非常に人気があるから」だと説明されることが多い。

発生するトークンやダメージの量を増やしたり倍にしたりするカードにこうした傾向がよくみられる。こうした現象は日本国内と海外では人気のあるカードや戦略が異なる、もしくはマジックプレイヤー全体に対する統率者戦をプレイする人の割合が異なることを示唆している。

ゴロス禁止の衝撃

《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》の禁止は日本国内では青天の霹靂だった。たしかに除去と色事故に強く、強力な統率者ではあった。

このカードは多くの問題を抱えています。なかでも最大の問題は、中級までのレベルの統率者戦において、統率者に主眼を置くデッキでなければ《不屈の巡礼者、ゴロス》が最良の選択肢になってしまうということです。このことはCRCが推し進めたい「統率者の選択の多様性」を損なわせます。

ある統率者の存在が画一的なデッキを生み出してしまうならそれは大問題です。CRCが簡単にカードを禁止にすることはありません。正直言って、カードを禁止することは嫌いです。しかし、フォーマットに大きな悪影響を及ぼしているなら私たちは行動を起こさなければいけません。

単純に強いことに加え、《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》はほとんどの統率者の上位互換であることが問題視されて禁止になったのだった。

当時の僕はCRCの記事を読んで本当に驚いた。僕の周囲のゴロスを使っていた友人たちはデッキのレベルに関わらずゴロスをゴロスとして使っていた。確かにSheldon Meneryのいう通り、《不屈の巡礼者、ゴロス/Golos, Tireless Pilgrim》はほとんどの伝説のクリーチャーより強力かもしれないが、そんなふうに考えてゴロスデッキを組んでいるプレイヤーは見たことがなかった。

僕は当時のCRCの決定に疑問を持った。この出来事は「日本と世界の統率者戦はぜんぜん違うのかも」と僕が考えるようになったきっかけのひとつだ。もし当時CFPがあって、僕がそのメンバーだったなら、すくなくとも「上位互換だから」という理由でのゴロスの禁止に反対していただろう。

僕はどうする?

さて、そんな中でどうCFPで意見していくか。アプローチ、アピールの具体的な内容は話せないが、僕の考え、スタンスを話しておこう。

統率者戦について意見する17人に日本人がひとり選出された。日本での統率者戦の様子を伝えるのが僕の役目のひとつだ。彼らはみな優秀なコミュニティリーダーだが、日本人としての仕事は僕にしかできないということ意識しながら議論に参加している。遠慮して意見をひっこめたら、それは日本のコミュニティの意見が消えることになる。

当然、CFPのメンバーの中には僕と同じ、アメリカ以外の地域からの参加者が多い。言うまでもないが、彼らもまた僕のように地域の代表で、敵ではなく仲間だ。

また、これまでは晴れる屋のイベントを中心に情報収集を行ってきたが、今後はより積極的に別の店舗や地方での情報収集を行っていきたい。

もう一つの質問についてはいずれ。


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