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太高山ダム(たこうさん、広島県呉市)

●概要
大崎下島にある灌漑ダム。
竣功:1927年  型式:G  
目的:A
堤高:16.4m  堤頂長:27m
流域面積:?k㎡  湛水面積:?k㎡
総貯水容量:1万㎥  有効貯水容量:1万㎥


●見学情報
駐車場:無 トイレ:無 自販機:無 天端:不可 直下:可


●参考リンク・引用


●道中

ダム巡りをするにも秘境や農地、街中、地下…と様々だが、島のダム巡りは特に高揚する。
海沿いを歩くだけで体内の何かが満たされる。
がしかしそれ故のネックはアクセス。
船旅はそれはそれで好きだが、気軽さという点では少しハードルが高い。
(Googleマップより)
そんなあなたに朗報です!(唐突)
愛媛と広島の間、芸予諸島にある大崎下島。
(Googleマップより)
Google先生によるいつもの無茶振りでも何でもなく、気軽にいつでも車で本土から到達できる。
(そもそも中四国まで気軽に行けないというツッコミはさておき…
大崎下島は一周約20km、ぐるり一周県道が整備されているため、移動には不自由しない。
そんな大崎下島に来た目的はこちら。
太高山。
麓にはバス停もあるが運休中のようだった(バス自体は島内を運行していた)。
すぐ脇を流れる太高山川。この上流に、太高山ダムがあるハズ。
いざ、太高山ダムへ!
のんびり自転車を走らせる事1分30秒、ダム地点に到着。
(地理院地図より)
島のダム巡りは移動距離が短く済むのもメリット(急坂も多いが)。
太高山川は地図上で幹川延長約1km、ダムへのアクセスも海岸から約350mと散歩にしても物足りないレベル。
で、ダム・・・どこよ?という光景にやや戸惑う。
接近してみると、不自然に切れた青空、あ~まさにこれがダムか!と騙し絵のような感覚。
これ程までにその姿を木が覆うダムは中々ないが、兎も角その存在を知り安堵。
少し登り遠望。
見え辛いが確かにそこにいる。
天端ズーム。取水設備と思しき半円の高欄と塩ビ管。
ただの想像だが…半円取水設備は老朽か何かで廃止、現在は塩ビ管取水だろうか?
場所を変え、右岸から。一応冬枯れ時期を狙って来たのだが、それでもこれが限界。
直下の様子と比べると天端は人の手が入っている印象で、現役である事が窺い知れる。
インレット。短く急な勾配。この限られた集水域を活用した太高山ダム。
建設時の期待は大きかったに違いない。
インレット別角度。乾いた時期だったが、チロチロと流入を確認。
そして一番期待していた上流側、ギリギリではあったがしっかりと堤体が捉えられた。
ズーム。まず貯水されている点に安堵再び、そしてあの塩ビ管は貯水池に。
左岸からの俯瞰。見えないなりに見える(謎
ズームを駆使し天端を漁ると、門扉が!
これにより少なくとも右岸にはアクセス路がある事が確定。
更なる眺望を求め上へ上へと。
この短距離に自転車を投入したのはこの為だった。
プロットしていた第二ポイントに到着。先程の撮影ポイントは手前の道路。
ダムは赤丸部分にある。その向こうは海。如何に急な地形かは伝わる…?
ダムの存在と貯水状況が確認できた事から、続いては水の流れを探る。
元に戻って堤体直下、一際目立つのがこの管。
先程右岸・上流から確認できたように貯水池から伸びている。
管は堤体直下で端切れていた。水は出ていないが、そこそこ新しい質感。
灌漑期には稼働している姿が見られるのだろうか?
関連は不明だが端切れたすぐ下流の護岸部分にも塩ビ管が固定されていたり、
貯水槽のような設備が確認できたが、核心には迫れず。
再び直下。塩ビ管脇に大きな穴がある。
中を照らすとこんな感じ。銘の類は見えなかった。
末端には鉄管があった。位置的に(多分旧の)底樋?サビ具合、周囲の練石積の雰囲気的に、当時モノではないかと妄想・・・💭
続いては放流設備を探る。この底樋らしきの右岸側には、天然?の岩肌と石積の導流壁が見られ、そこに沿って落葉が堆積している事から、右岸側に横自由越流式の放流設備を持つであろう事が想像できた。
(立岩ダム、愛媛)
横自由越流式はこんなので、フィルダムでよく見られる。
(福富ダム、広島)
太高山ダムも分類される重力式コンクリートダムはというと、現代の感覚ではこのように堤体本体にゲート(or自由越流部・バルブ)を設ける事が多く、
(奥小路低所水源地堰堤、広島県)
設計技術的なものか費用的なものか理由は分からんが、最近の重力式コンクリートダムには横自由式が採用されていない事から、オールド重力式ダムあるある設備の一つと捉えている。
で、問題の横自由式を見に、天端右岸へ。
想像通り、堤体脇を水路が抜けていた。
導流壁に練石積。
余水路上には橋が架かり、
天端へと。
開いてはいるが、立入禁止とありここから先は断念。
取水設備界隈。向こう側にも同じような天端門扉が見えた事から、左岸にも道があるのかも?
シンプルに品のある天端高欄で気になったのは、この穴。
下流側にも何箇所かあり、上下流の穴位置は必ずしも一致しない。直接ポンプアップ用?灌漑期に再訪するしかないか?
んで、天端から下流面を。右手前から水は流れほぼ直角に向きを変え、流下。
急勾配な堤体&ダム軸に対してかなり平行に近い導流壁で、限られた土地にギュッと詰め込んだような造り。
続いて上流側。越流部の様子。既に割れてはいるが、補修の跡。
堤体上流面と貯水池。比較的新しい水の跡も。
お邪魔しました~・・・と言いたい所だがもう少し(苦笑
これは右岸越流部を上流側に向かって撮影したのだが、そこに気になる割れ目。
わざわざ越流部に架かる橋も不自然だし…何かあるぞと上流へ。
すぐに現役感のあるポンプ設備らしきが現れる。
更に少し進むと水路が!
振り返った所。左に先程のポンプらしき、右の水路は先程の割れ目へと落ちていく。
再び上流へ。二筋の水路がここに合流しており、これ以上は藪深く断念。またしても核心には迫れなかったが、明確に太高山ダム貯水池をショートカットしており、このダムもまた水争いの歴史を背負っているのだろうか?などと勝手な想像。
(地理院地図より)
一応図示。
謎水路の真相は闇…いや藪の中。
想像以上の収穫に満足しダムを後に河口へ。
お邪魔しました~🌊

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